Navigate for Evolution 2.17 日本武道館大会 評価:B
 ノア2度目の武道館大会のメインイベントは膝の故障により長期欠場していた小橋の復帰戦です。新日の対抗戦やJrヘビー、ヘビータッグの王座戦も行われる等、中々面白そうです。


菊地 毅&金丸 義信 vs 獣神サンダーライガー&井上 亘
 まず金丸がロン毛で、菊地の体つきが今とは全然違って、井上が茶髪なことに時代を感じました。(笑)
 試合は新日勢の攻撃を菊地が受けまくり、金丸が小悪党ムーブを織り交ぜつつ返していくという形。熱のこもった打撃戦が多く、凝った攻防はありませんが、とにかく何やっても観客がウケまくってるのが印象的でした。正直現在からすればそこまで盛り上がる試合とは思えないのですが……これが対抗戦の力なのでしょうね。
 また試合後にはライガーがしっかり金丸の小悪党ムーブに対して苦言を放ってて感心しました。確かにホームのリングでベビーのはずなのに、ヒール気味のムーブを繰り出すのは違和感を覚えましたし。


【GHC Jrヘビー級選手権試合】
丸藤 正道 vs フベントゥ・ゲレーラ
 世界を股にかけて活躍するルチャドーラのフービーが丸藤に挑戦します。
 試合はいきなりフービーが高速ブレーンバスター2連発から垂直落下式ブレーンバスター1発を放ち、ハイスパ展開かと思われましたが、丸藤が返すといきなり脇固めに行ったのには笑いました。一体何がやりたいんだ。ここからしばらく腕攻めが続き、観客の予想の裏をかきます。
 中盤に入るとようやく飛び技が飛び出し始めるのですが、飛び技をした後に間が空きすぎて、テンポがぶつ切れになってしまったのは良くありませんでしたね。ドラゴンスリーパーを切り返しまくったりとか、丸藤のトペ・コンヒーロとか、フービーがコーナートップからのプランチャの迎撃でどんぴしゃのドロップキックを放ったりとか、ムーブ単位ではかなり見所があったんですけど。
 最後はいつも通りのフィニッシュムーブを巡って切り返し合う展開となり、中々楽しめました。また丸藤が超レア技・裏不知火(相手の向きが通常と逆で最後はフェイスバスターになる)も繰り出しているところも見逃せません。
 対戦カードから想像していたよりかは奮わなかったので期待外れの印象が強いのですが、なるべく主観を排して見ると、王座戦としてまぁまぁな試合に仕上がっているかと思います。


【GHCタッグ選手権試合】
大森 隆男&高山 善廣 vs 森嶋 猛&力皇 猛
 王者ノーフィアーに対し若手のワイルド2が挑むという構図。しかしGHCタッグはこれまで全て初防衛に失敗し続けてベルトが移り続けて来るというジンクスがあったのであった……。というかホントこのベルト立ちあげ直後の連続移動アングルは今から見ても異常ですよ。裏で何かトラブルあったんじゃないかとか勘ぐってしまいそうになりますね。
 試合の方は技術も華もあったもんじゃない無骨な打撃戦といった感じですが、この面子だとかえってそれが似合っていて悪くはありませんでした。


秋山 準&永田 裕志 vs 三沢 光晴&小橋 建太
 長期欠場明けの小橋の復帰戦は非常に豪華なタッグマッチです。観客がジュニアの対抗戦では新日勢にブーイングしてたのに、我らが永田さんに対しては大歓声で吹いた。そして小橋と秋山の体がヤバいですねー。ホント全盛期です。
 こちらもまた打撃中心の試合なんですが、一流の選手が揃ってるだけあって凄まじい気迫の打撃戦だけで十二分に魅せてくれます。20分ぐらいまで大技があまり出ないというノアとしては異色の展開ですが、それでも武道館のメインに相応しい試合が出来たってことが非常に興味深いですね。
 ただ三沢vs永田のグラウンドの際に三沢がやられっ放しだったのは気になりましたけど。それから永田さんが小橋のチョップ受けた時の反応とか蹴り入れる時の叫び声がやたら面白くて笑ってしまいました。


 ノーフィアーvsワイルド2と秋山永田vs三沢小橋は別のDVDで既に見てたので期待とのズレはほとんど無いのですが、ジュニアの2試合がどちらも期待より下回ってしまったので、どうしても評価としては辛くつけざるをえないですね。BかCかでかなり悩んだんですが、ギリギリBということで一つ。

(執筆日:2009年2月22日)


Encountering Navigation 評価:C
 2002年4月6日の愛知県体育館、7日の有明コロシアムの興行をまとめたDVDですね。今でも色んな意味でターニングポイントとして語られる秋山小川戦の他、これまた話題によく上がる丸藤vs橋や、15年ぶりとなる三沢vs冬木(ちなみに当時既にガンに侵されていた)等、一筋縄ではいかない試合が多数収録されています。


【GHCタッグ選手権試合】
森嶋 猛&力皇 猛 vs ベイダー&スコーピオ
(2002年4月6日 愛知県体育館)
 初代王者から第3代王者まで全て初防衛戦に失敗して移動というジンクスがつきまとっているGHCタッグ王座。第4代王者は初代王者を相手に防衛することができるのでしょうか?
 試合はスコーピオが微妙にしょぼい蹴りを連発していたのと、ベイダーが本当に単純な肉弾攻撃しかしてなかったのが非常に印象的でした。逆に王者のワイルド2はあんまり印象に残りませんでしたね。あと流石にこの面子だと試合展開が大味というか、もはやアドリブで適当にやってる感すら漂ってきてるんですが(笑)、それでもやはり体格が体格だけにぶつかり合うだけで観客から感嘆の声を引き出していました。


【GHCタッグ選手権試合】
森嶋 猛&力皇 猛 vs 中西 学&吉江 豊
(2002年4月7日 有明コロシアム)
  3回カット有り。 上記のベイダー&スコーピオ戦の翌日に行われた防衛戦です。吉江の髪型が今と違いすぎて時代を感じますね。
 案の定、不器用な連中による不器用な試合といった感じになった今試合。2人同時アルゼンチンバックブリーカーとか、相手がヘビー級でも重い方なのに森嶋がしっかりバックドロップ決めてたぐらいしか記憶に残りませんでした。それと試合とは関係無いのですが、解説の高山がやたら優しかったのはびっくりしましたね。容赦なく駄目だしするものと思ってたので……。


【GHC Jrヘビー級選手権試合】
丸藤 正道 vs 橋 誠
(2002年4月7日 有明コロシアム)
 丸藤2度目の防衛戦にして、後々も語り継がれることとなる試合です。丸藤は地方大会にて膝を負傷。何とか動けるまでには回復して挑む……という流れです。
 そんなコンディションのため試合はグラウンドが中心という、GHCのジュニアシングルとしてはかなり異色の展開になりました。丸藤が引っ張ってまともな王座戦に仕上げてくれてますが、終盤に入りいつも通り大技や派手なムーブが多くなり、膝の調子を心配してしまいます。しかし何とかそれらも無事こなして試合も終わりそうだなぁというところで、まさかのアクシデントにより後々まで語り継がれる最悪のフィニッシュと相成りました。アクシデントまで普通に面白かっただけにこの決着はあまりにも痛すぎますよ。
 それからやはりというかなんというか橋が酷かったです。モンゴリアンチョップとヘッドバッド連発されてもまったく説得力を感じませんでしたし。それと実況がただのデッドリードライブを「雪崩式〜(技名が出てこないので誤魔化してた)」と言ったのもかなり酷かったです。


田上 明 vs 大森 隆男
(2002年4月7日 有明コロシアム)
 GHCヘビー級王座次期挑戦者を決めるシングルマッチ。爆発力はあるものの相手を引っ張るような上手さは無い2人の激突ですが、一体どうなることやら……。
 試合は予想外にも大技連発のハイスパ展開となりました。いきなりアックスボンバー→フルネルソンスープレックスと繰り出した大森さんでしたが、2カウントで返されてしまうと断崖式喉輪落としやらダイナミックボムやら倍返しされてて吹きました。面白かったですが勢いと意外性の勝利といった感じです。冷静に見ると、技の価値落としてるしあんまよろしくないでしょうね。


【GHCヘビー級選手権試合】
秋山 準 vs 小川 良成
(2002年4月7日 有明コロシアム)
 日本のプロレス界では考えられない前衛的な試合展開により現在でも語られることの多いこの試合。試合内容についてネタバレ抜きで語るのは僕には無理でした。(汗)ただリストクラッチ式エクスプロイダーを変形首固めに切り返す場面があるんですが、一捻りあって面白かったですね。丸藤の完璧首固めよりよっぽど理に叶ってますよ。


菊地 毅&金丸 義信 vs 獣神サンダーライガー&田中 稔
(2002年4月7日 有明コロシアム)
  2回カット有り。 ノアジュニアvs新日ジュニアなんですが、ほぼ同じ面子の2月武道館の試合を見たばかりなので少々辛いものがありますね。
 試合は前回と同じく特に凝った攻防も無く、普通に試合をやってるという感じ。武道館に比べれば箱が小さいせいか熱もそれほどありませんね。後、稔の体が今よりデカくてビックリしました。あれヘビーじゃないですか?


三沢 光晴 vs 冬木 弘道
(2002年4月7日 有明コロシアム)
  2回カット有り。 19年ぶりのシングルでなおかつ当時既に冬木は癌に侵されており、最後のシングルマッチとなりました。
 冬木の名前だけは知っていたものの試合は初めて見たんですが、病のせいか体型も酷く、試合内容だけみれば退屈でしたね。ノアのリングでセコンド介入させたり凶器使ったりしたのは興味深かったのですが……。やはり三沢と冬木の歴史をリアルタイムで体験してない自分にはこの試合を味わいきれないようです。


【特典映像】
秋山 準 vs 志賀 賢太郎
(2002年4月6日 愛知県体育館)
 若手の志賀が王者・秋山に挑戦というシチュエーション。ちょっと前のパンチパーマギミックの志賀か、怪我復帰後の冴えない時代しか知らないので正直あまり期待していません。
 ……いやぁ怪我する前って志賀凄かったんですね。スイングDDTのバリエーションを連発しまくってる感はありますけど、動きも良いですし勢いがありますよ。秋山を前にしても逆に食ってしまうんじゃないかと思うぐらいです。いやマジで。試合時間はわりと短い方ですが観客も非常に盛り上がってますし、予想外の好試合でした。


 試合内容だけで見ればはっきり言ってそんなに良くはないのですが、プロレス界やノアの歴史に妙な存在感を残す試合が多く収録されており、評価が難しいですね。ノアファンでこれらの試合を見たことがないなら、見た方がいいかなという気はするんですけど。

(執筆日:2009年2月25日)


Navigation with Breeze, 2002 評価:B
 2002年5月のツアーで組まれた、いわゆる地方のビッグマッチを集めたDVD。ノアのDVDにしては異例の6試合収録。これなら少しぐらい外しても大丈夫ですね!(と対戦カードの「小川vs田上」を見つつ)


【GHCタッグ選手権試合】
森嶋 猛&力皇 猛 vs 秋山 準&斎藤 彰俊
(2002年5月6日 宮城県スポーツセンター)
 かなり迫力ある試合が期待できるカードでしたが、中盤に力皇が放ったベアハッグからのDDTがすっぽ抜けて垂直落下になったことにより急変。食らった斎藤が胸骨亀裂骨折と頚椎捻挫という重傷を負い、この試合以降力皇がベアハッグ関連の技を止めることになりました。話には聞いてましたが、これはガチでヤバいですね……。
 というわけで途中から本来のブックとはまったく違った形になったこの試合。重傷なのを悟り唐突に飛び出していく秋山、アドリブでの切り返しで怪我することに注意しながら慎重に試合を進めるワイルド2と、悪い言い方をすると、プロレスの試合をアドリブで構築するとどうなるのか見られるという意味で非常に貴重ではあります。
 試合の評価としてはやはり予定外のアクシデントによって、かなり悪くなってしまったと言わざるをえません。もちろん同情の余地はありますが。ただ力皇が斎藤の怪我の前から攻める気に欠けてた(森嶋が秋山にフロントネックロックで捕まって、カットに行こうとして斎藤に妨害されるシーンが顕著)のは気になりました。


【GHC Jrヘビー級王座決定トーナメント決勝】
金丸 義信 vs KENTA
(2002年5月26日 札幌メディアパークスピカ)
 丸藤の負傷→レフェリーストップ負けにより橋に渡り、その後返上を受けて組まれたトーナメントの決勝。金丸が昔の健介風に髪伸ばしてて滅茶苦茶違和感があったり、KENTAがまだ改名しただけでキックスタイルじゃなかったりと時代を感じさせます。この3年後、東京ドームで同カードが大手振って組まれることになるんですねぇ……。
 序盤は双方とも極めてオーソドックスなプロレスの展開。動きが早くなければジュニアとは思えないくらい、普通にヘッドロックかけたりスリーパーかけたり、打撃打ち合ったり。でも面白く感じるのが2人の上手さってやつなのでしょうか。特に序盤の後の方を支配した金丸はボディスラムや逆エビ固めなど新人レスラー向けの技を中心に試合を作っていくのがニクイですね。
 10分過ぎから、攻められてまくっていたKENTAが反撃開始。パワースラム、投げっぱなしジャーマン、スワンダイブ式ミサイルキック、フィッシャーマンズバスターとそれまでの展開を一気に塗り替えていくように大技で攻めます。しかし今とは違い、一つ一つの技に力が入っておらず、フォームもイマイチ。
 これにスイッチが入ったのか金丸もディープインパクト、ムーンサルトとフィニッシュムーブ攻勢に出ますが、KENTAと比べると流石に精度が高いです。KENTAも続けて投げっぱなしタイガースープレックス、飛びつきウラカンラナ、ファルコンアローと続くんですが、どれも今から比べると見劣りしますね。というか列挙してて気づきましたが、KENTAの大技が今以上に「僕の作った最強エディットレスラー」チックになってますね。フィニッシュムーブ級を連発した後にサンセットフリップパワーボム、フロッグスプラッシュと出した金丸もそれはそれで微妙ですけど。
 総評としては「大技の展覧会」という言葉に尽きます。中盤から場外の展開も無く、ひたすらリング内で大技打ち合うだけっていうのは正直印象良くないですね。2.9カウントの攻防されても冷めた目で見てしまったってのは余程のことですよ。
 特にKENTAがシンプルで強烈な説得力のキックという芯を身につけるのと身につけないのでは全然違うと痛感させられました。上でも挙げてますがそもそも一つ一つの技に対する力の入れ具合が今と違いますしね。後、金丸が大技乱射タイプなのにKENTAも一緒で相性悪いってこともあるんじゃないでしょうか。


秋山 準&金丸 義信 vs 大森 隆男&高山 善廣
(2002年5月9日 後楽園ホール)
 超ハイスパート試合。大森さんのドロップキックやっぱ綺麗ですね。そして金丸のアックスボンバー受け凄すぎ!吹っ飛ばされ感が出てるわ滞空時間長いわで、不自然にならず威力を伝えることに成功しています。


大森 隆男&モハメド・ヨネ vs 高山 善廣&杉浦 貴
(2002年5月26日 札幌メディアパークスピカ)
 大森高山の打撃戦はかなり迫力ありますねー。今のノアの布陣を考えると打撃系が強いレスラーがあんまりいないので、もしノアにいたままであればそれなりにスポット当たってたでしょうね。しかし歴史とは非常なもので……(wj
 ヨネもそれなりの打撃を見せますが、コーナーへの串刺しフライングニールキックが飛びすぎて場外に落ちて見事着地したのには爆笑。何事もなかったように戻ってもっぱつぶち込んだ辺りはかなりプロってて良かったですね。いやぁしかしかなり衝撃だった……。(笑)
 その後はようやく杉浦にも出番ですが、地味な扱い。ヨネはフライングニールキックの後はかなり雑魚扱いですが、やられっぷりで客席を沸かせしっかり仕事をこなしてみせます。今試合は全員打撃良いですね。ほとんど投げ技の出ない展開でしたが、そこそこ面白かったです。


【GHCヘビー級選手権試合】
小川 良成 vs 田上 明
(2002年5月26日 札幌メディアパークスピカ)
 まったくもって田上の初戴冠に期待を持たせることが目的で試合内容置いてきぼりのカード。噛み合うわけ無いだろ……とボヤくしかありません。解説の秋山が異常に低テンションで笑った。
 試合の方はもうカードから期待される内容をそのままやった感じで期待値どおりです。しかしこのカードだと期待値自体が高くないので面白かって言われたらやっぱりそこそことしか言いようがないのですが。会場は思ったより盛り上がったようで良かったですね。ムーブ的には田上の妙に綺麗な首固めが印象に残りました。


【ボーナストラック】
森嶋 猛 vs 吉江 豊
(2002年5月26日 札幌メディアパークスピカ)
 ボーナストラックでもちゃんと抗争とかの歴史を振り返ってて好印象。吉江の口調が新日本調で爆笑。格闘モンスターギミックがこの頃まだ続いてたんですね。
 試合は、前半は地味に関節技で攻めあい、唐突に森嶋がラッシュかけ始めるという展開だったんですが、やっぱり吉江の方が色々上ですね。今と体型もスタイルも違いますし吉江にどうしても視線が向きます。といっても全面的に褒める訳でもなくて、裏拳にあんまり説得力無いと思いました。後は裏4の字って原理的にどこも痛くないような気が……相手の片足を4の字に固定してアンクルホールドしてるんでしょうか?それなら理解できるんですけど。う〜ん。


 6試合も入ってることになってますが、ノーフィアー解散のきっかけとなった大森の裏切りもあるんで実質5試合ですね。まぁ全体通してそこそこ面白かったものの、定価の高さからやっぱり「1回見て気に入ったら買ってください」というBランクにしかなりえません。しかしそもそも何処で1回見るのか?という難儀な問題も抱えつつ。どの試合も一切未見で新品に手を出すのは賢明とは言いかねます。

(執筆日:2007年1月12日)


Great Voyage'02 9.23 日本武道館大会 評価:B
 高山三沢がメインで、W2vsスターネスのGHCタッグ、カード的にあまり期待できないもののIWGPジュニアタッグまで組まれている他、ボーナストラックとして大阪で行われた小川高山のGHCヘビー、W2vs三沢佐野のGHCタッグも収録されており、なかなかお得感があります。


【GHCヘビー級選手権試合】
高山 善廣 vs 三沢 光晴
 前回の対決(GHCヘビー級初代王者決定トーナメント決勝)以上の大打撃戦。投げ技も関節技もほとんど出さず、ひたすらエルボーvsキックという展開ですが、壮絶かつ迫力満点。それにしてもここまで三沢がボコボコにされるのはあまり見たことがありません。
 あまりにもエグい打撃戦で会場が熱狂する中、終盤にさしかかるもアクシデントが発生。高山のエベレストジャーマン2連発がどちらもかなり低かったため何かあったのかと思いましたが、なんとジャーマンする時に三沢の体重が変にかかってしまい眼窩底骨折&肩脱臼という重傷を負ったのこと。そりゃジャーマンも低くなる訳だわ……。
 当然ながらその後の展開はなかなかぎこちなく、ミスムーブっぽい展開もありましたが、それでも両者の奮闘ぶりには熱くさせられました。前の対決より素晴らしい試合とは言えませんが、「凄い試合」だったと思います。


【GHCタッグ選手権試合】
森嶋 猛&力皇 猛 vs 秋山 準&斎藤 彰俊
 宮城で同対戦カードで王座戦をしたんですが、彰俊が力皇のベアハッグDDTを受けて大怪我したんですね。で今回はそのリベンジマッチということになります。ところで彰俊と力皇が髪染めてるのが凄い気になる……。それに2人とも今と体違いすぎ。
 試合はやはりこの組み合わせらしく荒っぽい打撃戦となりました。張り手が中心で力皇大活躍。中盤辺りでは森嶋と力皇が寝ている彰俊へフットスタンプ連発し、かなり背筋が凍りました。それと終盤に力皇が出したベアハッグDDTで、受ける彰俊がぴょんと力皇の膝の上に乗ったのには笑った。力皇も客も戸惑ってるぞ! 後、ラストでダブルダウン多すぎてちょっとグダグダになってたのが気になりました。


【IWGPジュニアタッグ選手権試合】
金丸 義信&菊地 毅 vs エル・サムライ&成瀬 昌由
 新日本との対抗戦時代の一コマ。 IWGPジュニアタッグの初防衛戦をノアで行うのはいいのですが、なんという噛ませ犬……。塩試合の予感しかしません。
 さてまず最初に驚いたのは客席から物凄い菊池コールが起こったことです。正直動きは今と大して変わらず、説得力のないもっさりエルボー連打だったのですが、客席が沸いているという今では考えられない光景です。 あと解説で金丸が26歳の誕生日と言っていて、色んな意味で衝撃を受けました。(笑)
 試合ではやはり成瀬の出番がほとんど無く、 最初のグラウンドを終えた後は時々出てきて技受ける役割でしたね。まぁ正しい判断っちゃそうなんですが。金丸とサムライはやってること自体はごく普通なのですが、流石にどちらも実績ある者同士、対峙しただけで歓声が飛ぶのは楽でいいですねー。ただ菊地や成瀬も含めて普段やってない者同士ということで、今ひとつ呼吸があっておらずタイミングを計ってる場面が目に付きました。
 全体の流れとしてはやや乱闘も交えて短めに終了してしまったため、今一つ王座戦という感じがしませんでしたね。ここまで沸くのはシチュエーションの勝利だなぁというのが正直な感想です。


小橋 建太 vs モハメド・ヨネ
 ヨネが今よりパンプアップしてて良い感じなのですが、やはり小橋の横綱相撲に終わってしまいました。それとヨネから良い試合にしようという気合は見られるのですが、 今一つ「勝とう」という気合が見られなかったのが残念。


【ボーナストラック/GHCヘビー級選手権試合】
小川 良成 vs 高山 善廣
(2002年9月7日 大阪府立体育会館)
 このミスマッチなカードを見て即座に塩試合と決めつけるのは早い。個人的には中々グッドマッチだと思います。
 試合展開は非常に単純明快。開始5分まで高山が小川をボコボコにして、そこから15分まで小川が執拗な腕への攻撃。そしてラストは小川のバックドロップ&丸めこみvs高山のエベレストジャーマンで2.9合戦という流れです。
 しかし書いてみると簡単ですが、これで面白く見せるっていうのは相当大変だと思いますよ。どっちもそんな三沢小橋秋山みたくフィニッシュムーブいくつも持ってる訳じゃないのに、終盤は大歓声でしたからね。素直に凄いと言わざるを得ません。
 この試合の小川は素晴らしいとしか言いようがありません。まずここまで筋肉質な小川は見たことがない。(笑)やられっぷりも最高だし、攻めもかなり的確でした。バックドロップは流石に強引に持っていった感じで説得力ありませんでしたが。個人的には腕攻めのまま押し切って高山は何も出来ずにタップアウトという展開も全然アリだったと思うんですけどね。いや冗談抜きで。


【ボーナストラック/GHCタッグ選手権試合】
森嶋 猛&力皇 猛 vs 三沢 光晴&佐野 巧真
(2002年9月7日 大阪府立体育会館)
  途中からスタート。 はっきり言って纏まりのないもっさりとした試合。タイトル初挑戦ということで三沢が佐野にお膳立てするんですが、肝心の佐野がフットスタンプをやってもノーザンライトボムをやっても客席を全く沸かせられないというのが運の尽き。W2もペースを掴めず困ってしまい、客席も全く沸かないまま試合終了。
 試合後に客席から「おもんないぞー」という野次がはっきりとマイクに入っちゃう位しょっぱい試合でした。駄目だこりゃ!


 という訳で蓋を開けてみれば良い試合が高山三沢・小川高山しかなく、他の試合は並以下という寂しい状況。しかも高山三沢は前回の対決の方がある意味良かったとも言えるので、ちょっと微妙感が漂います。評価もBにしようかCにしようか迷いましたが、ギリギリBということで一つ。

(執筆日:2008年1月14日)

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