No Way Out 2004 評価:A
 レッスルマニア20も目前に控えたNWO04ですが、メインが素晴らしく意義深い物になりました。それだけでこのDVDを買う価値はあるんじゃないかと。今は亡き彼にとってどれだけこのPPVが大きかったことか。実はNWO04のレビューはもっと後ににするつもりだったのですが、彼が亡くなったという報せを聞きつけ、思わず見直さずにはいられませんでした。そんなわけでレビューをどうぞ。


【WWEタッグ王座戦/ハンディキャップマッチ】
リキシ&スコッティ2ホッティ vs バシャムズ・ブラザーズ&シャニークワ
 オープニングマッチは安定した腕前の4人が揃ってのタッグ王座戦。安定しすぎて、各自持ちネタを披露して終わりといった印象が強いです。王座戦というよりか通常放送、もしくはヒート枠の試合といった感があります。


【目隠しマッチ(ジェイミーのみ)】
ジェイミー・ノーブル vs ニディア
  ジェイミーvsニディアも目隠しを使ったお笑いプロレスという按配で、悪くは無いんですけど。第1試合に回して、タッグ王座戦を濃くしてくれた方が嬉しいかな。


世界最強タッグ vs A.P.A
 世界最強タッグvsAPAは腕攻めをテーマに渋い試合を見せてくれました。つうかラストコールを見たのはこれが初めてな気が。


ハードコア・ホーリー vs ライノ
 ハードコアvsライノも上手い。めちゃくちゃ上手い。基本技と打撃を中心に、破壊力のある肉弾戦を繰り広げるわけなんですが、先の試合にも共通する欠点が。華が無いんですね。しかも大した抗争無しで試合組まれてるんで、感情移入もできないし……。各人技術はあるだけに困ったもんだ。


【クルーザー級王座戦】
レイ・ミステリオ vs チャボ・ゲレロ
 クルーザー級王座戦もそれほど相性が合ってる印象は無く、ラストの展開のために試合時間も長くなって、間延びした印象を受けました。ミステリオ1人が頑張っている感じがします。イマイチ。


【トリプルスレットマッチ】
カート・アングル vs ジョン・シナ vs ビッグ・ショー
 セミはレッスルマニア20にWWE王座挑戦者決定戦。しかしビッグショーが絡む3WAYは難しいな……。前年7月のヴェンジェンス03ではかなり良い試合を展開しましたが、今回は普通程度に落ち着きました。流石にレスナー→シナでは厳しかったか。


【WWE王座戦】
エディ・ゲレロ vs ブロック・レスナー
 さぁさぁメインイベント。PPV中にも伏線張って気合入りまくりです。かなりの激闘を見せてくれました。最初は圧倒的だった展開がちょっとずつ逆転していくのがたまらない。F5返しのDDTは神がかって見えましたよ。マジに。

【Heat枠】
ウルティモ・ドラゴン&ポール・ロンドン& ビリー・キッドマン
vs タジリ&アキオ&サコダ
 Heat枠は結構異色なロンドン・キッドマン・ウルティモ組とタジリ&愉快な仲間達の試合。面子的に凄いインディー臭が漂いまくりですけれど、上手い連中が揃っているのでわりと面白かったです。あんま大した技もやってないですが、やっぱりリズムというかセンスなんでしょうねぇ。


 まとめ。メイン戦だけでAランク保ってるようなもんなんで、ぶっちゃけ「彼」ことエディの個人DVDが発売されているとなった今では、わざわざ買う意義は少ないかと。まぁレンタルでどーぞ。

(執筆日:2005年11月20日)


Wrestle Mania 20 評価:A
 レッスルマニアもいよいよ20回目。DVDも3枚組で約9000円という大ボリュームでございます。はたしてこれが吉と出るか凶と出るか……。


【US王座戦】
ビッグ・ショー vs ジョン・シナ
 オープニングマッチはUS王座戦。わりと短時間ということもあり、アラがそれほど出ることもなく、両者のキャラクター性が生かされた普通の試合に仕上がっています。しかし普通のPPVのオープニングマッチならまだしも、レッスルマニアでオープニングがコレっつうのもねぇ。


【世界タッグ王座戦/フェイタル4wayマッチ】
ロブ・ヴァン・ダム&ブッカーT vs ギャリソン・ケイド&マーク・ジンドラック
vs ラ・レジスタンス vs ダッドリーズ
 世界タッグ王座4ウェイ。ごく普通に各自見せ場を多少作りつつ試合終了。語るべき所が無い試合ってのは困ります。


クリス・ジェリコ vs クリスチャン
 Y2J vs クリスチャンの試合はわりと基本的なムーブで組み立てつつ、時折いつもは使わない技を繰り出すといった流れ。打撃・関節技・投げのバランスが取れてて、なおかつアングルが反映された動きを見せており、良い試合だと思います。あ、でもジェリコのノーザンライトスープレックス汚すぎ。後、裏スイングDDTをアンプリティアーと呼ぶJRはFuck。


【ハンディキャップマッチ】
ロック&ソッコ・コネクション vs エボリューション
 ロック&ソッコvsエボは、プロレスするのが久し振りすぎるロックとミックのために打撃だけで組み立ててる感じがしました。まぁ仕方ない部分はあるし、フレアー御大がかなり頑張ったのと各自のキャラクター性を打ち出すことで押し切れたので、これはこれでオーケーかと。フレアーとロック&ミックの絡みが一番面白かったです。


【プレイボーイ イブニングガウンマッチ】
セーブル&トーリー・ウィルソン vs ステイシー・キーブラー&ミス・ジャッキー
 イブニングガウンマッチはまぁ要するに茶番。一応試合形式はとってるし、プロレスムーブはありますけど。女子王座戦あるからこれはこれで良いんじゃないでしょうか。


【クルーザー級王座戦/オープン戦】
チャボ・ゲレロ vs ジェイミー・ノーブル vs フナキ vs ウルティモ・ドラゴン
vs レイ・ミステリオ vs ナンジオ vs タジリ vs シャノン・ムーア vs ビリー・キッドマン
 クルーザー級オープン戦はなんだかなぁ。やっぱりレッスルマニアですし、シングル戦なりで濃厚な戦いを見せて欲しかったです。物足りなさすぎです。それはともかく、キッドマンのスワンダイブ式シューティングスタープレスは後頭部から相手に突っ込んでるのが怖い。後、ミステリオが雪崩式ヨシタニック出したのには驚きました。


ゴールドバーグ vs ブロック・レスナー
 そしてある意味レッスルマニアの歴史に残るかもしれないゴールドバーグvsレスナー。どちらもWWEを去ることが既にインターネット等で広まっており、客が最初から最後までブーイングしまくっていた伝説の試合です。しかも最後の希望とばかりにオースチンコールが起こりますが、これもレッスルマニア後に退団します。結果論から言えば半年ほどでオースチンは復帰するんですけど、まさにこの後「誰もいなくなった」時期があり、この試合は空しさの象徴でもありました。まぁ正直なところ、出て行くなら出て行くで客もブーイングせず、レスラーもちゃんとした試合を見せて欲しかったです。しかしレスナーは猛烈にプッシュされた恩を無視するようにして辞めますからね。客としても納得いかないのは確かなところ。
 肝心の試合ですが、睨みあう時間が長すぎ。じらしているのは分かるんですが、その間に「クソ試合!」と言われてしまってはね。でレスラーも思いっきり影響受けて、さっさと終わらせてしまった感じ。超大物同士の対決なのに歓声ほとんど無しってことがどれだけ異常か。最後はなんとかオースチンが締めて観客を沸かせましたが、ホント、レフェリーがオースチンで良かったねといった感じですね。


【WWEタッグ王座戦/フェイタル4wayマッチ】
スコッティ2ホッティ&リキシ vs A.P.A vs バシャムズ・ブラザーズ vs 世界最強タッグ
 その後のWWEタッグ王座戦は、対戦カードの時点で程度の差はあれど全員プロレスを組み立てられるので、安心して見られました。実際の試合も各選手のキャラクター性を活かしつつ、面白い物を見させていただいたという感じ。もうちょっと時間あればもっと面白くなったかも。


【WWE女子王座戦】
ビクトリア vs モーリー・ホーリー
 女子王座戦はまさに語るべき所のない、ヤマなしイミなしオチなしといった按配。まぁオチはあるんですけど。


【WWE王座戦】
エディ・ゲレロ vs カート・アングル
 WWE王座戦。前の試合の影響でカートの入場がかなりシュールなことになってるのが気になりつつ。グランド・打撃・投げを巧みに配合し、まさにレッスルマニアのWWE王座戦といった感じ。最後のオチは必見です。


アンダーテイカー vs ケイン
 ”デッドマン”アンダーテイカー復活。試合はまぁ……ということで。WWE王座戦とメイン戦との緩衝材といった役割ですし。とりあえずアンダーテイカーの入場に酔いしれろ! ちなみに今回の復帰からスモークを炊くようになりましたが、最初は今よりずっと少なかったんですね。


【世界ヘビー級王座戦/トリプルスレットマッチ】
HHH vs ショーン・マイケルズ vs クリス・ベノワ
 そしてメインの世界ヘビー級王座トリプルスレットマッチ。各所で散々語られたので今更語ることも少ないのですが。事前に計算されつくし、全員プロレスが上手いときたら面白くならないはずがないです。本当に面白い。特に実況席へのダブルブレーンバスター→復帰の流れや、ラストの間の作り方など、この試合から学べることは多いです。


【Heat枠】
ダッドリーズ vs ランス・ストーム&ヴァル・ヴィーナス
  CMカット有り。 Heat枠は世界タッグ王座戦の出場権を賭けて争いました。やっぱ皆、プロレス上手いなー。つうかCMカット入れないでくれ……。


 長くなりましたが、総評です。残念ながら世界ヘビー級王座戦&WWE王座戦以外は印象に残らない試合が多く、パッとしない感じでして、値段が高いこともありSランクを付ける訳にはいかないですね……。DVD3枚組ということで、DISC3にはレッスルマニアの直前プロモ番組が2本入ってるんですが、これは結構面白くて感動できます。ですので3枚組にしたことは別に否定しませんが。

(執筆日:2005年10月10日)


Back Lash 2004 評価:A
 やはり2004年のバックラッシュで印象深いのがWM20のトリプルスレットの再戦が早くも組まれたことと、予想外の死闘となったハードコア・レジェンドvsレジェンド・キラーの対決ですね。


シェルトン・ベンジャミン vs リック・フレアー
 いかにも噛み合わなさそうな対戦カードですが、意図がプロレス教室にあることは言うまでもありません。
 前半は完全にフレアーペース……というかフレアー・ワールドですね。(笑) シェルトンもノリノリで入っていって適応してるのが意外でなかなか面白かったです。後半は普通でしたけど、双方ちょっと間空けすぎてしまったのが駄目でしたね。


タジリ vs ジョナサン・コーチマン
 どう考えても茶番かと思ってましたが、意外にも普通に試合してて驚きました。コーチが普通に試合してるの始めて見たかもしれないです。まぁ素人でもできるムーブですけど。オチがしょっぱすぎ。


【ハンディキャップマッチ】
クリス・ジェリコ vs クリスチャン&トリッシュ・ストラタス
 アングルを活かした試合ではあったものの、ちょっとダラダラやりすぎかなぁと。もっと短くて良かったと思います。


【女子王座戦】
ヴィクトリア vs リタ
 ヴィクトリアとリタの技量の差がはっきりと分かる一戦ですね。


【IC王座戦/ノー・ホールズ・バードマッチ】
ランディ・オートン vs ミック・フォーリー
 この、近年稀に見る(WWE的に)相当残虐な試合でランディは一気に名を上げた気がします。画鋲とか有刺鉄線ボードとか、少なくとも「E」になってから初めてではないでしょうか?下手したらHHHvsミックの抗争まで遡るんじゃないかという気もします。
 試合自体については……どう言えばよいのでしょうか。とりあえず久しぶりにとんでもない戦いを見させていただきました。デスマッチの経験が無かったであろうオートンも、現役退いたはずのミックもようやりますね。


ラ・レジスタンス(シルヴァン・グルニエ&ロブ・コンウェイ)
vs ハリケーン&ロージー
 さっきの試合の後ということで軽めのが期待されるところですが、しっかりとその役目を果たしたと思います。意味の無いユージンの乱入には笑った。


エッジ vs ケイン
 エッジ復帰戦。ヒールの印象が強かったのですが、復帰時はベビーだったのね。まぁ復帰戦だからこの位置っていう感じです。試合自体は正直ちょっとしょっぱい。


【世界ヘビー級王座戦/トリプルスレットマッチ】
クリス・ベノワ vs HHH vs ショーン・マイケルズ
 WM20の再戦が早くも組まれるってあたりが、どれだけこの試合が好評だったかということを示していますね。もちろん期待に応えるような良試合だったわけなんですが、中盤からやや寝すぎの傾向がありまして、WM20よりかは評価を落とさざるをえない感じです。
 とはいえ前回と同じカードながらも、マンネリ感を与えないようにする気遣いはそこかしこから伺えました。凶器が出てくる点もそうですし、王者の地元でモントリオール事件ネタやるとはWWEもなかなか肝が座ってます。


【Heat枠】
マット・ハーディー vs バル・ビーナス
 職人2人の対戦。特にコメントするようなこともなく。最後がちょっとしつこかったぐらいか。


 今PPVはやはりオートンvsミック、ベノワvsHBKvsHHHに尽きると思います。とはいえ全体構成としては申し分なく、それぞれの試合がそれぞれに与えられた役割をきっちり果たした感がありますね。それと映像特典が豊富なのも○。

(執筆日:2006年3月19日)


Bad Blood 2004 評価:B
2004年のバッドブラッドといえばやはりHHHvsHBKのヘル・イン・ア・セル!50分近くというWWEのシングルマッチとしては異例の死闘が今でも記憶に残っています。


【世界タッグ王座戦】
ラ・レジスタンス vs クリス・ベノワ&エッジ
 これまた茶番だったわけですが、ラ・レジスタンスはやっぱり基礎はあってもタッグチームとしては物足りないですね。存在感があまり無いのが致命的。と言っても彼ら自身が悪いわけではなく、アングルその他の要因の方が大きいんですけど。色々と不遇です。


クリス・ジェリコ vs タイソン・トムコ
 トムコはまさにガタイのデカいホウキといった駄目具合。こういうのを「ウドの大木」って言うんだなーと身に染みて感じました。そしてそんな相手に対して思う存分動きまくり試合を作るジェリコには驚嘆させられます。「ホウキ相手に試合を作る」という名声はリック・フレアーの専売特許じゃありませんよ!


【IC王座戦】
ランディ・オートン vs シェルトン・ベンジャミン
 オートンもベンジャミンも素材は良いんだけど、やはりこの時期では間の取り方に難があります。この試合でも双方単発気味で間延びしてしまいました。ただフレアーが入ってきた辺りから熱を帯びはじめ、ちょっと好勝負になったかも。オートンが珍しくフロッグスプラッシュしてるのにも注目。


【女子王座戦/フェイタル4ウェイマッチ】
ヴィクトリア vs トリッシュ・ストラタス vs リタ vs ゲイル・キム
 この内容なら別に4wayにする必要が見当たらないですねー。試合自体は短いながらリタ以外の3人はしっかりと頑張ってます。リタは危なっかしすぎ。


ユージン vs ジョナサン・コーチマン
 the茶番。試合後にギャリソン・ケイドにかけたスタナーが酷すぎて笑った。


【世界ヘビー級王座戦】
クリス・ベノワ vs ケイン
 流石にケイン相手では防衛と見られるのがオチなので、いくつもの伏線を散りばめつつ開戦。ケインの化物性に立ち向かう技巧派ベノワの構図がはっきりしてて良かったです。ただ試合そのものはまぁ……ケインではこれが限界な感じ。ラストはあのまま勝っても良かったと思うのですがどうでしょう?


【ヘル・イン・ア・セル】
HHH vs ショーン・マイケルズ
 名試合として知られるこの試合ですが、初回見た時は壮絶さに息を呑みつつも、約50分という長丁場に寝かけてしまいました。もう一度見ることで、この試合の真価が理解できるのでしょうか。
 まず最初に気になったのがセルが若干横に大きくなっているということ。明らかにリングとセルの間が広いですし、セルがリングに降りた時も「あれ?セルの高さ低くなった?」と勘違いしましたから。横が広がってるので錯覚しちゃったんですね。
 試合を評するならば「壮絶なオールドスタイルプロレス」。2人が各々確立した自身のスタイル・ムーブのほぼ全てを披露しており、その中には凶器による攻撃も含まれていますが決して違和感を感じさせません。過去の例で言うとサマースラム2002のストリートファイトマッチの時は、オールドスタイルを守りつつも頭を使って凶器をプロレスに組み込んでいっており、あくまでも「異物」でした。しかし今回は「異物」ではなく「あって当然のもの」、試合を構成する一要素というレベルにまで組み込んで——いや、融合していました。
 壮絶な凶器攻撃の連続、フィニッシャーのかけ合い、大流血、お互いによりかかりつつも立ち上がっていく姿。いや、ほんと壮絶の一言。ですが、個人的な見解から述べると、この試合は壮絶な試合ではあっても、決して名試合では無いと考えます。
 まず試合の内容はそこまで長くないのに、約50分かかっているということが最大の問題点だと考えます。要するに寝すぎ ってことなんですが。丸KEN戦もこんぐらい寝ればよかったのに……。まぁ他団体の話は置いとくとしても、正直試合内容のメモを見る限り、どう考えても彼らが普通にやったら30分後半で終わるんですよ。ところが今試合では普通に序盤からペース遅すぎるわ寝まくるわで、しかも明らかに意図した上でやってます。理解できない。
 またWWE的リング上の世界観の限界が露呈した試合であったと思います。双方共、凶器打撃含めて半端無いダメージが入ってるのに3カウントが取れない。いくら最終決戦(何度目だろう?)と銘打ってHIACやってるからとはいえ、他の試合との比較で考えると大分世界観的におかしいように感じました。1回目のペディグリー返しの時点で「ええ〜っ!?」っという呆れた反応しちゃいましたからね。度が過ぎてます。
 それと肝心の試合構成も難があるんじゃないかなーと。ロープワーク多すぎ、場外ふっ飛ばしすぎ、セルへ振るの多すぎ。ただ流血を2段階と見なして構成していたのは凄惨さを出す上で上手い手法だと思います。露骨なところだと、ラダー攻撃前あたりでHBKによる椅子打撃2連発→元から流血してたHHHが大流血とか。
 ……それと今試合は関節技分が足りない!特にHHHにはインディアンデスロックと4の字出してほしかったなぁ〜。ただ寝てるよりもよっぽど良いと思うんですが、どうでしょう。あーそれと凶器でスレッジハンマーも。ついでに言うならHHHが中盤からペディグリー仕掛けていってるのが気になりました。必中の一撃を狙うHBKとの対照性を狙ったんでしょうけど、結局今試合ではダブルアームの体勢になったのが5回もあり、緊張感が途切れて散漫になってしまったと思います。そもそも長すぎる試合時間で、勘が狂って出し所間違えたかなという気もしなくはないですけど。この辺りは「試合の筋はどうやって作られているのか」という業界のブラックボックスに包まれた範囲なんで判断は避けます。
 最初に見た時も思ったんですが、この試合は個人的にかなり研究のしがいがありますね。HHHとHBKという業界でも指折りの試合巧者がどのような意図でこの試合を仕掛けたのか? そしてこの試合を名試合と評価した人々と自分のプロレス観の違いとは何か? 疑問や理解できない部分がこの試合にはあって、それが気になって仕方がありません。


【Heat枠】
バティスタ vs メイヴェン
 どう考えても超塩試合確定カード。しかもそれを裏切らないのが悲しいところ。まさに「沈黙の塩」って感じ。(謎)


 やっぱりなんだかんだいってHIACに集約されてしまいました。色んな意味で大きな試合だったと思います。結局これ以降2人のシングルは現在に至るまで組まれていませんが、そろそろHBKの方のキャリアも短くなってるはずなんで、次があるのかどうか……。まぁ来年あたりにHHHがDX裏切ってまた泥沼の抗争やってそうな気もしますが。(笑)

(執筆日:2006年9月18日)


Summer Slam 2004 評価:A
今年のサマスラはまずCMが面白かったですねぇ。それらが完全収録なのも良し。それらも含めて特典映像がかなり充実してます。ディーバ・ドッチボールが空気すぎたのはアレですけど。ただツインテールのステイシーは必見。(死)


ビリー・キッドマン&ポール・ロンドン&レイ・ミステリオ vs ダッドリーズ
  オープニングマッチはごく普通の6メン。短いながらも各人見せ場作りつつって感じで。楽してるっちゃ楽してますが、皆良いレスラーなんで、それらが噛み合うとやっぱ面白いねぇ。


【ティル・デス・ドゥ・アズ・パートマッチ(”死が2人を分かつまで”戦)】
マット・ハーディー vs ケイン
 マットvsケイン。こんなんもありましたねぇ!久しぶりに見て驚きました。まぁあんまり噛み合ってない訳なんですけど。コーナーにわざわざ昇ってサイド・エフェクトしたのには笑った。ラストは相手の格を考えるとちょっと意外かな。


【US王座戦/5番勝負1本目】
ブッカーT vs ジョン・シナ
 ブッカーTvsジョン・シナ。2人とも打撃メインでしたが、なんとなく噛み合ってるような気がします。短い上に双方寝すぎですが。


【IC王座戦/トリプルスレットマッチ】
エッジ vs バティスタ vs クリス・ジェリコ
 トリプルスレットは……。まだこの頃のバティスタはしょっぱすぎ。エッジも微妙ですし、クリス・ジェリコによるプロレス教室って感じを受けました。


カート・アングル vs エディ・ゲレロ
 カートvsエディ。WM20の時も良試合ってことと、オチだけしか覚えてなかったという、個人的には陰の薄いカードなんですけれども。なんだこの凄いクオリティは。レスリングスキル全開・お互いの持ち味を出し合った名勝負。試合時間はそこまで長くないですが、動きが早くテンポも良いです。こんな試合を忘れていたとは……不覚極まりない。WM20の同カードを遥かに超えてます。本PPVベストバウト確定。


HHH vs ユージン
 HHHvsユージン。流石にユージンは基礎がしっかりしてるなぁ。HHHのヒールっぷりがなかなかGJ。ユージンやりたい放題すぎて笑った。オチもひでぇ。(笑) 結構良評価なんですけども、問題があるとすれば双方とも間空けすぎなこと。大分スカスカな感じがします。


【WWE王座戦】
JBL vs アンダーテイカー
 WWE王座戦。テイカーってこんなに禿でしたっけ?(泣) 意外に双方アグレッシブに殴り合い。双方とも打撃中心でクラシック志向なので現代プロレスの観点から言うとシンプルすぎるかもしれません。ですがアメリカ人の体格を生かしてますよね。個人的には好感を持てます。ただ最後はねぇ……。チョークスラムtoリムジンは良かったんですけど。


【世界ヘビー級王座戦】
クリス・ベノワ vs ランディ・オートン
 そしてメイン。2人の技量は問題無いんですが、筋が駄目すぎる。前半がシャープシューターを始めとする関節技かけすぎでダラダラ。後半はそこそこ面白かったけど、フィニッシュムーブ1発で終わるのは説得力無さ杉。お互い1回ずつ抜けて2回目フィニッシュぐらいやってほしかったです。
 世界ヘビー級王座戦としてはあまり良くない試合……正直なところ「面白いUS王座戦・IC王座戦」レベルと感じました。終わった後の握手とかもちょっとあざといかなぁと。1ヶ月後を知っているだけにどうもね。


【Heat枠】
RVD vs レネ・デュプリー
  CMカット有り。 Heat枠はレネということもあって地味な対戦。ただ結構素地は出来てますね。後、長距離フロッグスプラッシュには驚いた。短いのにCMカット入れるのは駄目すぎ。


 まとめ。まずトロントの客やっぱりアカンね。まぁWWEもやっちゃってくれてますが。本編ですけれども良い試合は多いものの、記憶に残る試合が無いんですよね。エディvsカートっていう凄いベストバウトもあったんですけど。う〜ん。

(執筆日:2006年1月29日)


No Mercy 2004 評価:C
2004年のノーマーシーってイマイチパッとしない印象がありますね。不思議とどんな試合が組まれてたかは覚えてるんですが、肝心の中身となるとさっぱり……。


エディ・ゲレロ vs ルーサー・レインズ
 尺的には普通ながら、ルーサーがもっさりなせいで余計長く感じます。ルーサーは動くことは動くんだけどメリハリも精度も無く、ただ単に攻撃してるだけ感が漂ってますね。
 てか エディがドルフィンマジック(ロープ駆け上がり式不知火)やってるー! マジびっくりです。流石にリバースDDTの状態からの切り返しという感じで、スピードはゆっくりですが……。


【クルーザー級王座戦】
スパイク・ダッドリー vs ナンジオ
 結局よく分からなかった”ザ・ボス”ギミックの王者スパイクが、ナンジオと対決。正直華は無いですが、そこそこな試合をやってくれました。やっぱりナンジオはインサイドワーク上手いですね。


ポール・ロンドン vs ビリー・キッドマン
 ビリー・キッドマンがSSP失敗してチャボを負傷させたガチの事故が元で抗争アングルが組まれました。しかしホント、キッドマンはオーラ無いですね。(笑)
 試合の方はキッドマンは関節技で攻めて、ロンドンは空中技で攻める展開。ロンドンの技のキレは半端ないですね。そこそこ面白い試合でした。キッドマンに省エネ感が漂うのはちょっとアレですけど。


【WWEタッグ王座戦】
鈴木 健想&レネ・デュプリー vs レイ・ミステリオ&ロブ・ヴァンダム
 ごく普通のタッグマッチ。皆さんソツなく仕事をこなしています。2人同時トペ・コンヒーロと、ラストの方でRVDがウルトラタイガードロップやってたのが印象に残りました。


ビッグショー vs カート・アングル
 思っていたよりずっと熱戦になりました。まず2人の表情が素晴らしいですね。ビッグショーが投げるわ打撃するわと大暴れし、それに大してカートがサブミッションで対等に渡り合っているように思わせたのは凄い。ラストはちょっとレアです。


【US王座戦】
ジョン・シナ vs ブッカーT
 5番勝負の最終戦ですが、相変わらずなんともいえないあっさり塩な試合です。


リコ&チャーリー・ハース&ミス・ジャッキー
vs ダッドリーズ&ドーン・マリー
 何故このカードがこの位置なのか分かりません。カードを見て分かるとおりの展開ですが、チャーリー・ハースが凄く良いですね。体格がこんなにでかかったけ?と思うぐらい立派でしたし、テクニックも言うことなし。こんな人材を一時期手放すとはWWEは何を考えてるのやら……。リコは今ひとつですが、ラストのムーンサルトだけはなかなか良かったですね。


【WWE王座戦/ラストライドマッチ】
JBL vs アンダーテイカー
 試合前のプロモのヘタレJBLだけでもうお腹いっぱいです。(笑) ガングリルとか久しぶりに見たな……。
 試合の方はラストのオチがアレなだけに正直手抜き気味ですが、かなりの大破壊戦。ここまでスケールの大きな戦いが出来るレスラーって珍しいんじゃないでしょうか?
 そうそうJBLvsテイカーって真面目にピンフォールで終わった試合が無いんじゃないですか? もうホントどちらもギリギリなんで(JBLなんて半引退だし)、最後にヘル・イン・ア・セルあたりでやってほしいです。(鬼)


【Heat枠】
スコッティ・2・ホッティ vs マーク・ジンドラック
 個人的にはフィニッシュムーブが伝説すぎる試合。WWEだからってそれは無いだろ……。しかも試合自体も短すぎます。スコッティの上手さは分かりましたけど。


 ちょっとラストがアレすぎてPPV自体の評価もやや低めにせざるをえないです。明確な良試合がビッグショーvsアングルしかないのでBにするには辛いかわりに、他の試合は正直中の下〜中の上の範囲に収まっちゃってるのでDにする要素も見つからないという微妙さ。

(執筆日:2006年12月21日)


Survivor Series 2004 評価:B
2004年のサバイバーシリーズは、DVDパッケージの表紙やプロモなんかで劇画調のスーパースターのイラストを多用しており、かなり独特のデザインです。
 中身?さぁどうでしょうかねー。JBLvsブカTがそこまで酷くなくて、全体としてみたらそこそこ面白かった記憶があるんですが。まぁ一見にしかずということで、早速行ってみましょう。


【クルーザー級王座戦/フェイタル4ウェイマッチ】
スパイク・ダッドリー vs レイ・ミステリオ vs ビリー・キッドマン vs チャボ・ゲレロ
 オープニングからなかなか見ごたえのある試合でした。WWE的高難度ムーブがぼんぼん飛び出してびっくりさせられましたね。後、ラストのミステリオがキッドマンに仕掛けたヘッドシザーズはなんぼなんでも無茶すぎだと思うんですが、どうしょう?


【IC王座戦】
シェルトン・ベンジャミン vs クリスチャン
 まずはクリスチャンが新テーマ「Just Close Your Eyes」と共に入場。今PPVからだそうで、2005年入ってからだと思ってただけにちょっと意外でした。流石にまだ衣装や振る舞いはちょっと野暮ったい感じです。
 さてこの試合、意外な好勝負になりました。序盤のレスリングの展開は流石にベンジャミンの独壇場として、現在も指摘されている間の取り方の下手さをクリスチャンとトムコが頑張ってカバーしています。クリスチャンはスイング式リバースDDT、ベンジャミンはスプリングボード・リバースブレーンバスターを披露するなど珍しい技も飛び交いつつ、トムコもそこかしこで介入してはやられたりする小悪党っぷりを発揮し、なかなか楽しめました。ラストの切り返し合戦はお見事。


【エディ軍vsカート軍イリミネーションマッチ】
エディ・ゲレロ&ロブ・ヴァン・ダム&ビッグショー&ジョン・シナ
vs カート・アングル&ルーサー・レインズ&マーク・ジンドラック&カリート
 いきない逃走するカリートに笑いつつ、試合開始。エディが長いこと捕まって観客をいらつかせた後はエディ軍のワンサイドゲームでした。


アンダーテイカー vs ハイデンライク
 まったりデカブツ同士で殴り合い。良くもなく悪くもなく。テイカーのダイビングクローズラインは珍しいかも。それとハイデンライクはフィニッシャー3種全部やってもらったことを感謝すべき。


【女子王座戦】
トリッシュ vs リタ
 茶番。いちいち試合枠取らなくても……


【WWE王座戦】
JBL vs ブッカーT
 再びまったりと殴り合い。予想できる事態ではありましたが……。ラストの乱入凶器乱舞はそこそこ面白かったです。OJもGJ。


【エボリューション軍vs反エボリューション軍イリミネーションマッチ】
HHH&バティスタ&エッジ&ジーン・スニツキー
vs ランディ・オートン&クリス・ジェリコ&クリス・ベノワ&メイヴェン
 役立たずにもアングルやらなんやらで味付けして食べられるようにしましたという感じ。まぁ具体的にはスニツキーとメイヴェンなのですが。バティスタやセコンドのフレアーもそれなりに仕事しましたし、他のメンバーは言うまでもなく良い仕事してます。そこそこ良試合。


【Smackdown枠/US王座戦】
カリート vs ジョン・シナ
 PPVの後日談。何故かちゃんと抗争の歴史まで全部入ってて試合までが長いです。試合そのものは瞬殺って感じなのですが。


 久しぶりに見ると、初回見た時よりかは面白くなくて意外。普通に良PPVだと思ってたんですけどねー。そこまでもないというか。この頃まではオートンのベビー路線が成功していたことも新たな発見でした。凄い歓声です。

(執筆日:2006年9月22日)



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