Circuit2008 NEW JAPAN BRAVE | |
団体名 | 新日本プロレス |
日時 | 2008年4月27日(日) 16:00〜 |
場所 | 大阪府立体育会館 第1競技場 |
武藤がおそらく最後のIWGP挑戦ということでその雄姿を見たいと思いまして超久々の新日観戦となりました。更にダニエルズも来るし、01対抗戦もあって、メイン以外にも様々な見所が用意されていますよ。 しかしまぁ、新日の大阪での集客力凄いですね。正直このカードで他団体より座席設置して、それがちゃんと埋まるってのは驚きました。さてさて客を集めたのはいいが、しっかり満足させることができるのか?注目です。 |
第1試合
|
||
○カール・アンダーソン
外道 邪道 |
5分30秒
ガン・スタン→片エビ固め |
岡田かずちか● 平澤 光秀 裕次郎 |
第1試合はヤングライオンがベテラン&外人に立ち向かうという構図。試合時間が短いので特に誰も粗を出さず、ソツなく試合が終わりました。しかし特に目立った人もいないってのはちょっと試合組んだ意味が無いような気もしなくはないです。 |
第2試合
|
||
○ミラノコレクションAT
稔 |
6分14秒
ヴィクトリア・ミラネーゼ |
AKIRA● 越中詩郎 |
ミラノ&稔という曲者コンビとレジェンドの2人が激突しました。試合はもっぱらミラノが越中をおちょくりまくる展開。全員上手い人達ばかりなので、そこかしこに笑いを入れてくると同時にテクニックも見せていて、短い試合時間ながらもしっかり楽める試合に仕上げてました。流石ですね。 |
第3試合
|
||
○ジャイアント・バーナード
後藤 洋央紀 |
8分33秒
バーナードライバー→片エビ固め |
本間 朋晃● 石井 智宏 |
これまた微妙な組み合わせのカードですが、なかなかの肉弾戦を繰り広げてくれました。基本的な試合構造としては巨大なバーナードに立ち向かう2人&後藤vs石井の因縁が軸になっており、普段あまり日の当たらない本間や石井にスポットが当たっている感じです。 本間の奮闘や、石井の見事な雪崩式ブレーンバスターもなかなかの見物でしたが、やはりバーナードの怪物性は魅力です。2・3年前に全日で見た時より太っていてショックでしたが、パワーはそこまで落ちているわけでもないようで、ディレーラー(ネックハンギングボム)やバーナードライバーは迫力満点でしたね。 |
第4試合
|
||
○田中 将斗
大谷 晋二郎 |
12分56秒
スライディングD→片エビ固め |
田口 隆祐● 金本 浩二 |
休憩前のメインはzero1との対抗戦……のはずが、大谷が元新日本ということで普通に声援飛んで物凄くカオスな空間に。 試合の方は開始早々から大谷vs金本の顔面ウォッシュ祭りで盛り上がり、そのあとは世代間対決となる大谷vs田口で会場を盛り上げますが、意外とあっさり決着してしまいました。面白かっただけにもうちょっと見たかったですね。 |
第5試合
|
||
○蝶野 正洋
獣神サンダー・ライガー 長州 力 |
8分52秒
シャイニングケンカキック→体固め |
内藤 哲也● タイガーマスク 中西 学 |
休憩を挟んでレジェンド軍トップ3vs正規軍の余り。いやはやレジェンドの入場が卑怯すぎます。zero1との対抗戦を越えて、ここまでで一番の盛り上がりでしたよ。 まぁ試合の方は予想通り正規軍の面々が多少見せ場貰うものの、レジェンド祭りでした。まぁ休憩明けだからいいんじゃないですかね。 |
第6試合:IWGP Jr.ヘビー級選手権試合
|
||
○井上 亘
|
19分28秒
オラシオンフレイム→片エビ固め |
クリストファー・ダニエルズ● |
東京ドームから始まった因縁もこれで3度目。どの対決でも井上のしょっぱい評判が伝わってきたのですが、それでも試合巧者のダニエルズなら何とかしてくれるのではないかっていう期待はありました。しかし……。 試合は非常にオーソドックスなグラウンドからスタートするも、早々に場外戦を展開。再びリング内に戻って基礎ムーブで攻防を繰り広げるも、やがて井上が腕攻めを展開します。そんなこんなで15分が経ち、井上がトペを仕掛けようとした所へダニエルズがイスでぶっ叩いてようやく反撃開始。試合開始から15分も経っているにも関わらず会場があまりにも静かなので、ダニエルズが場外でイス乱打してブーイングを呼ぼうとしますが、それでも静かなままってのがあまりにも深刻です。終いには井上がイスで逆襲する場面で、ダニエルズに当てるつもりが思いっきりすかってしまい、客から失笑される始末。 全く盛り上がらないままリング内に戻ると、唐突にしょっぱいレフェリー気絶スポットが展開され、客席は「もういいよ」的な雰囲気に。そんな中、今度は井上がトライアングルランサーを繰り出し、いきなりフィニッシュムーブが飛び交う終盤戦へと突入。掟破りのスタガリンブロー→掟破りのエンジェルズウイングス(実際は回転できずリバースタイガードライバーになってた)を撃ち合うと、雪崩式のグダグダな攻防を経てオラシオンフレイムで〆ました。 はっきり言ってかなりの塩試合。正直なところ井上がしょっぱすぎて、ダニエルズでも減塩しそこなったという印象しか受けませんでした。これで3度目とか色んな意味で信じられません。井上は気迫だけのレスラーというイメージが強いのですが、今日はそれすらありませんでしたよ。それから基礎的なムーブにこだわってるようですが、それ自体は良しとしても、終盤の唐突なフィニッシュムーブの畳みかけを見るに、特に中盤の試合構築能力において重大な問題があるように思いました。そういう点で、能力無いのに理想だけが先行してるような印象を受けましたね。 |
第7試合:IWGPタッグ選手権試合
|
||
○真壁 刀義
矢野 通 |
15分14秒
トップロープからのキングコングニードロップ →片エビ固め |
天山 広吉● 飯塚 高史 |
セミは友情タッグという胡散臭い煽りで、天山と飯塚がIWGPタッグに挑戦。煽りVが非常に穏やかすぎて爆笑しました。 試合はやはりGBHがラフファイトでペースを握る展開。ダウンした飯塚へのイス攻撃を、乱入した天山が覆いかぶさって庇うという、なんともクサい展開が序盤から繰り広げられ何とも緩い雰囲気に。その後は天山が捕まってロンリーバトルを強いられ流血させられてしまいます。 10分過ぎにようやく天山がタッチに行くと、飯塚がまさかのタッチ拒否!普通ならヒールターンの合図ですが、相手が飯塚ってことと新日の体質を考えるに、WWEのようなヒールターン劇をやるのかどうか疑わしいものがありました。 客席も思わぬ展開にどよめきが収まりません。 散漫な空気のまま天山が1人で逆転して真壁にTTDを決めます。そんな天山の背後へ飯塚が這い寄り……まさかのスリーパー! ついに十数年に及ぶ飯塚のキャリアで初のヒールターンを敢行した瞬間でした。試合はそのまま矢野の鬼殺しから、真壁のダイビング・キングコング・ニードロップで決着。 まさかのヒールターンに驚きを隠せませんが、よく考えるとこのヒールターンのために王座戦消費しちゃったということで、旧来のファンからは反発もあったようです。……とはいえ、もはや引き返す訳にもいけません。はたしてキャリアの中でおそらく最後であろうチャンスを飯塚は掴めるのでしょうか!?(ヒールターン直後にいきなり腕を骨折して抗争がグダグダになってる現実に目を背けつつ) |
第8試合:IWGPヘビー級選手権試合
|
||
●中邑 真輔
|
22分34秒
ムーンサルトプレス→体固め |
武藤 敬司○ |
ここまでの流れを振り返ると正直ハズレの色合いが強い本日の興行。メインイベントは全日本プロレス社長・武藤敬司が8年4ヶ月ぶりにIWGPヘビー級王座に挑戦します!正直他団体ってことと、武藤のコンディションを考えると勝つ見込みが薄いと言わざるをえない状況ですが、覆すことはできるのか?(って上の結果みたらバレバレですけどね) さてさて挑戦者ということで武藤が先入場になるんですが姿を表した瞬間から会場が大歓声で包まれました。やっぱ華が半端ないですよ。ぶっちゃけ王者の中邑よりも声援多かったですもん。(笑) 武藤の後に入場させられるってのも可哀相ではありますけど。 いざ試合開始。序盤はやはりグラウンドの展開ですがやはり緊張感が違いますね。攻めの方向性としてはやはり武藤が足攻め、中邑が腕攻めという感じ。早速、武藤が動きと間の付け方で客の目を惹きつけますが、中邑もグラウンド能力には定評がありますし、中々しっかり返していきます。 5分経過した辺りで、中邑が場外の武藤へプランチャ。これを回避して低空ドロップキック→鉄柵へハンマースロー→鉄柵シャイニング→鉄柵ドラゴンスクリュー→リング内へ戻ってこようとする所へドロップキック→ロープ越しドラゴンスクリューと一方的にボコボコにするんですが、間の取り方が素晴らしすぎてはっきりと記憶に残りました。是非とも動画でこの一連の流れは見て頂きたいところ。特に最初のプランチャ避けて低空ドロップキック撃つタイミングが神でしたね。 リング内に戻ってもコーナーからの低空ミサイルキック、正調ドラゴンスクリュー、足4の字と立て続けに攻め立てます。ここでもしっかりと攻防を見せた後、低空ドロップキック2発からまたまたドラゴンスクリュー→足4の字……と思わせて、中邑が逆転のスリーパーを極めてどよめかせます。入るのちょっとグダりましたけどね。(笑) しかしスリーパーからすかさず腕ひしぎ十字固め→三角絞めへと移行し、しっかり武藤を追い込んでいきます。 さらに抜けられた後もミドルキックから首相撲からの膝を連発しますが、ここで武藤が膝をキャッチして至近距離でのドラゴンスクリュー!しっかりとプロレスへ引きずりこんでいきます。ここで10分が経過。中邑も再びドラゴンスクリューを狙われ足を持ち上げられたところで、飛びつきの三角絞めでお返し。しかしこのムーブ自体はかなり良いと思うんですが、さっきから中邑は唐突な切り返しでしか客を湧かせておらず、武藤がかなり引っ張ってるなーという印象。音楽で例えるなら武藤がメロディを奏でてるところに、中邑がスタッカートでアクセントをつけている感じがします。 それが明確になったのはこの直後。中邑が攻めた場面にてしょっぱいラリアット2連発から早くもムーンサルトプレス。あまりにもタイミングが唐突すぎて意味不明でした。武藤のフィニッシュムーブでもあるんだし、どうせどのタイミングでも出したら比べられるのは明らかなんだから、終盤に出せばいいのにと思うんですけどね。しかも2発目も打って案の定避けられて、低空ドロップキック連発→ドラスク→足4の字コンボ食らってるし。 15分過ぎになって中邑は更に醜態を晒してしまいます。ドラゴンスクリューの切り返しで延髄斬りしたのは良かったんですが、その後のフライングニールキックがフォーム崩れすぎ&当たってなくてずっこかけました。あれはあまりにも酷過ぎる……。さらにカート・アングル繋がりか3連続ジャーマンも出し、ドラゴンスープレックスは逃げられますが、早くもランドスライドを敢行!もはや技の種類とか出すタイミング滅茶苦茶すぎですよ。当然2カウントで返されます。 隠し技のダブルアームパイルドライバーはリバースされ、コーナーに振られて串刺しシャイニングを貰います。ドラゴンスクリューで武藤の攻めに入るかと思いきや、接近した武藤に対して中邑の飛び付き腕ひしぎ十字固め。ただしかなりもっさり。もう駄目だ。 中邑の腕ひしぎ逆十字って展開にかかわらず問答無用で試合終わらせちゃうので、なんだかんだでこの時間帯で極まると「これで終わっちゃうんじゃ!?」っていう嫌な期待で盛り上がるんですよね。武藤コールも起きましたしね。そういう意味で中邑の腕ひしぎ逆十字ってピープルズエルボーとかワームとかに近い存在になってきてる気もしなくはないですけど。 なんとか武藤は腕ひしぎ逆十字をロープブレイクしますが、中邑はまだ関節技を狙います。しかしタックルへ来た中邑の顔面へ、武藤の低空ドロップキックが直撃!これはかなりビックリしましたね。無茶しすぎ。 思わずエプロンへ脱出した中邑へ武藤が何かを狙います。ロープに中邑の両足をひっかけるようにしてリング内に上半身を引きずり出し、いきなりドラゴンスクリューのように回転!中邑の頭が凄い角度でマットへ突き刺さりました。これがCCでケアの首ぶっ壊したネックスクリューですか……とんでもねぇ危険度です。元はWWEの誰かが使ってて、それを永田が07年秋に新日本マットに持ち込んで、武藤が拝借したという流れですが、間違いなく武藤が一番エゲつない出し方してますね。 そして大歓声の中、武藤が正調シャイニングウィザード→延髄シャイニングウィザード→正調シャイニングウィザードと3連発!会場が大熱狂に陥る中、今試合初めて客も一緒にカウント大合唱。最初とはいっても試合の終わりは近いことがはっきりしているため、物凄い音量でしたね。当然自分も叫んでました。 しかしカウントは2。武藤のエゲツない攻撃2連発にどよめいていた観客も、「武藤が勝つかもしれない」という期待の中、凄まじい声援を繰り広げますが、中邑が最後のあがきとばかりに正面から飛びつきの三角絞め!……が、なんと武藤は中邑を抱えるとパワーボムで返しました。膝悪いのは有名すぎますし、まさかやるとは思ってなかったので、驚愕するばかり。今日の武藤は何かが違う。 そして起き上がった中邑へ凄まじい切れ味のシャイニングウィザード。しかしここもカウント2でクリア! 「マジで武藤が獲っちゃうんじゃないの?」という声も聞こえる中、ついにシュミット式バックブリーカーへ。おもむろにコーナーに上る武藤。そしてムーンサルトプレス敢行!中邑に直撃し、会場が一つになってカウントが進みます。 「ワン!!……ツー!!………スリィあああああああああああああああああああああ!!!!!!!」 まさかの結果に会場は大熱狂!3入った後の方が歓声が大きくなってましたからね。ぶっちゃけ俺もデジカメ片手にやってましたが、びっくりしすぎてデジカメ放り投げそうになりました。(笑) ぶっちゃけ棚橋とカートを破った中邑ならムーンサルトプレス返すかもなーと思ってましたし、そもそも政治的にも武藤不利と見ていたので、このサプライズにはたまげましたよ。トランスマジック流れ出したのも最初認識できなかったぐらいですし。 いつの間にか両手が汗びっしょりになってるのに気づきつつ、武藤がベルトを渡されてるのを見て、ようやく実感が湧いてきました。この後、長々と勝利者賞を渡されますが、武藤も相当膝がきつかったのか、側に控えていたインタビュワーに気づかず退場開始し始めてしまいます。 唐突すぎてスタッフも対応できず、ベルト授与の曲のまま花道を引き揚げてたので、もうこれで終わりかなーと思っていたら、最後にリングに振りむいたその時、なんとホールドアウト(武藤の若手時代のテーマ曲)が流れ出しました! 粋な演出に新日ファンも大喜び。リングサイドや花道に詰めかけたファンから大声援を貰って、ハッピーエンドで興行が締めくくられました。 ホールドアウト流れ出すのが遅かったので、武藤が退場してからも2ループぐらい流してたのですが、メインの大興奮と相まって余韻が物凄くて、すぐには動けませんでしたね。いやはや中邑は問題点多すぎでしたが、それ以上に武藤が輝きすぎて素晴らしい試合でした。「低空ドロップキックとドラスクとSWと4の字固めしかやってないじゃん」って批判もあると思いますが、それだけで観客を納得させて熱狂させるのはありえないですからね。まさにプロレスリング・マスターだからこそできる至業ってもんです。 さらに興行終了後の会場の外でもなんか人が結構溜まってて、メインの話してるんですよ。他の団体なら帰り道で皆で話をしているっていうシーンなら良く見かけますが、その場で喋ってますからね。 大阪で安定して観客を大熱狂の坩堝に叩き落とす団体と言えば、ドラゴンゲートのツインゲートorトライアングルゲート王座戦ぐらいでしょうが、この試合はそれらすら上回ってました。試合後ネットで感想等を見ても「90年代の新日の熱狂が蘇ったかのようだ」「ここ数年では一番熱かった」という意見が多く、それもさりありなんという感じ。新日の歴史と信頼(ここ数年裏切りまくってますが)と底力を痛感させられましたよ。 |
というわけで大満足して興行終了。とはいえ、興行全体で見ればメインで持って行き過ぎて他ボロボロという有様です。第2試合と第4試合(zero1との対抗戦)ぐらいしか良い試合無くて、IWGPJr、IWGPタッグ共に試合の質としては駄目ですからね。次回以降、新日が大阪来たら見に行くか?と聞かれると迷うところです。まぁどちらにせよせっかく武藤にベルト渡したんだから盛り上げてって欲しいですね。 |