Redemption | 評価:C |
オハイオ州デイトンにて2005年8月12日に開催された興行です。カード的に注目したいのはセミのマット・ハーディvsホミサイドと、メインの4ウェイですね。特にメインはかなりの名試合になりそうで楽しみです。 【4コーナーサバイバルマッチ】
全員が初見なので、まずは区別するのに苦戦。マット・ストライカーはWWEの先生キャラの人とは違うらしいですね。綴りが一字違うだけだそうで。デリリアスはお笑い系お馬鹿キャラなんでしょうか。エース・スティール vs マット・ストライカー vs デリリアス vs ステーリング・ジェームス・キーナン 試合はお笑い要素を含みつつ比較的シンプルな攻防でまぁオープニングマッチとしては及第点か。キーナンがGo to Sleepやってて説得力全く無かったのにしょんぼり。 コルト・カバーナ vs スパンキー
案の定のお笑いマッチ。トーク部分が全く分からないのが辛い。とはいえ双方ともかなり基礎がしっかりしてるのがよく分かりました。【ROHタッグ王座戦】
ちんたらちんたらやりすぎ。連携技が多少目新しいぐらいか。ナイジェル・マッギネス&チャド・コリヤー vs BJウィットマー&ジミー・ジェイコブス オースティン・エリーズ&ロデリック・ストロング&マット・サイダル
エリーズとサイダルはとんでもない運動能力ですね。特にサイダルのムーンサルトは凄すぎる。試合は6人タッグということもあり、まぁほどほどに。エリーズが捕まってる時間が長くちょっと退屈かも。完全にゲスト扱いのアビスがブラックホールスラムでサイダルをぶん回しすぎてたのは笑えました。vs ジミー・レイヴ&アレックス・シェリー&アビス ロウキー vs ジェイ・リーサル
双方ともキレが良いですね。ただ結末のこともあってか、あんまりやる気が無いような。マット・ハーディ vs ホミサイド
まず初めにマットがホミよりかなり大きかったのにビックリ。試合自体は普通でした。ロックアップとロープワーク、打撃の時間が長く、ムーブを見る限りWWEでもできるような試合ですね。【ROH世界ヘビー級王座戦/4wayイリミネーションマッチ】
CMパンクとジェイムズ・ギブソンがWWE入り決定済みという政治状況の中、試合前にはプロモも入り入場も大盛り上がり。ここまでの試合が今ひとつだっただけに名試合を期待したいところです……。CMパンク vs ジェイムス・ギブソン vs クリストファー・ダニエルズ vs サモア・ジョー さて試合前から「ナナナ〜ナ♪」やら「サンキューパンク!」とか酷い扱いなパンク。過去の抗争からジョーを挑発するくせに、いざ出てくると腰が引けるあたりがなかなかイカしてます。まぁそんな微笑ましい一幕から試合開始なわけなんですが、序盤は全員見事なグラウンド技術を披露します。普通に上手い。 徐々に打撃や投げ技、飛び技も出てくるわけですが、中盤から後半にかけてギブソンがパンクの椅子攻撃で流血を引き起こし退場という展開になってしまいます。今回ここが駄目すぎましたね。一発殴ったぐらいであの流血は……。あまりにもわざとらしすぎました。しかもそれを受けての最後の展開ですからねぇ。流石に冷めますよ。あまりにも残念すぎる。 まぁそれでもラストの展開はそこそこ良かったですね。最後アレが出るとは思いもせず驚きました。 なんとか最後の試合で興行としての体裁を整えたといった感じですね。ランク付けとしてもD確定気味だったのがなんとかCに押し上げられた感じです。 (執筆日:2006年3月22日) |
Night Of The Grudges 2 | 評価:B |
2005年8月20日ニュージャージー州モリスタウンで行われた興行です。期待はピュア王座戦とジェネレーションネクストvsエンバシー。セミがカード的に弱いのが残念です。 【ウェポンズマッチ】
オープニングにふさわしく楽しくハードコアマッチ。ソツ無く短く纏めてきたのには好印象。ただリング上がごちゃごちゃしすぎなんで使用した残骸はリング下に掃けて欲しかったな。ゴミは片付けましょう。カルネージクルー vs ダン&マルコス ジェレル・クラーク vs アズリエル
クラークの運動能力が凄い。ジャックのようなハデハデさは無くて外見通り(失礼)の渋い、凝った動きなんですけど、これはこれで好きですね。 ジェイ・リーサル vs リッキー・レイス
かなりデンジャラスなカードに思えます。案の上、グラウンドは良く、技のセレクトもベーシックで良いんですが、全ての技が単発で線として繋がってないんです。お陰で単調なことこの上ない試合でしたね。試合順がここじゃなかったらもっと酷いことになってたでしょう。【サッカー・ライオット・マッチ】
サッカーボールなんて持ってきたんでお笑いマッチかと思いきや、いきなりマッギネス制裁マッチ化してびっくり。マイクが多くて状況がよく分かりません。場外乱闘長すぎ。コルト・カバーナ vs ナイジェル・マッギネス 【ROH世界ヘビー級王座戦/3wayイリミネーションマッチ】
これぞROHの3ウェイ。面白いです。スパンキーではちょっと物足りないので、普通にこれをセミなりメインにすればよかったのに。ジェームズ・ギブソン vs ホミサイド vs スパンキー ジミー・レイヴ&プーマ vs オースティン・エリーズ&ロデリック・ストロング
プーマは初めて見るんですが、ROHて意外とマスクマンいないことに気付きました。もっといてもよさそうなのに。さて試合ですがプーマと羊が良い動きを見せています。ただずっと似たようなテンポで続くんで関節技もっと使ってスローな時間帯を作ってやった方がよいかと。最後のずっこけオチは意味が分かってからは笑えましたが、最初はなんでこけたのか分かりませんでした。あそこはカメラアップにすべきだったと思います。 【ROH世界ヘビー級王座戦】
やはり元WWEのクルーザー級同士ということもあり役不足・体格不足感はぬぐえず、客席からはホミサイドコールが起こる始末。スパンキーも劣化小川良成みたいな感じて戦い、うざいことこの上なし。ラストの切り返し合いは良かったんですけどね。あっさり短時間戦で正解かと。ジェームズ・ギブソン vs スパンキー 【ROHピュアレスリング王座戦】
かなり期待してたのですがピュア王座ですからねー。やっぱり幾分かは地味ですね。ダニエルズが腹攻めしてたのが笑えました。ラストもなかなか。ジョーのブサイクへの膝蹴りは初めて見ましたがとんでもないですね。マットスプリングのお陰つうのはありますが、あの巨体から繰り出されると破壊力満点ですね。スーパーヘビー級以外は一撃ノックアウトできる説得力がある。そしてラストの関節技があんまりすぎて笑えた。少なくとも「ピュア」レスリングじゃない。(笑)
サモア・ジョー vs クリストファー・ダニエルズ さて総評ですが、良い試合は多いんですけどイマイチ物足りないです。セミはカード的に大満足という訳にはいかないなとは思ってましたが、メインまでそれなりに面白いレベルだと……。ピュアレスリング王座の特性ゆえか、双方の努力が足りなかったのかは判断に迷うところです。 (執筆日:2006年4月7日) |
Survival Of The Fittest 2005 | 評価:C |
2005年9月24日にマサチューセッツ州ドーチェスターで行われた興行で、まずシングルマッチ6試合を行い、勝った6選手が4コーナーサバイバル・イリミネーション方式で一斉に戦うという「Survival Of The
Fittest」が行われます。 ちなみに優勝者が次回興行にてROH世界ヘビー級王座に挑戦ということなんですが、いつも適当に抗争して王座戦やってるのに、挑戦権取るのにこれでは過酷すぎるような気がします。せめて王座が空席で、これで王者決定しますってなら分かりますけど。まあプロレスつうことで一つ。 ジェイ・リーサル vs サル・リナウロ
かなり微妙感あるカードです。どうなることやら……意外にもサブミッションの取り合いからスタート。リナウロがなかなかのテクニシャンぶりを発揮。リーサルはいつものように一つ一つの技は良いんですが、流れがぶつ切れという悪癖が治りません。しかしここでもリナウロがタイミングを調整して、全体の流れに繋がりを作りあげました。 コルト・カバーナ vs リッキー・レイス
これまたデンジャラスなカード。グラウンド合戦ならば良試合の可能性もあるが、どちらにせよカバーナがどれだけ引っ張れるかにかかってます。さて試合ですが見事にカバーナが引っ張り、リッキーのアラが出ないように打撃戦+多少の関節技で構成して、あっさりと終わらせました。全くもって賢明な判断で拍手喝采モノ。 ロデリック・ストロング vs ジェレル・クラーク
試合は手の取り合いから始まり、関節技と切り返しの応酬で見応えあり。試合前はかなり噛み合わなさそうな組みあわせだなぁと思っていましたが、ロデリックがクラークに合わせる形でちゃんと対応してきたのは意外でした。一方のクラークですが、ドロップキックやウラカンやなどの基本的な技を中心に使い、ここぞという時の攻めにハンドスプリングスカイツイスタープレスやスタンディングシューティングスタープレス等を爆発させます。このケレン味がたまりませんね。 ジミー・レイヴ vs オースティン・エリーズ
まあそこそこ安心できるカードだと思ってたんですが……。最初から最後まで「意図通りの」クソ試合でした。
サモア・ジョー vs ミラノコレクションAT
ジョーは概ね受けに回り、ミラノは関節技を中心にトリッキーな動きを混ぜて観客を湧かせていました。しかし変に間が悪く、予定調和な展開が何度か目につきました。ジェイムス・ギブソン vs クリストファー・ダニエルズ
本DVD一番期待のカード。まさかこれで外すとは……。(泣)序盤・中盤は打撃・関節技が中心で、技かけてる時間&ダウンしてる時間があまりにも長すぎ、じれったいです。死闘にしようと思ったのか、まともな攻防になる後半でも10カウント取る展開があったりと、早送りは必須です。 本人達が客に伝えようとしているダメージ量と、客が独自に推定しているダメージ量とで大きな差が出来てしまったのが敗因だと思います。「なんでそんなに死闘っぽい展開なの?」なんて疑問が出るのはプロレスとしてあまりにも致命的です。 【ROHピュアレスリング王座戦】
セミにするにはちょっと厳しい印象もあるカード。しかも地味。でもテクニックは確かにあると思うんでそれなりに期待は出来ます。ナイジェル・マッギネス vs BJウィットマー さて試合は腕の取り合いからスタートし、お笑い要素もちりばめつつ存分にグラウンド合戦をしてくれました。投げ技もベーシックなのがほとんどでしたが、終盤にBJが雪崩式リストクラッチエクスプロイダーを出すわ、しかも返されたつうのは色んな意味で空気読まなさすぎ。 【シックスメン・イリミネーション・マッチ】
確かな実力者達が揃ってるんで見るのにそれほど不安はないですね。最初は6人一斉に戦うのかと思ってたのですが、4コーナーサバイバル方式によるイリミネーションで、良い動きを各自見せつつ適度にリレーしていきます。緩急に富んでるとは言い難いですが、普通に良い試合だったと思います。ジェイ・リーサル vs コルト・カバーナ vs ロデリック・ストロング vs オースティン・エリーズ vs サモア・ジョー vs クリストファー・ダニエルズ この試合における個人的MVPはコルト・カバーナ。とにかく上手すぎる。ラ・ケブラーダへの流れとかは本当になんというか表現に困るんですが、プロレスが分かってるなという感じがしました。 ラスト2人になった段階で一旦マイクで流れ切って改めてシングルマッチのようにグラウンドからやっていたのは評価したいです。そこまで休憩無しで40分以上熱戦を繰り広げてただけに、客側もヘトヘトな感がありましたしね。 期待してた羊vsレイヴ、ギブソンvsダニエルズが外されてしまい、どうにも評価は低めです。あんまり期待してなかったカードが総じて頑張ってましたが期待外れの穴を埋めきるまでには至らないですし。ちょっと残念。 余談ですが、DVDの最後に何故か小橋建太のROH参戦時に撮ったと思われるコメントが、日本語で入ってます。(笑) これのDVD化が小橋参戦の直後だったんでしょうけど、なんで関係ない興行のDVDに収録されてるのか、全部日本語ではROHの相当なプヲタでもお手上げじゃないのか等、ツッコミ所多すぎ。 (執筆日:2006年4月9日) |
Joe vs Kobashi | 評価:S |
米インディーファンにとってかなり話題になった、小橋の初めての海外遠征。今回はROHにおける1興行目、2005年10月1日・ニューヨーク州マンハッタンにて行われた興行になります。この日のメイン、サモア・ジョーvs小橋建太は06年にROHの100回目のショーを記念に行われたベストバウト投票にて見事1位を飾りました。 というわけで、かなり欲しかったDVDをようやく入手。これの次の興行(Unforgettable)でもアンダーカードがかなり良かったですが、こちらも9試合編成でえらいことになってますね。ROHにしては珍しくプロモビデオまで付けた小橋ジョーはもちろんのこと、3wayイリミネーションマッチ、ジェイムズ・ギブソンvsジミー・ヤン、ホミサイドvsジャックにもかなり期待できます。 コルト・カバーナ vs クラウディオ・カスタニョーリ
オープニングでこのカードってことはグラウンドメインでコミカルな試合が期待できそうです。カバーナが青の衣装でびっくり。そして実際の試合も優雅にまったりグラウンド中心で組み立てられました。ちょっとゆったりしすぎかなーと思わなくもないですが。クラウディオがCIMAのクロスファイヤーっぽい技を使ってて少し驚きました。 【3wayイリミネーションマッチ】
かなり飛び技方面で期待できるカードですね。冒頭から3wayならではのムーブを軽快な動きで繰り出し、この試合への期待度を高めます。それにしても全員動き良いですねー。クリストファー・ダニエルズ vs アズリエル vs マット・サイダル まずサイダルがダニエルズにスイングDDTかけて反転した時に、ダニエルズの後ろに立っていたアズリアルの頭に足が当たって一瞬止まってしまい、会場がミスムーブか?という疑いの空気になったのが笑えました。しかしそのまま受け手のダニエルズがサイダルを横に反転させて仰向けにし、サイダルの足側にいるアズリエルがシットダウンパワーボムにしてのけたのには唸らされました。アドリブかと思い、もう一度見直しましたがこれは最初からやるつもりだったっぽいですね。 そしてさらにビックリしたのが、この興行の少し前に行われたTNAの9月のPPV「Unbreakable 2005」のメインイベント・AJジョーダニエルズのXディヴィジョン王座戦3wayマッチで披露されたモンキーフリップ絡みのムーブのアレンジ。今度は飛ばされたサイダルをアズリアルがキャッチしてパワーボムかと思いきや、サイダルがこらえて相手の頭を支点に反転して肩車の体勢になり、高角度前方回転エビ固め(アメプロ的にはビクトリーロール(?))しかけようとしてこらえられて、そのままアズリエルが前方に落としてフェイスバスターにした場面ですねー。説明長っ! その後の、サイダルがコーナーからやや屈んだアズリエルの背中を飛び石のように踏んづけて、その後ろにいるダニエルズに飛びつきスイングDDT決めたのもビックリ。ここまで来るとちょっと無理があるような気もしますが。(笑) そこからはややペースが落ちて各々ムーブを披露していく展開。合間合間に3wayらしい2人同時攻撃や、思わぬ妨害等のスポットを盛り込み客を飽きさせません。サイダル・スペシャル(フロントスープレックスの体勢での不知火・改)も相当インパクトありましたし。 さて試合総評ですが、やっぱ皆活きが良くて素晴らしいですね。特にサイダルやアズリエルと比べて10歳以上年上なダニエルズが20台選手と比較しても遜色無い動きをし、さらにはベテランらしくテクニックを効かせて試合の核となって回したのが目立ちました。やっぱ凄いわー。 【ROHタッグ王座戦】
試合前からジェイコブスがオトボケキャラっぷりを披露し客席を笑わせます。序盤はグラウンドの展開で、BJの体格とママルークのテクニックの対決といった按配。この試合では特にママルークのテクニックが光りましたね。BJウィットマー&ジミー・ジェイコブス vs トニー・ママルーク&サル・リナウロ 予想外のムーブとしてはママルークがBJにコーナーから飛びつきDDTをしかけるもキャッチされてすかさずフロントチョーク→しかしそのまま反転してターンバックルへのブレーンバスターで返すという流れがかなり驚かされました。 そこから少し後、ジェイコブスがブレーンチョップ、太鼓の乱れうちをやっていて、ある意味ROH(いや現代プロレス自体か?)にはそぐわぬムーブで強い印象を残します。 強い印象と言えばリナウロのセカンドロープからのスワンダイブ式反転クロスボディに、カウンターでジェイコブスがスピアー合わせた場面ですね。ビシっと決まっていてかなり説得力ありました。ラストの方の、ママルークがBJにコーナーでサンセットフリップパワーボム決められかけてる所に、リナウロがスワンダイブ式ドロップキックでコーナー上のBJに攻撃→BJがコーナーから場外に落下したのも相当肝が冷えました。 全体的に見ると、そこそこ面白いんだけどもやや歪な印象を受ける試合でした。なんといってもBJとリナウロが技やる時にタイミング合わせてる感が出ちゃってるのが痛いですね。そのおかげで「こいつらタッグはまぁまぁだけどシングルなら酷いんだろうなー」という風に斜に構えて見てしまいます。 【ROHピュアレスリング王座戦】
リーサルにグラウンド中心の試合が出来るのか?という点でかなり不安なカードでした。ナイジェル・マッギネス vs ジェイ・リーサル しかし意外や意外、リーサルもあんまり長時間攻めをすることもなく基本的なムーブを中心にして、チョップやエルボー等の打撃を勢いよく打ち込んでいき、所々自慢の運動能力を披露する形に持っていったのもあってそこそこ面白かったです。マッギネスのグラウンドテクニックも光りまくってますしね。 このカードで、ラスト以外投げ技も飛び技も出なくて、見られる試合になるとは想像できませんでした。2人とも他のレスラーよりスピードがやや遅めなのでそこらへんでリズムが噛み合ったのかもしれません。 それと終わるの唐突すぎ!これはまだ中盤さしかかったあたりでしょう。あとマッギネスのヘタレキャラっぷりは良い感じですね。試合後の恐る恐るの握手にやられました。(笑) ロデリック・ストロング vs ジミー・レイヴ
結構渋めの試合になりそうな予感。トイレット・ペーパー乱舞はいつ見てもシュールだ……。冒頭は定石どおりかなり基本的なムーブの応酬ですが、ロデリックの気合の入ったアイリッシュ・ウイップやチョップ、エルボーには好感が持てます。今時なかなかいないですからねー。と言ってるとレイヴが派手派手な技ばっか仕掛けてるように見えますが、十分すぎるほどこちらも地味。だけど面白い。これがレスラーの力量なのか。 中盤からはロデリックはお決まりでエグいバックブリーカー地獄、レイヴも投げ技を少々使い出して、場を盛り上げ〆。試合後にはなんと今まで首輪付けて引っ張りまわされていたジェイド・チャンが反乱。ロデリックに助太刀し、今度の興行でのジェネレーションネクストvsエンバシーのスティールケージマッチが決定します。 このカードにおける平均点をしっかり出したって感じで文句のつけようもないですね。ここまでの試合が全部やや短めだったので、もっと長く熱い試合を見たいってのはありますがけどね。試合数が多いし、メインがメインなんで。 リッキー・レイス vs ペリー・プリメイア
えらく冒頭からハイスパートだなぁと思いきや、ガチで瞬殺劇。リッキーの試合見るのこれで3試合目か4試合目ですけど、今まで見た試合が超絶塩・ハイスパ・ハイスパでは実力査定のしようがありません。それともこれはガチでハイスパ基本のレスラーなのか……。ジェイムズ・ギブソン vs ジミー・ヤン
元WWE同士であり、WCWではカズ・ハヤシと共にヤング・ドラゴンズというユニットを組んでた2人の対決。そしてギブソンはこれと次の日の興行でWWE出戻り、ヤンはこれがROHデビュー戦という対照的な構図。スキットでもSmackdown!やらWrestle
Maniaといった名詞が飛び出すあたりがニクイ。しかし全身白スーツ+グラサンのヤンはかなりインパクト強いなぁ。冒頭から素早い攻防で客を魅了。双方とも何気ない一挙動からでも培われてきたテクニックが伺えてきます。もちろん表立ったテクニックの方も抜群。ベーシックな攻防から一捻り入れるだけでこれほど面白くなるとは。後、わざわざ狭いリングサイドにヤンを落としてからギブソンがトペして二人ともフェンス越えてひっくり返ったのには笑った。相手ロクに身動き取れないんだから普通そこはベースボールスライドだろ……。 その後も丸め込み合戦や、 フィニッシュムーブを巡る攻防など実に面白かったです。いやはやヤンがROHリングの広さとスプリングの強さに戸惑う場面も散見されるものの、これだけやれれば十三分に充分ですよ。このカードでこの位置なのであっさり目かと思いきや思った以上に熱い試合でした。グッドマッチ! ホミサイド vs ジャック・エヴァンス
冒頭からノリノリの両者で良試合になりそうな気がしたのですが、実際の試合は散漫な印象。両者のリズム合ってないくさいのと、ジャックの調子が悪いorやる気ないように思いました。とにかくジャックにいつものキレが無いです。そして試合も終わるかと思いきや、何故か2階バルコニーにいたコルト・カバーナ(?)の突然の長マイク。何言ってるのかさっぱり分からんorz まぁこの後のオチを考えても、翌日の試合への繋ぎっぽいですね。 小橋 建太 vs サモア・ジョー
案の定、前の試合終了から小橋チャント。入場時には「小橋建太命」と書かれた大型の幕まで上がり、本来アメリカでは流行ってないはずの紙テープも武道館並に投げ込まれ、エラいことになってます。あ、もちろんジョーの入場時とかはジョーチャントで相当盛り上がってますけど。この当時ではROH世界王者ではないといえ、やっぱりROHのアイコンですからね。冒頭からジョーがロックアップするフリしてローキック、ロープに追い込んでブレイクする際に顔面に張り手などヒール的行動に。それに対して小橋は溜めて溜めての怒りの形相。あー日プロ的だなぁと思う瞬間。そして気合のチョップ!なかなかの当たり具合で観客大喜び、そしてフェイスtoフェイスの状態。これだけで「This is Awesome」チャント!まだローキックとチョップと張り手しか出てないのに。(笑) そこからジョーがパワーを見せつける展開。やはりトペも出して小橋を圧倒。そしてチョップ合戦。つうか小橋がホーガン化してる。(笑)チョップ合戦では分が悪いと見たか、ジョーが突如重いミドルキック連発から軽やかな延髄切り。かなり説得力ありましたねー。 さらにジョーが川田を意識してのステップキック。小橋が再び咆哮!この試合で既に3回ぐらい咆哮してます。テンション高すぎ!しかしジョーもチョップ→ステップキック→ニーリフト連発で再び小橋をダウンさせます。気合の入った打撃戦に観客は大ROHチャント。 ガチ乗りのニードロップで小橋をリング外にエスケープさせ、そして待ってましたのオレキック!いやまさか小橋がオレキック受ける日が来るとは思わなかった……。1発目はヒットするも続けての2発目は袈裟切りチョップで迎撃。お前らホント期待を裏切らないね!そして何故か小橋によって椅子に座らされ、胸元にチョップ受けるもフェンス飛び越えてひっくり返るジョー。(笑) この後場外で小橋がDDT出してましたが、もう場外戦入っただけで観客総立ちですね! 小橋優勢のままリングに戻してチキンシンク。しかしジョーが重すぎてスピードが遅く、当たりが弱い。そこからバーニングソード→ダウンしたジョーに大根切りチョップ連発。いちいち「Ooooooh!」っていう観客達が素敵すぎる。 再びThis is awesomeチャントが鳴り響くなかド迫力のチョップ打ち合い。小橋が再び咆哮して、袈裟切りチョップ連発。いやー2日目と同じくチョップだけで試合作ってますね。さらにジョーの片手持っての袈裟切りチョップ連発→ローリング袈裟切りチョップするのを避けてSTOっていう展開は上手かったですね。ジョーはすかさずランニングセントーンをきめコーナーに追いやると、今度は小橋にとって記憶も冷めやらぬ東京ドームでの対戦相手だった健介を意識して、チョップとパンチを交互にぶちこみます。本当ジョーは日プロを愛してるな! そしてジョーがコーナー寄りの状態でパワーボム→STFの流れかと思いきや、意表をついてそのまま反転してターンバックルパワーボム!この展開は上手すぎる。グロッキーの小橋に顔面ウォッシュまできめると早くもマッスルバスター!リスペクトしてるのは分かるんですけど、ちょっとこれは頂けないですね。なんぼなんでももうちょっと後半の方が良かったですね。むしろこのタイミングなら三沢を意識させるアイランドドライバー解禁の方が楽しいですわな。 当然の如く2カウントながらもジョーの優勢は続き、グラウンドでのニーリフト2発から待ってましたのパワーボム→STF!いやーホントこんな光景が繰り広げられるとは思いもよりませんでしたよ。観客からはPlease Don't Tapチャントが鳴り響く中、ロープブレイクされかけ素早くクロスフェイス→変形チキンウイングに移行したのも必死さが出ててよかった。結構ジョーのSTFは繋ぎのイメージが強かったけど、なかなかノレましたね。 小橋はコーナーに振られて、走ってきたジョーに袈裟切りチョップ。そしてついにハーフネルソンスープレックス!ただし相手が重いのと始めて受けるのもあって異常なぐらい角度甘い(笑) ここまで甘いのは初めて見た……。自分も後ろに倒れるハーフネルソンバスターって感じ。 ここで復活した小橋はジョーをコーナーに追い込んでローリング袈裟切りチョップからついにマシンガンチョップ!30発以上ぶち込んでさらに青春の一撃連発。カメラマンが気を効かせてジョーの肩のあざをアップにしたのは良かったですね。 そして再びハーフネルソン。今度は流石に低空ながらも角度きつめ。しかしジョーも反撃で物凄いエルボー連発。ここまで凄いジョーのエルボーは初めて見ますね。しかし小橋がなんとかスリーパーを決めてその状態をかなり引っ張った後に、ついにスリーパースープレックス。ジョーが重過ぎて脳天から刺さってやばそうでした。観客も総立ち。 そこからは双方とも凄まじい打撃戦を繰り広げて〆。大小橋チャントが鳴り響く中、ジョーがガチで後頭部が痛そうでしばらく立てなかった光景が印象的でした。しかし何とか立ち上がり抱擁すると、観客総立ちで「アリガトー」チャント。感動的な光景ですね。その中、2人ともあっさり退場。翌日あるからでしょうけど現金ですね。(笑) DVDではその後試合のリプレイと試合後の双方のインタビューが収録されていました。小橋の方は日本メディアによるインタビューでアメリカ人置いてきぼり。(笑) 結構小橋自体はさばさばとしてましたね。 試合総評ですが正直2日目の試合を先に見てただけに、こっちも結構激しい技の飛び交う試合かと思ってたんで、出し惜しみ感というか「まずは手合わせ」といった感が漂っています。しかしROHには少ないもの=真に迫る、感情のこもったプロレスを持ち込んだのは正解だったと思いますねー。それに予想以上の打撃戦で満足です。特にジョーの打撃を引き出した功績はデカイですね。普段AJやダニエルズ相手じゃあそこまではやらないですもん。 それと観客不在では成り立たない試合だったということが言えると思います。観客とジョーのリスペクトする気持ちが伝わってくる素晴らしい試合でした。昨今の事情を考えるに再度シングル組むことすら難しい情勢ではありますが、是非とも全力でぶつかる姿を見てみたいものです。 というわけで結果的にはメインのワンマッチに一極集中してる感のある興行でした。いや、他の試合もギブソンvsヤンは素晴らしいし、レイヴvsロデリックとか3wayとか2王座戦とかも良いんですが、メインの前には霞んでしまうんですよ。でそのメインも感情移入するタイプなのでなんとも評価つけにくいのですね……。なまじっか自分が小橋ファンなだけにね。でもやっぱりSじゃないかなというのが結論です。 それと見てて気づいたんですが、小橋が来て大盛況とはいえ、なんぼなんでも人詰め込みすぎ!実況席がリングとくっついてたり、入場口から見て左右のサイドが人がやっとこさ1人通れる程度の幅しかないのは……。結果として場外ダイブもかなり控えめですしね。ジャックだけは相変わらずですが。(笑) (執筆日:2007年3月10日) |
Unforgettable | 評価:S |
米インディーファンにとってかなり話題になった、小橋の初めての海外遠征。今回はROHにおける2興行目、2005年10月2日・ペンシルバニア州フィラデルフィアにて超豪華タッグ戦の組まれた興行のレビューをお届けします。 【ROHタッグ王座戦】
双方とも基礎がちゃんと出来てて技のセレクトも良いですね。チームワークもあるし、独創的ツープラトンも持っており、まさに良いJrタッグといった様相。ただ今回スプリングの効きが良いのも合まって、かなりダメージ的に軽い印象を受けます。トニー・ママルーク&サル・リナウロ vs ダン&マルコス 試合はいきなり場外ダイブ技が飛び出し盛り上げるなど、オープニングマッチの役割を十二分に果たしました。ただラストのツープラトンが……。多分失敗なんでしょうね。 【4コーナーサバイバルマッチ】
クラウディオの入場コスが奇抜。白スーツにひでぇ柄シャツて。その外見から伺えるとおりで初っ端からお笑いスポットで切り込みました。ナイジェル・マッギネス vs ジェイ・リーサル vs デイビー・アンドリュース vs クラウディオ・カスタニョーリ 他にも各選手の高い能力を活かした不思議スポットがいくつかあり、中でも20カウントリバースブレーンバスターは傑作というかお笑いの領域に突入してます。 リッキー・レイス vs ディレック・デンプシー
リッキーはZERO1のDVDで散々だったんでかなり戦々恐々としてました。しかしまさかの瞬殺劇。まあシングル5連戦ですからこんなのがあっても不思議では無いですが。ジェームス・ギブソン vs ロデリック・ストロング
ギブソンのROHラストマッチ。かなり良マッチの予感がしましたが、わりと普通な打撃と関節がメインでイマイチ興奮できませんでした。無論、双方の高い技術力は伺えましたが。ただかなりハードヒットな打撃+ロデリックの背骨折りで「痛みの伝わるプロレス」を渋く熱くやってくれたと思います。相当なロングマッチです。 コルト・カバーナ vs ジャック・エヴァンス
試合前のタッグチーム王者のスキットの途中から、ジャック退場の途中まで極端に音量落ちるので注意。
音量の編集ミスが痛すぎる。まあ試合自体はカードから予想できる内容ってことで息抜き試合的なポジションですね。 ジミー・ヤン vs クリストファー・ダニエルズ
かなり期待できるカードですが見事に応えてくれました。試合時間も内容も興行全体からするとまさにうってつけといったところです。小橋 建太&ホミサイド vs サモア・ジョー&ロウキー
これぞメインイベントに相応しい。即席タッグながらも超一流のレスラー達が見事な仕事をしてくれました。小橋がホントにチョップだけで試合作ってるんで、省エネしてるのかと思いましたが、いきなりジョーにスリーパースープレックス、ロウキーにハーフネルソンスープレックスを放ち、終盤モードに突入したのは見事。 ……しかし、小橋へのリスペクトの念は凄いもんですね。ホミが3回も場外に飛んだり、ジョーが後半の頭に筋肉バスター出すあたりに気合いの入れようが伺えます。尊敬してるからこそ全力で戦う。あっぱれなもんです。またラストに、ジョーが「コバシサン、ドモアリガトウゴザイマス」とマイクしたのには、彼のキャラに合わないので非常に驚かされると共に、本当に好きなんだなと伝わってくる一幕でした。 興行全体から小橋へのリスペクトが伝わってきて非常に熱く楽しく面白かったです。 各試合ともレベルが高いのですが、息抜き的な試合やノれない試合もあったんで、Aランクかなーと思っていました。しかしメインが見事に覆してくれました。ノアファンがメイン目当てで買っても全く問題無いクオリティだと思います。 (執筆日:2006年4月6日) |
Buffalo Stampede | 評価:B |
2005年10月15日、ニューヨーク州バッファローで行われた興行です。一番期待してるのはやはりロウキーvsカバーナですね!他にもマッギネスvsジョーのROHピュアレスリング王座戦、アメドラvsコリノのROH世界王座戦も楽しみです。 BJウィットマー vs デイビー・アンドリュース
見事なまでにスカッシュマッチ。クラウディオ・カスタニョーリ vs ステーリング・キーナン
これもスカッシュマッチ。CCが「ヘ〜イ!」で自分のペースに持ち込んだのが印象的。あとリコラボムの前に放った変形デスバレーボムの切れ味が良かったです。ジェイ・リーサル vs ジミー・ジェイコブス
ジェイコブスのヘタレキャラぶりは見てて楽しいのですが、やっぱりリーサルしょっぱい……。【ROHピュアレスリング王座戦】
ピュアレスリングの名に相応しい非常にベーシックな試合。マッギネスのヘタレ&小ずるいキャラも板についていてなかなか面白かったです。ナイジェル・マッギネス vs サモア・ジョー 【NoDQウォー】
ロデリック羊ジャックのGNと、アビスをゲストに迎えたエンバシーが反則裁定無しで激突。……したのはいいのですが、なんというかキャリアの短さが裏目に出たか大きなスポットばかり重視してて、全体的に見ると今一つな試合でした。場外に何故か設置されてる金網ケージからの630toテーブル、断崖式シェルショック(?)toテーブルぐらいしか印象に残りません。それとコーナーでグロッキーのアビスに斜めにラダーをかけて、羊とロデリックがそこを駆け上がって攻撃する場面があるんですが、2人とも駆け上がる最中でこけたのには爆笑しました。ジェネレーション・ネクスト vs ジミー・レイヴ&アレックス・シェリー&アビス 【ROHタッグ王座戦】
面子からすると結構派手な対決になるかなと思いきや、打投関飛のどれもがバランス良く織り交ぜられた試合でした。特筆すべき事は特にないのですが、なかなか面白かったと思います。あえて言うならサル・リナウロとリッキー・レイスが微妙すぎ、そしてフィニッシュもちょっとあっけないかなという気がします。サル・リナウロ&トニー・ママルーク vs ホミサイド&リッキー・レイス ロウキー vs コルト・カバーナ
なんという異次元対決……。どっちが自分のペースに持ち込んでも良い試合になりそうです。というわけで結果から言ってしまうと、カバーナが完全に引き込んでしまいました。巧みなグラウンドとお笑いスポットを織り交ぜ、ロウキーも付き合います。というかロウキーが序盤で普通に笑ってたのが凄い驚きました。その後は我慢していつものごとくしかめっつらしてましたけど。(笑) 序盤からカバーナペースなので、途中から怒ったロウキーがいつものごとく蹴ったり飛んだりするのかと思いきや、なんと最後までほとんど派手な技が出ません。それでも客席を惹きつけることができたのはやはりカバーナの上手さによる物だと思います。別にロウキーが下手ってわけじゃないんですけどね。まぁなかなかの試合でした。ただラストの取ってつけたようなオチは許さん。 【ROH世界王座戦】
この試合はちょっと微妙でしたねー。というのも開始直後からコリノがラリアット→ノーザンライトボムを決めて盛り上げた後、客弄りするんですが、アメドラまでそれに乗っかって客にコール要請したりしまくったので、前半10分はほとんど客弄りしかしてないという異常事態に。ブライアン・ダニエルソン vs スティーブ・コリノ そこからいつものごとくグラウンドの展開→お互いフィニッシュムーブや大技交えて客席大盛り上がりという展開になるのですが、いかんせん序盤がほとんどすっ飛んでしまい、アメドラの試合で重要な攻撃の過程(相手のどの部位を攻め続けたとか)がうやむやになってしまった感じ。大技が出たりして本来なら盛りあがるはずの終盤でも客席が盛り上がり切れない印象を受けました。ラストとかはかなり良かったんですけどね。レッグロックスープレックスとかクロスフェイス・チキンウイングとか今ではあんまりしない技も出してて面白かったです。 全体的に「Back to Wrestling」というフレーズが似合う興行でした。後半の試合は特にどれも地味な面白さが際立っていたように思います。唯一派手派手な対決となるはずのNoDQウォーも若さが裏目に出てしまい、余計に懐古主義的な色が強くなった感じですね。 とはいえ諸手を上げて絶賛してこのDVDを薦められるか?と訊かれたら正直難しいとしか言えません。こういう興行もできる風土があるのは良いことだとは思うんですけどね。 (執筆日:2008年3月21日) |