Final Battle 2004 評価:C
 2004年12月26日、ペンシルバニア州フィラデルフィアで行われた興行となります。名前の通り2004年最終興行となる今大会、アンダーカードこそ弱いものの、セミにロウキーvsダニエルソン、そしてメインはジョーvs羊ということでかなり期待できますね。


ジミー・ジェイコブス vs トレント・アシッド
 オープニングマッチらしい良くも悪くも軽めの試合。中々スピード感のある展開で飛び技も多少出て客席を温めます。しかしアシッドのミスムーブはいただけない。


ドレンジド&レイシー vs エンジェル・ダスト&ベッキー
 男女混合のいわゆるミックスド・タッグマッチ。多分スペシャルKの内紛劇なのかな?
 試合はドレンジドとエンジェルダストがぬるくてグダグダな飛び技祭りをする中、女の子らがそれにちょっと絡んだだけという感じ。全くもってストーリー進めるためだけの試合ですね。


ホミサイド vs ジョシュ・ダニエルズ
 これまた何ともいえぬカードですが、ホミサイドマニアにとっては驚愕の試合になりました。なんとあのホミサイドが試合開始からグラウンドやって、腕への一点攻めだけで試合を進めたのですから。まさか腕ひしぎ十字固めやるホミサイドを見ることになるとは……。キャラ違いすぎて吹きましたよ。
 全体としてはわりかし短い試合だったのでそこまで酷くもないのですが、良くもないです。「ホミサイドによる技巧派試合」というネタ以上のものは無かったですね。


【ROHピュア王座戦】
ジョン・ウォルターズ vs ジミー・レイヴ
 それなりに面白くなるかなーと思いきや、無駄なロープワークが多く予定調和な印象を受けました。ベーシックなムーブだけで魅せようとする志は買いたいんですが、まだそれで魅せられるほどの実力は無かったようです。後、最後のアレは突っ込み所多すぎて閉口させられました。


【ファイト・ウィズアウト・オナー・マッチ】
ダン・マフ&BJウィットマー vs カルネージ・クルー
 全体的にぬるーいハードコアマッチ。血を流せばいいってもんじゃないですよ……。でも後半に4人が唐突にラダー上り出したのはかなり笑った。そしてミックがいきなりゲストとして登場、凶器としてソッコを渡すのかと思いきや、ソッコの中から画鋲をばら撒いたのは燃えましたね。


ジェイ・リーサル vs ウェポン・オブ・マスク・デストラクション#2
 プリンス・ナナに連れられてきたウェポン・オブ・マスク・デストラクション2号がリーサルと対決。ちなみに中身は若き日のエル・ジェネリコ。
 リーサルの動きのキレがいつも以上に良く単発の動きは満点なのですが、やはり間の取り方に難があり、全体的に見て今一つ緩急が足りず盛り上がりも欠けた印象を受けました。ジェネリコも流石にこの時点では相手引っ張りきるまでには至っていません。


スティーブ・コリノ&CMパンク vs ロデリック・ストロング&アレックス・シェリー
 異色すぎるタッグがGNの中でも相性の悪そうな2人と激突。一体どうなることやら……。
 序盤から仲互いして笑わせてくれるコリノ&パンクですが、その隙を突こうとするGNの2人に対してはしっかり攻撃して大物の風格を見せます。対するGNですがこの組み合わせは相性が良くなく、試合経験もあまり無いのが仇となって、全体的に動きが粗く魅力を感じられませんでした。正直相手に食われてしまいましたね。


ロウキー vs ブライアン・ダニエルソン
 ロウキーとブライアン・ダニエルソン。旗揚げ戦からROHのトップで闘いを繰り広げた両者が久々の激突です。かなりワクワクするカードですね。
 やはりグラウンドから試合の幕が開きますが、ロープワークを一切せずひたすら打撃と関節を繰り広げる展開が続きます。やがてプロレス技も織り交ざっていくのですが、軸は打撃と関節のままなので、そんな大したことのないプロレス技もこの試合ではかなり重みを感じましたね。特にダニエルソンのロメロスペシャル&ドラゴンスリーパーの合体技や、雪崩式ブレーンバスター、それからロウキーにドラゴンクラッチ食らいながらエアブレンスピンを敢行した場面が非常に印象に残りました。
 ただ盛り上がりかけてきた所で唐突に試合が終わってしまったのは最悪としか言いようがありません。04年最終興行なんですからちゃんとしてほしかったです。かなりガッカリ。


【ROH世界王座戦】
サモア・ジョー vs オースティン・エリーズ
 03年3月の戴冠から早1年8か月。絶対王者として君臨するジョーがエリーズを相手に防衛線を行います。果たしてジョーは王者のまま05年を迎えることができるのか?
 試合はエリーズはジョーを投げられるのか?という焦点を軸に、全編に渡って打撃と関節技中心の展開が繰り広げられます。エリーズは序盤からジョーの足を一点攻撃するのですが、パワードライブエルボーで足を攻撃したのはちょっと笑いました。奇想天外な切り返しとか派手な飛び技も少なめで渋めの試合ですね。
 ただ問題がいくつかあって、まずジョーの動きが全体的に悪く、更に体重の軽いエリーズが相手ということで攻めを遠慮してしまっていることです。やはりジョーの魅力は攻めだと思うのでこれは痛い。またエリーズも投げ技だけでなく飛び技まで封印してしまったため、いつものようには観客を魅了できていません。打撃&関節技だけで観客を惹きつけるには、あまりにもキャリアが短すぎるということなんでしょうね。更に打撃の主力として使っていたエルボーも今一つインパクトが足りず、ジョーをぐらつかせる説得力が無かったのもマイナスに影響していました。
 まぁまぁ良い試合なんだけれども決してベストではないという感じの試合ですね。試合の流れに足を引っ張られて双方の持ち味を出し損ねてしまった印象を受けました。ジョーのコンディションあるいはエリーズの能力に原因を求めるのは容易いのですが、せめてお互いガンガン攻め合う王道展開にしていれば……。この2人ならもっと良い試合できるのは疑いようがないだけに悔しくて仕方がありません。節目の試合にも関わらず試合時間が20分を切っているというのは寂しい話です。


 対戦カードからすると結構不満の残る興行でした。アンダーカードのマッチメイクが手抜き気味なのに、期待のセミまでスカしちゃうなんて鬼の所業ですよ。メインも大爆発まではまでは行きませんでしたし、残念すぎます……。

(執筆日:2008年9月9日)

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