The First Navigation'07 1.21 日本武道館大会 | 評価:B |
2007年最初の武道館は中々の好カード揃い。中でも秋山vs潮崎とブリスコ兄弟vs鼓太郎&マルビンに注目ですね。 佐野 巧真 vs 杉浦 貴
ジュニア2冠を失い本格的にヘビー級転向を目指す杉浦の前に立ちはだかったのは、ファイトスタイル的にも噛み合いそうな佐野。ゴツゴツとした試合になりそうです。試合は殺伐としたグラウンドで開始。グラウンドの攻防は良いのですが、その後のソバットを始めとする蹴りを絡めた攻防がもっさりすぎて失笑モノなのは勘弁して下さい。シングルとはいえカード順としては真ん中であるため、10分経たずにフィニッシュムーブが飛び交う攻防になったのですが、全体的に淡々としすぎていてそこまで盛り上がらなかったのが痛いですね。 とはいえ杉浦が佐野相手に全くパワー負けしておらず、ヘビー級戦線での活躍を予感させる試合内容でした。そこまで良い試合でもなくぼちぼちといったところですが、三沢vs佐野よりかは確実に面白かったです。(笑) あと佐野はコーナートップからエプロンに横たわる杉浦へのダイビングフットスタンプがあまりにも微妙すぎました。 秋山 準 vs 潮崎 豪
この頃はまだまだ若手枠で格上げのチャンスが中々無かった潮崎が秋山に挑みます。こういう所でしっかり噛みつきたいですね。秋山が腕攻めを軸に徹底的に攻め込み、潮崎が受けて受けて反撃するというオーソドックスな流れでしたが、潮崎の躍動感ある攻めもあって好試合に仕上がっています。試合時間は短いですけど充実してました。ただ気になるとすれば試合後も秋山に余裕が見られたこと。潮崎にはまだまだ頑張ってほしいです。 【GHC Jrヘビー級タッグ選手権試合】
ノア初参戦にしていきなりベルト奪取という、えらく恵まれた待遇のブリスコ兄弟に鈴木鼓太郎&マルビンが挑みます。これまで何度も挑戦し、あと一歩のところまで行きながらも辿りつけなかったベルトを、今度こそ巻くことができるのでしょうか?ジェイ・ブリスコ&マーク・ブリスコ vs 鈴木 鼓太郎&リッキー・マルビン 冒頭からノンストップのハイスピード&華やかな展開が続いたこの試合。ほとんど初顔合わせなためぎこちない場面も多々あるものの、合体技を中心として双方ともどのムーブも独創的で素晴らしいものばかりです。特に スワンダイブで空中に飛びあがったマークをリッキーがスワンダイブ式飛びつきフランケンシュタイナーで撃墜した シーンは必見。未だにはっきり覚えてますねー。あとはマークがエプロンから走って鉄柱を飛び越えてダイブしたのもこの試合でしかやってなかったと思うので、相当レアですね。 今大会のベストバウトで間違いないと思いますが、この対戦カードならまだまだ行けるだろうと思ったのも事実。再戦はジュニアタッグリーグで実現しているのですが、あれから2年以上経った今、改めて実現してほしいですね。いやはや金丸&鼓太郎のヒールタッグが成功したのを知っていても、こんな試合を見ると鼓太郎&マルビン組の解散はするべきではなかったと思ってしまいますね。ダブルインパクト系に頼りすぎなきらいはありますが、過小評価されすぎですよ。 力皇 猛&丸藤 正道&KENTA vs 高山 善廣&鈴木 みのる&SUWA
SUWAのノア引退試合ということでかなり刺激的なカードですね。この面子ならどの組み合わせでも何かしら見応えのある物を見せてくれますから、まったく試合内容に関して不安は無いです。ということで引退試合ながら6人タッグマッチということで、各人とも余裕を残しつつ己の得意分野を押し出していくという流れに。力皇vs高山、丸藤vsみのる、KENTAvsSUWAの場面は特に面白かったですが、力はともかくとして丸藤&KENTAはどの組み合わせでも面白くできますからね。安定感が半端無いです。それからラストがあまりにもSUWAらしい展開でとても印象に残りました。 【GHCヘビー級選手権試合】
昨年行われた三沢とのシングルマッチで激しい試合を繰り広げた森嶋が第3次三沢政権の最初の壁となって立ちはだかります。三沢 光晴 vs 森嶋 猛 三沢が場外でパワーボム受けた際、脳震盪(?)か何か起こしてしまい、ほとんど記憶のないまま闘っていたことで知られるこの試合。ただでさえ衰えが目立つのにそんなコンディションでマトモな試合ができるはずもなく。森嶋に試合をリードするだけの巧者ぶりを求めるのも無理があり。いっそのこと介錯してあげるべきだったのでは?とさえ、エメラルドフロージョン風ボディスラムとタイガードライバー91風タイガードライバーを見ると思ってしまいますね。 Jrタッグが大会ベストバウトとして、秋山vs潮崎と6人タッグマッチが良試合、佐野vs杉浦、三沢vs森嶋が甘めに見て並ってところですね。 (執筆日:2010年1月9日) |
Spring Navigation'07 4.28 日本武道館大会 | 評価:C |
2007年の4月武道館はなんとドラゴンゲート勢が参戦!結局武道館に参戦したのって今のところこれだけでしたっけ……。GHCタッグも良かったとの評判で楽しみです。 丸藤 正道&リッキー・マルビン&太田 一平
Typhoonで固めてきたドラゲ勢に対し、ノア側はマルビンと太田という変な構成なのが気になりますね。因縁(?)のある石森や本日用事があって欠場している鼓太郎はともかくとして、金丸やKENTA送り込んでも良かったと思うんですけどねー。vs CIMA&横須賀 享&ドラゴン・キッド 太田vs横須賀によるベーシックな展開からスタートすると、キッドvsマルビンの派手な手合わせからついに丸藤vsCIMAが実現。低空ドロップを避け合う場面は斬新ではありましたが、何故かちょっと笑ってしまいました。全体的に顔合わせの色が強く、内容的には控え目でしたが、好試合に仕上げてきています。特にマルビンとドラゲ勢の絡みはやはり熱かったですね。花道にいる相手へリング内からスワンダイブ式フランケンシュタイナーをしかけて、かけ手も受け手も花道上に転がったのは度肝を抜かれましたよ。あんな狭いところでようやるわ……。それとこの面子では浮いてるように思えた太田ですが、気合の入ったファイトで存在感を示していて良かったです。 それから試合後のCIMAのマイクも面白かったので必見です。流石にこっちはノア勢に圧勝でしたね。(笑) 【GHC Jrヘビー級選手権試合】
杉浦を破壊し手に入れたGHC王座。日高・石森と防衛し、次の挑戦者はムシキング・テリー!……というかノアが高岩に対して相性悪そうな飛び技系の選手を当てまくるのは何かの嫌がらせなんでしょうか。高岩 竜一 vs ムシキング・テリー 試合はいきなりのデスバレーボム&ラリアットで開幕。試合開始5分経たずにコーナートップの攻防になって唖然としましたが、流石にここは自重してグラウンドの展開へ。しかしテリーの技を受け切れずにミスするわ、10分経たずにラリアット連発&雪崩式ブレーンバスター&垂直落下式ブレーンバスターと大技攻勢をする等、高岩があまりにも酷すぎます。10分のアナウンスが入ると雪崩式デスバレーボムからデスバレードライバー、今試合始まってから5発目のラリアットは顔面にぶち込むなど無茶苦茶も言い所です。 しかしここまであまり攻めさせてもらえなかったテリーが急に攻め始めたのでおかしいなと思っていたら、いきなりミストクラッシュ2連発という荒技に出てビックリしました。しかもフィニッシュムーブ2連発してフォール取れないとか……。更に微妙な新技・テラドライブ(雪崩式でしかける尻もち式のヒップトス)を披露すると、万を持してフェニックススプラッシュ!!!……のはずが飛びすぎて膝の下の方が高岩に乗っかるぐらいでクリーンヒットせず。なんてこったい! さり気に素顔&覆面通してこの手のダイブ技には縁がなく、ノアマットでこの手のプレス系フィニッシュムーブを使う選手ってスコーピオの450プレス以降ほとんどいないので、ちゃんとヒットして定着させたら唯一無二の切り札になったでしょうね。素顔の方も長い間決め技の説得力でとやかく言われていたことを考えると、ここでちゃんと成功してたらノアジュニアの歴史が変わってたかもしれないと個人的には思います。ここで失敗して定着を断念してしまったから、彼は素顔に戻った後別の切り札を作るため、ヒールになりレクイエムを開発した……というのは妄想が過ぎますか。いやはや残念です。 試合総評なんですけど、正直言って悪い部類かと思います。両者ともスタイルは違えど技に頼り切ってしまってるし、攻守の交代が露骨すぎました。あと高岩からは新日系に多い「自分は攻めるだけ攻めて、最後ちょろっとだけ受ける」気が伝わってきて嫌な感じを受けました。それから試合タイムが16分少しということでGHCのJrヘビーとしては短い方ですが、正直長く時間とってもそれほど良い試合にはなさそうです。これで済んだだけマシなのかもというネガティブな意味の安堵さえ出てくるような内容でした。 【GHCタッグ選手権試合】
GHCヘビー級のベルトを取ったことある2人がタッグ王者になります。対するはこちらも元GHCヘビー級王者の高山と、ヘビーに転向して売り出し中の杉浦。一体どんな闘いになるのでしょうか?秋山 準&力皇 猛 vs 高山 善廣&杉浦 貴 力皇vs高山のタックル合戦、秋山vs杉浦のエルボー合戦で幕が開くと、打撃戦を軸にした武骨な展開が続きます。しかし杉浦や秋山がいるので、ヘビーにしては中々小気味良く進みかなり面白い試合に仕上がりました。杉浦が力皇を投げまくるのはビビりましたね〜。タフネスについてはこれぐらい耐えられるだろうと見ていたので、会場の観客の様には杉浦に肩入れ出来なかったものの、ヘビー級の勢いと重さのある攻撃の打ち合いには十二分に興奮させられました。あと、秋山の屈んだ相手に決める低空版ブサイクへの膝蹴りみたいな技が結構好きですね。 近年団体問わずジュニアが凄すぎて、ヘビーにまである程度のスピードとかを求められたりして凄く難しくなってると思うんですけど、この試合はヘビー級ならではの面白さを提供できている珍しい試合じゃないかなーと思いました。あと試合後に今度はTAKAみちのくが登場!CIMAと同じくマイクの達人が一席ぶちかまし、会場を盛り上げています。 【GHCヘビー級選手権試合】
薄々予想はついていたものの暗黒時代となってしまった第3次三沢政権。2回目の防衛戦は”しょっぱいフットスタンプ男”佐野です!全盛期の三沢ならいざ知らず、今やるとどのぐらいしょっぱくなるのか予想もつきません。三沢 光晴 vs 佐野 巧真 ファーストコンタクトからローリングソバットを打ちまくる佐野に対し、三沢も警戒しており避けまくります。……しかし何か滑稽な光景だなぁ。その後、三沢は早々にトペ→場外ブレーンバスター→コーナートップから場外へのダイビングフットスタンプと即死コンボを食らってしまいます。リング内に戻ってもローリングソバットを受けまくりで、あまりの悲惨さに悲鳴を上げたくなりますね。反撃の技もダイビングボディプレスとタイガードライバーを出したぐらいで、それ以外はずっとエルボーのみ。流石にローリングソバットとエルボーのリレーはあまりにも酷過ぎる……。 中盤以降ダイビングフットスタンプ2発に加え、緩いノーザンライトボムも連発で食らい、もはや試合というより公開処刑に近い状況へ。結果を既に知っているのでこっからどうやって反撃したのかと思いきや、エメフロを2連続で出したのは吹きましたね。しかも返されるとは……丸藤相手に既に雪崩式エメフロを出したということを考えても世も末ですわ。 というわけで良い試合と駄目な試合が2試合ずつ揃って見事に相殺しあってこの評価と相成りました。駄目な試合が両方とも傾向が似てる(一方が攻めすぎ)ってのも面白いですね。試合見てる方からすりゃたまったもんじゃありませんが。 (執筆日:2009年3月23日) |
Great Voyage'07 9.9 日本武道館大会 | 評価:B |
今回の日本武道館大会は三沢の持つGHCヘビー級王座への挑戦権をかけたリーグ戦(ノアでは初のシングルのリーグ戦でしたっけ?)です。秋山vs森嶋と決勝は期待が持てそうです。 三沢 光晴&潮崎 豪 vs 藤波 辰爾&西村 修
今となっては色んな意味で実現不可能なカードですね。三沢はもちろんのこと西村も藤波と喧嘩別れしちゃいましたし。さて無我の2人を迎えたこの試合、やはりグラウンドレスリングが試合の大半を占めます。切り返しとかもしない超オーソドックスな攻防が続くんですが、緩急の付け方と技の精度で客を魅せる辺りは流石。ドラゴンスクリューやブレーンバスターが大技扱いされるプロレスをノアで見れる日が来るとは思いもよりませんでした。三沢と潮崎もそこそこ対応できてるあたり、当時のノアの試合スタイルを顧みると勿体ないかぎりです。ただ終盤に入って潮崎だけ投げ技連発し出したのは若いというか何というか……吹きましたよ。 【GHCヘビー級選手権次期挑戦者決定リーグ戦 Aブロック優勝戦進出者決定戦】
公式戦の同カードでデスブランドで勝って同点に追いついた斎藤に、丸藤が挑むという形です。流石に丸藤が2連敗するとは考えにくい状況ですが果たして……?齋藤 彰俊 vs 丸藤 正道 ファーストコンタクトから読み合い避け合いの攻防で会場を沸かせますが、その後は終始体格の勝る斎藤が丸藤を打撃で押し込むという展開。いやぁそれにしても丸藤の受けっぷりと変幻自在ぷりが素晴らしいですね。斎藤も凄くやりやすそうだったのが印象的。ただ最後のフェイントにフェイントを重ねてからの横入りエビ固めですが、そこまでの流れは良かったんですけど体格差考えるとちょっと強引だったかも。 【GHCヘビー級選手権次期挑戦者決定リーグ戦Bブロック公式戦】
森嶋が入場時にROH世界王座のベルト持ってて驚きました。そんな時期もありましたね〜。秋山 準 vs 森嶋 猛 いきなり森嶋がラッシュを仕掛けたのは良かったですね。ただ場外戦で柵越えバックドロップtoテーブルを狙ったものはいいものの、机と机の間に落ちちゃって完全に間が空いてしまったのはよくないですね。かなりえげつない落ち方してたしな〜。その後はこれまでのリーグ戦で痛めた森嶋の腰を秋山が集中的に攻める形で逆転。森嶋も時々強烈な一発で反撃して、お互い潰し合う消耗戦の様相を呈します。起承転結がほとんど無いんで試合の完成度はそこまで高くありませんが、それでもなかなかの試合じゃないかと。 【GHCヘビー級選手権次期挑戦者決定リーグ戦優勝戦】
先の試合でボロボロの森嶋。しかし無情にもHYSTERICが流れだし、普段歓声ばかりの丸藤へ大ブーイング——という凄いシチュエーションの中で始まったこの試合。いやーノアがこんな展開を仕掛けてくるとは意外でした。しかし普通間に数試合挟むやろ。(笑)丸藤 正道 vs 森嶋 猛 というわけで丸藤が圧倒的有利な状況なわけですが、体格差では森嶋が圧倒してるわけで数発食らっても一発返せば帳消し状態なのが美味しいですね。最後らへんは逆境を跳ねのけて森嶋勝利か?と思いましたし。 一方の丸藤はたった10分の試合で正調不知火2発とトラースキック5、6発出してるのはちょっと手抜きすぎかと。ヘビー級相手にキックが有効なのは分かるんですが……。エプロンでの飛びつき回転エビ固めからの切り返しの攻防や、レフェリー飛び越えてのfromコーナーtoコーナー、そしてラストのぶっこ抜き具合とか良い場面も多々あったんですけどね。 お互い2試合目ということもあって省エネしつつラストに照準を絞った試合といった感じ。解説の高山も言ってますが「連戦じゃない形でこの2人のシングルが見たい」と思わせることに狙い通り成功していますね。 正直滑ると思ってた三沢&潮崎vs藤波&西村に加え、丸藤vs斎藤もきっちり面白く仕上げてきたのでノアの大会DVDにしては平均点高い方かと。 (執筆日:2012年8月9日) |