Victory Road 2004 評価:C
TNA初の3時間PPVということですが、日米欧と国籍問わず外部から大量にゲストを呼んでいるので何かTNAっぽくない感じがしますね。しかしやはりXディヴィジョン絡みの試合には期待したいところです。


【20マンXガントレット】
フランキー・カザリアン、サンジェイ・ダット、プーマ、LAパーク(初代ラ・パルカ)、
ジェレル・クラーク、宮本 和志、マット・ベントリー、ヘクター・ガルザ、
NOSAWA論外、マイキー・バッツ、アレックス・シェリー、マット・サイダル、
ソニー・シアキ、ジェイソン・クロス、シャークボーイ、サイコシス(初代)、
Dレイ3000、アメージング・レッド、スパンキー、クリス・セービン
 変わったルール名ですが要するにXディヴィジョンの選手20人によるロイヤルランブルマッチです。Xディヴィジョンをオープニングマッチに持ってきたのは大正解と言いたいところですが、そもそもXディヴィジョンの選手じゃないのが半分以上を占めてるのはどうなんでしょうね。(笑)まぁどちらにせよ派手な空中戦が楽しめそうです。
 そう期待しつつ蓋を開いて見れば、入場→少々の見せ場→コーナーやロープ際で殴り合い落とし合い→次の選手の入場→少々の見せ場→……とワンパターンすぎて少々げんなりしました。ロイヤルランブル形式そのものがどうしてもムーブの披露会になりがちな試合形式なので、Xディヴィジョンの選手たちがやると余計そこらへんが強調されてしまうのかもしれません。
 でもムーブ自体はとんでもないんですけどね。特にジェレル・クラークのハンドスプリング・スカイツイスタープレスとか630°は特に印象に残りましたし、マット・サイダルがラ・ブファドーラの要領でスカイツイスタープレスを繰り出したのも度肝を抜かれましたね。後、クリス・セービンも印象に残りました。3人蹴りのステップDDTとか雪崩式ジャーマンスープレックスとかカッコ良かったです。それから忘れてはいけないのは終盤の8人が関係した投げ技。もはや組体操のような感じもあり嫌う向きもあるとは思いますが、バカバカしすぎて面白いので是非見てほしいですね。
 ただオチがひどいので覚悟しておいて下さい。おそらく日プロファンならここまでやっておいてオチそれ!?みたいな感覚を覚えること請け合い。


キッド・キャッシュ&ダラス&アンディ・ダグラス&チェイス・スティーブンス
vs エリック・ワッツ&パット・ケニー&ジョニーBバッド&ロン・キリングス
 なんか知らないレスラーだらけによる、よく分からない8人タッグ。ナチュラルズとキッド・キャッシュとロン・キリングスしか分かりませんよ。全員ヘビー級の巨漢ですが、案の定大味な試合となりました。短いのだけが救いか?


マスカリタス・サグラダ vs ピラティーニャ・モーガン
 サグラダの名前はどっかで聞いたことがあるなぁーと思っていて、実際見たら一発で思い出しましたよ!……というわけでミゼットの試合です。TNAもこういうのやってたんですね〜。お笑いムーブを織り交ぜ堅実な仕事ぶりです。


【NWA世界タッグ王座戦】
エリック・ヤング&ボビー・ルード vs BGジェームス&コナン
 チーム・カナダvs3LKという構図ですね。エリック・ヤングがツーショルダーで懐かしさを感じます。試合自体は良くも悪くも普通でした。当時のTNAのヘビー級戦線を考えればまだマシな部類かも。


トリニティ vs ジャクリーン
 ゲイル・キム登場以前のTNAの女子部門って駄目なイメージがあったんですが、この試合は思ったよりはマトモでした。ハイスパですけど。


【モンスターボールズマッチ】
アビス vs レイヴェン vs モンティ・ブラウン
 もうなんというか……組み合わせから分かると思いますが、かなり大味です。


【Xディビジョン王座戦】
ピーティ・ウィリアムス vs AJスタイルズ
 イヤッホー!!!退屈な試合や大味な試合を乗り越えようやくやってきました、Xディヴィジョン王座戦。この2人ならさぞ激闘を繰り広げてくれるでしょう……。
 ファーストコンタクトから素早いグラウンドの展開で観客の視線を釘付けにすると、飛び技や投げ技など派手かつ体を張った展開で魅了していきます。ただ若干ミスがあり、切り返しの展開もあまりなく、技をお互い繰り出してるだけのようにも感じられます。トータルで見れば全然良い試合なんですが、この2人ならもっとできるだろうというもやもやはありますね。試合時間も思ったより短かったですし。ちょっと残念。


【ラスト・チーム・スタンディング・マッチ】
クリス・ハリス&ジェームス・ストーム vs クリストファー・ダニエルズ&エリックス・スキッパー
 AMW対XXXということで、ダニエルズ以外のメンバーがどれだけ出来るかにかかってきそうな面子ですね。ただルールがフォール後3カウントの後に更に10カウント数える方式で、更に両方ともKOしないと決着がつかないので物凄く間延びしそうな気がします。
 双方ともツープラトンのムーブを次々と繰り出し、わりと派手な展開が続いたこの試合。しかし普通ラストマンスタンディングマッチで思い浮かべるような死闘は全く演出できておらず、「はいはいやられましたよ」的な香りが漂ってるのは正直がっかりですね。最後もミスムーブやらフォールを返しているのに3カウント取られたりと無茶苦茶で、「何これ……」と唖然とさせられましたよ。
 まぁオチを見たら何故こんな手抜きなのかよーく分かりましたけどね。初のPPVのセミなんだからもうちょっと激戦が見たかったというのはありますね。


【NWA世界王座戦/ラダー・マッチ】
ジェフ・ジャレット vs ジェフ・ハーディ
 ケビン・ナッシュとスコット・ホールと結託したJJに対して、ジェフが得意のラダーマッチで挑みます。
 相性的に噛み合わなそうな二人ですが見事なまでに退屈な試合でした。ジェフのややもっさり目の飛び技以外に見るべき所が無いんですよ。いやJJが悪いってわけではなく、むしろジェフがあんまセール上手く無いせいでJJの攻めがいつも以上に地味に見えてしまうんですよね……。
 終盤に場外でラージサイズのラダーを設置して2人とも上って揃って落ちたり、ホールの酷過ぎるツイスト・オブ・フェイト受けで笑いましたけど、素直に楽しめたと言えません。(汗)当時のTNAのヘビー級の面子を考えればこれでも上等だとは分かっているのですが、WWEと比較するとあまりにも貧相すぎて辛いですね。


 正直、ゲストを呼びまくったのが裏目に出たような気がして仕方ありません。しかし全体を通して見ると一応ショーとして最低限のクオリティはあると思います。期待をスカされた試合が多かったため結構ネガティブに書いてますが。(汗)

(執筆日:2009年3月11日)


Turning Point 2004 評価:B
12月のPPVはやはりXディヴィジョン王座戦とメインのケージマッチに注目したいところですね!


【NWA世界タッグ王座戦】
ロン・キリングス&BGジェームス vs エリック・ヤング&ロバート・ルード
 オープニングマッチを飾るのは3LK対チーム・カナダ。最初がグダグダでどうなるかと思いましたが、それ以外は普通のヘビー級の試合でした。キリングスのダイビング・アックスキックが印象に残ります。


キッド・キャッシュ&フランキー・カザリアン&マイケル・シェイン
vs サンジェイ・ダット&ヘクター・ガルザ&ソニー・シアキ
 Xディヴィジョン勢6人によるタッグマッチ。ノンタイトルながらかなり面白そうです。
 ファーストコンタクトからややたどたどしいけれども面白い切り返しを見せ、Xディヴィジョンの試合を見てるなぁという気にさせてくれます試合はマイケル・シェインがサンジェイの腕を攻めたのを皮切りに、全員がサンジェイの腕を集中攻撃する展開に。どうしても一点攻めって関節技の攻防になりやすく、Xディヴィジョンにはそぐわないのではないかと思っていたんですが、腕攻めやそれを巡る切り返しを工夫することで観客を飽きさせませんでした。いやはや恐れ入った!それからメキシコの2人が良い動きしてましたね。


【セレンゲッティ・サバイバル・マッチ】
アビス vs モンティ・ブラウン
 公認凶器として画鋲の使用が許可されており、画鋲に突っ込んだ方が負けというルールが追加された試合。勘の良い人ならこのルール&対戦カードを見てどんな結末か予想出来てしまうのはどうなんでしょうね……。
 試合は良くも悪くもない普通のハードコアマッチなんですが、二人とも打撃等の当たりが弱く、遠慮してる感がありましたね。それと後半アビスがシャツを脱ぐんですがその下の贅肉っぷりにはゲンナリさせられました。そりゃトップ戦線には来れないし、いつも服着てる訳だわ……。ラストも微妙に狙いがそれていて観客が予想したほどの惨状にはならず、画鋲の上に自ら転がっていって刺さりに行ったミック・フォーリーを見狙えと言いたくなります。


NYC vs パット・ケニー&ジョニーBバット
(スペシャルレフェリー:ジャクリーン)
 この4人全く知らないんですよね……。ヘビー級の癖してなんかルチャっぽい技を出したりしたのは面白かったですが、全体的に中途半端すぎます。


ダイヤモンド・ダラス・ペイジ vs レイヴェン
 動けなくなったレジェンド同士の対決ほど性質の悪い物はありません。一体どうなることやら……。
 蓋を開けてみれば双方とも動けなかったものの、オールドスクールな試合として割り切って見れば思ったよりも楽しめたかも。レイヴェンが途中でいきなり兜を取り出して投げつけたのは吹いた。


【Xディビジョン王座戦】
ピーティ・ウィリアムス vs クリス・セービン
 さぁXディヴィジョンの名物抗争の時間がやってまいりました。一体どんな闘いが繰り広げられるのか予想もつきません!
 試合はXディヴィジョンらしい面白い切り返しやムーブが続出の素晴らしいものとなりました。鉄柵へのパワーボムはちょいと引いてしまいましたが、客席の高台部分からリングサイドの相手へダイブしたり、コーナーに駆け上がっては雪崩式のフロントスープレックスも良かったです。あ、あとコーナーでリングサイドの方を向いて座ってる状態から立たずに直接鉄柱越えのトペ・コンヒーロを放ったのもビックリしました。しかし何といっても終盤のアリウープ(パワーボムで持ち上げて自分の後方へ投げて相手の顔面を砕く)の入り方にはぶったまげましたね。メイン残した段階で言うのもアレですが今PPVベストバウトじゃないでしょうか?


ジェフ・ジャレット&スコット・ホール&ケビン・ナッシュ
vs AJスタイルズ&ジェフ・ハーディ&ランディ・サベージ
 今でいうメイン・イベント・マフィアvsフロントラインのさきがけのような構図ですね。試合はサベージが来ず若手2人で奮闘するも押し切られて……という内容で特筆することは特にありません。極端にグダグダって訳でもなく本当に空気ですね。


【ケージマッチ】
クリス・ハリス&ジェームス・ストーム vs クリストファー・ダニエルズ&エリックス・スキッパー
 AMW対XXXの抗争もいよいよ最終決着戦です。ていうかPV見て初めて知ったんですが1年以上前の4角形リング時代に全く同じカード&試合形式やってたんですね。そういうことで17ヶ月ぶりの再戦という意味合いもあるようです。
 さてタッグのケージマッチなんですがTNAはスクランブルルール(ノータッチで2人同時に戦う)のではなく、ケージで挟まれて狭いエプロン部分にいつも通り待機する形なんですね。ちょっと絵面的に間抜けな感じが……。
 試合はやはりケージマッチということもあってか分かりやすい投げ技や飛び技が多め。ダニエルズが珍しく流血したのを皮切りにAMWも流血に追い込まれます。中盤には公認凶器(?)の手錠を巡るローンバトルやら救出劇を挟んでいてなかなか面白かったですね。それと掟破りのデス・センテンスには驚かされました。
 AMWの手錠が外れると、いよいよ終盤へ。それまでケージどころかコーナートップにさえあまり立ってなかったというのに、皆して上り出してケージトップからのデンジャラスムーブを連発し出します。中でもエリック・スキッパーが敢行したケージ渡りフランケンシュタイナーはホントありえないです。TNAの伝説のシーンの一つとして後々に語られるこのムーブですが、他団体とは違いケージのトップは特に太くなってるわけでもなく、足場が用意されてる訳でもないケージの1辺を綱渡りの要領で歩くなんて正気の沙汰じゃありませんよ。
 その後もリング部分からケージトップまで繋がった4階建ての投げ技が飛び出したり、やたら体張りまくった挙句、フィニッシュムーブは普通にリング上での合体技だったのがなんとも。それまでケージトップからの投げ技バンバンやっといて、それで終わられると微妙に納得いきませんね。(笑)


 対戦カードから予想できる通りの内容で、極端に悪い試合も無く、TNAにしては試合の質が安定してるPPVだと思いますね。

(執筆日:2009年3月24日)




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