Navigate for Evolution'05 3.5 日本武道館大会 評価:C
 メインが印象的なこの大会。まぁつべこべ言わずご覧あれ。丸藤ヨネや不思議な組み合わせのタッグマッチ等、妙な見所もありますよ。


【グローバルハードコアクラウン無差別級選手権試合】
丸藤 正道 vs モハメド・ヨネ
 塩試合。意表を突く展開をやろうとして、ベースの攻防を疎かにしてしまった感があります。特にラストのコーナートップでグロッキーなヨネへのトラースキックが当たってないのがバレバレすぎて萎えました。後、断崖式不知火を出すタイミングはどう考えても唐突すぎだろ……。ヨネはヨネでもうどこから突っ込んだらいいのか分からないぐらい駄目。やりすぎのセール、説得力のない打撃……。こりゃ駄目だ。


三沢 光晴&鈴木 鼓太郎 vs 大谷 晋二郎&高岩 竜一
 スタートは鼓太郎vs大谷。いやはや初っ端から鼓太郎が凄いね。コーナーに背を向けた状態から背中支点にした逆上がりでコーナートップに上ったのはたまげたし、その後のトルニージョも完全に場外に飛んでから猛回転し始めて腰抜かした。普通回転しながら飛ぶだろ……。
 その後は打撃中心の展開。切れ味は良いものの、これは省エネペースかな〜?と思っていたんですが、終盤の派手な展開を見て考えを改めました。ジュニアが2人いて、しかも両方とも派手な技中心ですからね。ヘビー級の2人が引いたのは妥当でしょう。
 総評としては「なんだかんだいってそこそこ面白かった」という一言に尽きます。これからの先の戦いが楽しみになるような、良い意味でのショウケース的試合だったかと思いました。


秋山 準&森嶋 猛 vs 天龍 源一郎&鈴木 みのる
 案の定、みのるが偽曲に差し替えられてて残念。しかも入場長いのにギターインスト曲で差し替えするのは不自然だろ流石に……。ちなみに天龍はサンダーストームで、森嶋は悪い意味で話題になった「J」でちゃんと入ってます。森嶋の入場を眺める天龍の表情が非常に興味深い。
 しかし何ともはや無茶苦茶なカードですよ。しかもこれにセコンドが北斗と神取ですからね。混沌としすぎ!
 試合の方は凡戦以下ってところ。敗因は森嶋のスタミナと遠慮ですかね。中盤あたりで天龍のグーパンチから逃げてたのは駄目だと思うし、天龍に対してはちょっと手加減しすぎな気が。対照的に秋山が生き生きとしてただけに印象に残っちゃうんですよね。といってもこの試合自体どう考えても秋山発案なので、生き生きしてなかったらそれはそれで問題ですけど。あとみのるも天龍もやる気あんまり無くてワークって感じですね。


【GHCヘビー級選手権試合】
小橋 建太 vs 力皇 猛
 小橋建太がGHCヘビー級王座を取って丸2年になって初めての武道館です。ホント凄いですねー。わりと良かったという評判なのでちょっと期待。
 総評から言ってしまうと残念ながらイマイチでした。しかし力皇だけが駄目なんじゃなくて双方とも悪いです。小橋は前半攻めすぎ&チョップしかしなさすぎ。力皇はパワーボムしすぎ。1試合で4回も股の下に小橋抱えて持ち上げるのを見る羽目になるとは……。後はやられてる時もちょっと弱々しすぎかなと。各所で指摘されてるようにスタミナ切れてるのかと思ったんですが、よく見ると自分の攻撃ラッシュしかける番になると動き一変したのでスタミナ自体は残ってるんでしょう。セールの問題ですね。
 そこそこ良かった終盤も、やや技を出す順番や攻守の展開がイマイチでした。フィニッシュが一方的なのは結果から見て当然だとは思うのですが……。やっぱり小橋がムーンサルト出すの早すぎたと思うし、コーナーに据え付けてのバーニングソードはあのタイミングで出すのは紛らわしいですよ。実況までバーニングハンマーかと勘違いしてましたからね。体勢に入って抵抗あって落とすならともかく、そもそも違ってたのでは客もがっかりしちゃったと思うし。なまじっか終盤だけにマイク・オーサム戦でのリバース式カミカゼの時よりタチ悪いですよ。
 ムーブ的な見所はやはり力皇のハーフネルソン受け&掟破りのハーフネルソンが危なっかしすぎて怖かったのと、無双の説得力に尽きます。後は裏無双風の技、アレ結局裏無双だったのか無双・改だったのか分からないのが気になります。後ろからクラッチしてバックドロップなんですが、三沢戦での無双・改とも若干違うし(前からクラッチして横向きにバックドロップで投げる)、複数のソースで裏無双は前からクラッチしてフラップジャック風に落とすとなっていてよく分かりません。


 三沢鼓太郎vs大谷高岩と小橋力皇が+、丸藤ヨネと秋山森嶋vs天龍みのるが−でちょうど打ち消しあってオマケしてCって感じですね。中古で見かけて気が向いたら買うぐらいでいいかと。

(執筆日:2007年2月2日)


Destiny 2005 7.18 東京ドーム大会 評価:A
 ノアが昨年に続き東京ドーム大会を開きます。金丸vsKENTAや小橋vs健介といったノアの歴史に残ることになる名試合の他にも、三沢vs川田や力皇vs棚橋、ムシキング・テリーのデビュー戦など話題盛り沢山ですね。


杉浦 貴&SUWA&青柳 政司 vs 菊地 毅&百田 光雄&中嶋 勝彦
 中嶋がノア初参戦。実況によると中嶋17歳とのことなんですが、今より体重が重い感じがしますね。日焼けしてるせいかしら。
 いざ試合が始まると、とにもかくにも中嶋が目立ちまくり。特にキックを入れる場所と威力がいちいちエゲつなさすぎるのが目につきます。ハイキックにせよR-15にせよ現在に使ってるのはプロレス用に調整された物なんだと思わされるぐらいのヤバさですよ。開始5分と経たずに出したフィニッシュムーブのジャーマンも抱えて垂直に落としてますからね。ただ攻撃面は良いんですが、SUWAのフラップジャックをショルダースルーと勘違いして頭のてっぺんから落ちたのには肝が冷えました。それから急所攻撃を受ける時に実況が「成長著しい中嶋の急所が〜〜」と言ってて吹きました。これは俺が汚れてるだけなのかしら……。
 他の選手に関しては無難に仕事をこなしています。ちょっとSUWAが菊地にスパインバスターをした所がグダったぐらい。あと皆が派手な技を順々に繰り出して最後は全員ダウンという展開で、杉浦が百田に優しいスピアーを放って浮いていたのは笑いましたが、まぁ仕方がないですね。
 何か文句多いですけど、試合時間自体が10分切る程でして、流石に中年勢もそれほどスタミナが切れず見せ場をしっかり作っているため、なかなか良い感じのオープニングマッチに仕上がっています。


モハメド・ヨネ&森嶋 猛 vs 本田 多聞&潮崎 豪
 森嶋ヨネがバーニングの2人と対決。おお、森嶋がまだロン毛じゃないしそこまで太ってない。(笑)でも何かこれだとキャラ弱いですね……。批判受けてるけど現在の方がいいですわ。
 さて試合は潮崎の奇襲からスタート。場外戦にもつれ込むのですが、画面端でヨネが本田に場外ブレーンバスターをかけたのに何故か実況が「ヨネがギロチンダイブを放った〜!」的なことを言っててクソ笑った。どうもブレーンバスターを放った後、場外に開脚で座り込んでたので勘違いした模様。またリング内に戻った森嶋もスクラップバスターをミスり、復帰した本田は森嶋をデットエンドという名の低角度投げっぱなしジャーマンで投げ、その直後に潮崎が本田よりも高角度でジャーマンをかけた上で完全にブリッジしきるのを見ると、色々とアレすぎて脱力してしまいました。
 とはいえ潮崎がジャーマンを始めとしてこの時から優れた身体能力を見せつけており、期待の新人扱いされるのも納得です。特にムーンサルトプレスが素晴らしいですね。出し惜しみしても通用するだけの価値がありますよ。
 しかし潮崎が奮闘して森嶋もバックドロップでちょっと良い所を見せたにも関わらず、最後にまたヨネがポカやらかしてしまいました。ダブルインパクト式ローリングサンダーを潮崎に放つシーンで、ヨネがローリングサンダー(フライングニールキック)が滅茶苦茶低くて、潮崎の腹に足が入ってたのには頭抱えるしかありませんでした。クリーンヒットさせるのが難しいのは分かるけどそれはないわ……。


田上 明&佐野 巧真&泉田 純&永源 遥
vs 斎藤 彰俊&越中 詩郎&井上 雅央&川畑 輝鎮
 8人でこの面子ということもあってグダグダ・散漫な試合に終始しました。終わり方まで唐突とは……。


ムシキング・テリー vs ブラックマスク
 新技の提案がどう見てもエメフロな三沢社長、どう見ても「マスクを見つけたあるレスラー」の後姿が鼓太郎だったりな煽りビデオで一笑い。そして大会場なのに観客が無反応すぎて可哀想なネブ博士……。よくもまぁ試合前から色々ネタを提供してくれますね。(笑)
 さて鼓太郎ムシキング・テリーと、この時点ではブラックマスクという名前だったマルビンムシキング・ジョーカーのシングルマッチなんですが、どちらもファイトスタイルがルチャ寄りなのでかなり期待していました。しかし両者とも初めて着るコスチュームに違和感があるのか、今一つ技にキレが無く、技を適当に出してるだけで緩急が無い試合となってしまいました。8分なのにやたら長く感じるとか……。最後の決め技もグダグダすぎて、見てる者からすればまさしくorzな締めでした。
 それとコスチュームの腕部分とかにいっぱい飾りの紐がついてるんですが、それが飛び技などで激しく動くとゴチャゴチャして何やってるのか分かりにくいのは良くないですね。


【GHCジュニアヘビー級選手権試合】
金丸 義信 vs KENTA
 とまぁここまで今一つな試合が続いたわけですが、ここからが本番ですよ。まずはジュニアのシングル・タッグ両王座戦を通して金丸に今まで勝ったことがなく、シングルのベルトは巻いたことがないKENTAが「3度目の正直」で挑戦します。
 試合開始早々からKENTAが予想を裏切らないハイスピードな打撃合戦を仕掛け、金丸も真っ向から受け止めます。そこからグラウンドの展開になるも、金丸が飛び技を自爆した時に前受身を失敗して左ヒジを痛め、KENTAはアームホイップからのキーロックやキックで攻めこんでいく流れに。このアームホイップ良いですね。
 しかし金丸も負けずにいきなり雪崩式ディープインパクト→エプロンからのディープインパクトと大技を連発。5分過ぎでまだ投げ技もあまり出てない段階なので、流石にこれはどうかと思いましたが、とりあえず金丸は首攻めということで方向性を定めました。KENTAもガンガン蹴りこむ中、フロッグスプラッシュ→正調ディープインパクトと筋が通ってるのか通ってないのか分かりませんが大技を打ち込んでいきます。
 KENTAがフィッシャーマンズバスターという名の投げっぱなしフィッシャーマンズスープレックスを放つと、今度は金丸がディープインパクト→KENTAがキャッチしてGo2Sleep→金丸が振りほどいて垂直落下式ブレーンバスター→持ち上げられた所をKENTAが反転して金丸の後ろに回り込んでタイガースープレックスと見事な切り返しの攻防を見せて客席は一気にヒートアップ。終盤戦へ突入します。
 ここからお互いフィニッシュムーブを連打しまくる展開へ。金丸が垂直落下式BB→ムーンサルト→垂直落下式BBと放ってもカウントは2。流石に畳みかけられすぎてKENTAはもうダメだろうと思いきや、雪崩式フィッシャーマンズバスター→ターンバックル・パワーボム→ライガーボムが失敗してアリウープ(パワーボムの状態から自分の後方に投げ出してのフェイスバスター)→ライガーボムと金丸以上にやりすぎな大技祭り。ここまで来たらもう笑って興奮して潰しあいを愉しむしかありません!最後はブサイクへの膝蹴り→垂直落下式ブレーンバスター→Go2SleepでついにKENTA勝利かと思いきやまだカウントは2!驚愕すると共に、実況が「金丸が意識の中に落ちて行きました……行きませんでした!」と言ってて吹いてしまいました。
 試合総評なんですけど、この試合の大きな特徴にして致命的な問題点は「大技を連続で使いすぎて価値を落としている」ということに尽きると思います。2人とも相当気合い入ってて「大技出しとけばいいや」的な部分は一切なく、むしろ出すの必然と思えるまでの壮絶さを演出してはいるのですが、「大技だらけという違和感」と引き換えにそういう壮絶さや派手さを受け入れて楽しめるかどうかでこの試合の評価は大きく変わるのではないでしょうか?


【GHCタッグ選手権試合】
鈴木 みのる&丸藤 正道 vs 秋山 準&橋 誠
 橋がガチガチのテーピング姿で現れたのに続き、丸藤が肩の部分が尖がったマント&鼻の部分が尖がってて天狗っぽいマスクとダサすぎる格好で現れ、試合前から何とも微妙な気分に。ミステリオじゃねえんだからビッグマッチに奇をてらった格好しなくても……。
 この大会の少し前に父親が亡くなる等、色んな意味で橋に注目が集まっている状況なんですが、塩分大目の橋も格上の相手からボコボコされるタイプの試合だけはそこそこ得意なので、それなりに見れる試合をしていただきたいところです。
 ところが試合開始の攻防から橋はミスしまって期待を見事に裏切ってくれます。その他の3人の攻防は全部面白いだけに浮いて仕方がありません。丸藤がアナコンダバイスっぽいコブラクラッチを使ったり、オーバーヘッドキックやったり、コーナー付近で2本のロープをスワンダイブしての低空ドロップキック等の変わったムーブを見せていたのが興味深かったです。
 また試合の中盤では秋山組が何とニュートラルコーナーでタッチして交代してしまう珍事も発生。橋が戻るコーナーを間違えたのが原因だったんですが、レフェリーもよく気づいたなぁ……。この後も橋はフィニッシュムーブのゴリラーマンズ・ドライバーで持ち上げた高さがやたら低かったり、みのるのゴッチ式パイルの受けが全然出来てなかったりと駄目な場面が多々見られました。
 しかし試合全体を見回してみると、前の試合の流れを汲んでか大技がほとんど出なくてノアらしくないながらも面白かったです。まぁみのるもいますしね。でも橋がやたらエルボー打ちまくってクドかったのはちょっとね。やっぱ橋は橋ということなんでしょうかと意味不明な締め方をしてみる。


【GHCヘビー級選手権試合】
力皇 猛 vs 棚橋 弘至
 絶対王者・小橋を倒しGHCヘビー級王座についた力皇だったが、斎藤との防衛戦でブーイングを浴びる等、前途多難な状況。ドームという大舞台で名勝負を残して名前を上げたい所ではあるが、当時新日でしょっぱい若手トップレスラーとして知られていた棚橋が挑戦することに。力皇の明日はどっちだ!?……とあんまりにあんまりな前フリをしてみたわけなんですが、いやはや大会当時はマジでこんな見方が多かったんですよ。期待値も相当低かったですしね。
 さて、実際蓋を開けてみると、戦前の予想通りメリハリの欠けた展開に終始してしまいました。力皇に関しては一つ一つのムーブ(特に張り手やラリアット)は良いとしても線に繋ぐのが今と同じく今一つです。棚橋に至っては体調が悪いのか、ムーンサルトプレスと良い、この後語り継がれることとなるドラゴンロケットすっぽ抜け3連発といい、低すぎるジャーマンスープレックスといい、褒められるところがありません。電光石火絡みなんてもう見てられませんでしたよ。(ただこれは力皇がミスッた感もある)まぁ何はともあれ、お互い早く無かったことにしたい一戦となってしまいました。


小川 良成 vs 天龍 源一郎
 元付き人の小川が55歳の天龍に挑戦。当時ドラゴンゲートに参戦していた流れでマグナムTOKYOがセコンドでついていたのですが、リングサイドの女が「マグナム〜!」と叫びまくっててワロタ。
 戦前からファイトスタイルも体重も違いすぎて噛み合わないだろうとは考えられましたが、まさしくその予想を地で行った試合になりました。剛と柔、水と油を混ぜてぐつぐつと煮え切らない反発ぶりを眺める感じですね。ラストも一方的すぎる上、非常に唐突。


小橋 建太 vs 佐々木 健介
 さぁ2005年プロレス大賞のベストバウト賞を獲得した小橋vs健介の時間です。今や貴重となってしまったデブじゃない日本人ヘビー級トップレスラー2人によるお祭り騒ぎをご覧あれ!
 健介の入場から大盛り上がりの中、小橋がテーマ曲を「BLAZIN」から「GRAND SWORD」に戻し、実況の矢島が「小橋がテーマ曲を変えたぁ〜〜!」と叫ぶ有名な一幕も挟みつつ、お互いに対峙するだけでドーム中の空気を持って行ってしまうのは流石です。というか2人とも全身がパンプアップしすぎ。
 試合開始からいきなり健介がバックドロップを決め、小橋も物凄い勢いで返していったので場内は盛り上がりすぎの状態へ。セカンドコンタクト以降はやや落ち着きますが、小橋のでたらめなチョップバリエーションや場外戦を交えつつ、2人ともプランチャを決めて今回の試合に対するテンションの高さを露わにします。その後、健介がコーナーから綺麗なダイビングラリアットを放ったのが個人的には印象に残りました。
 中盤からは伝説となった逆水平祭り。高山も言う通り勝負というより祭りといった趣きさえあります。これをどう捉えるかがこの試合の評価を分けるポイントになるのではないのでしょうか?良くも悪くも圧倒されます。
 大盛り上がりの中盤を経て、小橋がハーフネルソンスープレックスを放ったことにより後半戦に突入。健介が受ける気無かったのかタイミング狂ったのか分かりませんが、1発目が物凄い角度で刺さってて引きました。しかし過酷な技にもめげず両者とも気合の入りまくった攻防を見せます。小橋がちょっと攻めすぎかなーと思いきや、健介もエプロンに立っている小橋をぶっこ抜いてのノーザンライトボムを決めて、更にタイガースープレックス→ストラングルホールドで形勢を取り戻します。しかしこの辺りから両者ダウンの展開が増え、間が開きがちになってしまったのは残念ですね。
 その後、リアルブレーンバスター&ノーザンライトボムをお互いに撃ち合って両者ダウンするんですが、どちらも技が崩れまくってたのには萎えました。小橋のリアルブレーンバスターなんて普通のブレーンバスターかと思いましたもん。これはちょっといただけない。そして小橋がスリーパースープレックスからムーンサルトプレスを敢行してまたまた健介を追いこんでいきます。……こう書くと物凄くいつものノアっぽい試合に回帰したかのように見えますが、中盤のチョップ祭りの印象があまりにも強すぎてこれらフィニッシュムーブの攻防ですら客席が盛り上がりきれていないという異様な光景が広がっているんですよ。しかもこの後、物凄いローリング袈裟切りチョップを連発したので余計に普通のフィニッシュムーブの攻防に違和感を覚えてしまうんですよね〜。(笑)
 良くも悪くもチョップ祭りに全てが集約されてしまった一戦。あまりにも極端すぎて当時から賛否両論含めて色々言われてましたが、少なくとも2人が意地をかけて全力を振り絞ったことは間違いなく、その熱気がドームのお客さんに十二分に伝わったことが評価された要因かと思います。個人的にはここまで偏った試合となると高く評価するのを躊躇ってしまうのですが、この2人にしかできない試合であることは確かですし、非常にやる価値のあった一戦だったように思います。


三沢 光晴 vs 川田 利明
 東京ドーム大会のメインは当時さえ「今更かよ」と言われた三沢vs川田。 ノアと全日本に分かれて以来5年ぶりの再会にして、まともに動ける年齢としては最後の戦いとなることが予想されたために、 メインという扱いなんですよね。はてさて最後の戦いはセミファイナル以上の熱狂を作り出すことができるのでしょうか? ところで三沢が今の2/3ぐらいの体格で噴き出しました。そういえばこの試合のためにダイエットしたんですよね……。
 この試合も試合開始早々から三沢がタイガードライバー、ダイビングボディプレス、フェイスロックと得意技を連発し、派手な幕開けとなりました。更に場外ではマットをはがしてのタイガードライバーまで放ち、序盤から三沢が押していきます。それにしても双方ともやっぱ今より動き良いですね。まだ何とかドームのメイン務められるかもという希望が沸いてきました。川田はエルボーや蹴りで打ち返していくもやはり押され気味。三沢がセカンドロープからの顔面への低空ミサイルキックなんて珍しいムーブを見せ独壇場といった感じ。それにしても10分経たずして川田が膝から崩れ落ちたのはどうなんでしょう?「序盤から激しい試合やってます」という象徴として見るべきなのでしょうが、どうしても「川田が衰えて10分経たずにグロッキーになってる」ように見えてしまうのが辛いところ。
 中盤ではお互い重く激しいエルボーvsキックの撃ち合いを何度も経て、今度は川田が場外でパワーボムを敢行。今日の2人はまだまだ良い打撃してるんですが、当たりが浅かったり明らかに当たってない場面も多々あり、先の膝から崩れ落ちる場面も合わせて、双方が衰えているように見えてしまいます。それと川田はカウンターでジャンピングハイキックしすぎ。この時点で既に3回以上やってますよ。
 終盤に入ると川田が垂直落下式パワーボム(三冠パワーボム)を単発で出したんですが、それが凄く印象的でしたね。今まで三沢戦にせよ武藤戦にせよフランケンシュタイナーに対する切り返しとして出してたんですが、今回はパワーボムの持ち上げる動作で三沢を逆さまにするとそのままリバースツームストーンのように落としたんですよ。自分は前から妙にこの技が好きで、垂直落下式パワーボムを単発の技として確立してほしい思ってたので、この使い方には嬉しくなってしまいました。まぁでも今回もまた3カウントは取れないんですけどね。(笑)
 しかし今度は三沢のターンとばかりにエメフロ→タイガースープレックス→タイガードライバー91と鬼のようにフィニッシュムーブを連発するのですが見事に全てボロボロで、三沢の限界を示すものとして後の語り草になってしまうほどの出来。全盛期の三沢を知るファンにとっては悪夢のような光景だったでしょうね……。個人的にはタイガースープレックスがブリッジどころじゃなくてオースイスープレックスと大して変わらなかったのが衝撃的でした。
 そんな訳で重い打撃やえげつない投げ技(ただし崩れまくったラストは除く)が飛び交う激しい試合でそこそこ面白かったのですが、お互い下り坂に入ったことを見事なまでに証明してしまった試合でもあったように思います。特に最後のエルボーの撃ち合いはまるで残火を燃やし尽くしお互いを介錯するための儀式のようにも見えましたね。天龍がゲスト解説だったのですが、自分の後輩すら衰え始めているのを間の当たりにし、感慨深そうに試合終了後のコメントを話してたのが非常に印象に残りました。
 それにしても試合後の川田のマイクがノア上層部で問題になったとのことですが、まったく当たり障りのない内容じゃないですか。ドーム大会のメイン後なんだからそれぐらい許してあげればいいのに。どうも元々このカードが04年の東京ドームのメインの予定だったのが流れたこととも関係してそうで、非常に楽屋裏のきな臭さを感じる対処に感じてしまいます。


 まず内容は関係ないのですが(笑)、全9試合・DVD2枚組でありながら定価で1000円増しの約6000円なのはVAPも良く頑張ったと思います。2004年の東京ドーム完全版DVDが定価9000円ちょっとですからね。てか普段が高すぎるって言われればそこまでなんですが。
 で試合の方なんですけど、やっぱり金丸KENTAと小橋健介以外はそれほど高く評価できそうにないです。あえてノアの王道である終盤の大技ラッシュを外してきたGHCタッグ、ヘビー、小川天龍の試みは評価してあげたいのですが面白かったかと訊かれると……。それとアンダーカードにせよカード編成ももうちょっと改善の余地があったんじゃないでしょうか。ジュニアタッグ王者の杉浦を第1試合に起用するのは勿体ないどころじゃないですよ。
 また小橋健介も金丸KENTAも人によって評価が割れそうなので中々諸手を上げて大絶賛という訳にはいかず、評価としてはギリギリでAとするのが限界です。低いと思われる方もいるかもしれませんがお許しを。

(執筆日:2008年10月26日)


2nd Great Voyage '05 9.18 日本武道館大会 評価:B
 力皇三沢戦があった大会です。しかしアンダーカードに目を向けると今でも時折語られるKENTAvsSUWAもあり、田上火山最後(?)の爆発のきっかけとなったとされる小橋田上vs秋山天龍戦もあり、それなりに見所がありそうです。


本田 多聞 vs 志賀 賢太郎
 志賀がついに復帰。復帰明けなのに序盤は動きが良くて、良いグラウンド戦を披露して感心しました。が、やはりスタミナ不足。ボディスラム掛け合った後ぐらいから息が上がっていく感がよく分かりました。後、打撃の当たりも自分より重い相手なのに弱すぎる。まぁいつもの第一試合(永源百田の地獄の抗争)よりかはマシですが。


【GHCジュニアヘビー級選手権試合】
KENTA vs SUWA
 まずKENTAの入場時に矢島が「武道館にChamp is hereと鳴り響く」とか何とか言ってるんですが、DVDでは差し替え入ってるので意味不明になっちゃってるのが笑った。正式な入場曲知ってないと置いてきぼりですね。
 SUWAさんがヒールキャラ全開の大暴れ。試合の組み立てを見てもほとんど危険技は出さず、ノアというよりWWE的なものを感じました。再試合になるんですが、レフェリーがちょっと駄目でしたね。反則裁定取るの遅すぎるし、再試合決定のマイクも何言ってるのか聞き取りにくいのは……ジョー樋口はGood Jobだったんですが。
 やっぱ若いのは良いですね。場外エスケープ一つでも素早い素早い。打撃戦もバチバチでしたし。それに一つ前の王座戦になる東京ドームでの金丸KENTAに比べて全く危険技使わないで組み立てたのは見事。金丸ももうちょっとこういうのを見習って欲しいですね……。ただ、この試合もラストにSUWAの頭部蹴りまくりだったのは戦慄しました。ありゃやりすぎ。いくらSUWAのタフさを見せ付けるからといってアレだけ蹴られた上に飛び膝蹴りをもらって、また立ち上がるとかどれだけ鬼ブック書いてるんだと思いましたよホント。


小橋 建太&田上 明 vs 秋山 準&天龍 源一郎
 試合の方はかなりシンプルな構成で、技の種類もこの組み合わせにしては異様に少ないです。小橋が東京ドームでの佐々木戦を受けての各種チョップ+スリーパースープレックスぐらいだし、秋山はランニングニーとエクスプロイダー、田上はハイキックと喉輪落とし、天龍に至ってはチョップとグーパンチしか出してない。(汗)
 でも面白いんですよ。凄いですね。なんていうかもう大技使わなくても客を魅せられるぐらいになってるっつうことなんでしょうか。KENTAvsSUWAと違った意味で非常にノアらしくない試合だったかも。特に年取っててもこれだけ出来るんだってことで、小爆発した田上と、小橋とチョップ合戦繰り広げた天龍の2人に注目したいですね。ただラストのフィニッシュムーブが若干不満ですね。格的にはもう一段上の技でも良かったと思いますが……まぁ説得力はありましたが。


【GHCヘビー級選手権試合】
力皇 猛 vs 三沢 光晴
 不発ということになっている力皇三沢戦です。えーと全部見通した上で結論から言ってしまうと、三沢と力皇どっちも悪い点がありますね。まず三沢は前半一方的に受けすぎ。そして全体的にコンディション悪く動きが鈍いです。特にエメフロが崩れすぎてたのには頭抱えました。力皇は後半のスタミナが問題。中盤に攻められたぐらいでロープからロープへとふらついてたのはちょっとアレかと。セールだったなら余計悪いし。後は、中盤で両者が2連続でコーナーから飛ぶ場面や、終盤の三沢がエルボー→よろめいた力皇がロープリバウンドしてラリアット→三沢ダウンの4連発はちょっと間抜けな感じがしましたね。
 文句ばっか言ってても仕方ないんで良い点も。力皇の動きが良かったです。前半の関節技を中心とした攻め、中盤の飛び技、終盤の無双など、どれも説得力十分でした。ラストはいくら三沢だとはいえ無双連発するのはどうかと思いましたが。
 トータルで見たらそこそこ面白い試合という評価ですが、試合構成時点でのミスもあり、まだまだクオリティは上げられたと思います。勿体無い。


 なかなか微妙なんですがKENTAvsSUWA戦がかなりの良試合だったのと、小橋田上vs秋山天龍も面白かったのでB判定ってことで。やっぱ定価じゃ辛いですよ……。特にこの大会ではみのるヨネや金丸森嶋等もあったので、そこまで収録してたらもう一段上がったんじゃないか?という気もします。

(執筆日:2007年1月7日)



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