Take The Dream vol.5
団体名 健介オフィス
日時 2008年6月13日(金) 18:30〜
場所 大阪府立体育会館 第2競技場

健介オフィス初の大阪大会に行ってきました。健介丸藤、KENTA勝彦と武道館並のカードを組むわ、メディア露出して宣伝するわで、いくらなんでもこれで満員にならなかったらこの世の終わりですよ。


 試合30分前の会場の様子。この時点では少ないようですが、試合開始する頃にはしっかり満員になりました。左手に映ってるスクリーンで煽りPVを流した他、試合中もカメラの映像が流れるようになっていて、非常に見やすかったです。




第1試合
○なまずマン
なまずマン
13分16秒
ファイヤーなまずプレス→片エビ固め
TAKAみちのく
菊タロー●

いきなり結論になってしまいますが、オープニングマッチはかなり低調でした。 菊タローのお笑いネタは磐石なんですが、なまずマンが2人とも色々しょっぱすぎ。 調べてみたら色々中の人がいるらしくて、全員インディーの選手みたいですが、今日の酷さは健介オフィスのデビュー前の若手と思いたくたくなるくらいでしたよ。TAKAはTAKAでスーパーKとサミングしか印象に残らない省エネファイトぶりだし。
それからフィニッシュムーブはシューティングスタープレスだったのに、帰って試合結果見たら何故かファイヤーなまずプレスとかいう紛らわしい名前で吹いた。

場外からおちょくる菊タローなんという誤爆フラグ……





第2試合
●起田 高志
南野 武
16分2秒
ドッグボム→エビ固め
後藤 達俊
小原 道由○

 予想通り犬軍団に長時間捕まる起田という展開なのですが、流石に犬軍団も歳ですし、ロートルという言葉が似合うしょっぱさです。それだけに色々雑ながらも体だけは作ってきてる起田や、思ったより気合入ったファイトだった南野といった若手の方がよほど好感を持てます。 ところで起田なんですけど、なんか全体的に大阪プロレスのゼウスっぽい印象を受けるのですが自分だけでしょうか?体つきだけの塩にはならないで欲しいですね。

ブレーンバスターを試みる起田トペを狙う南野





第3試合
●宮原 健斗
8分22秒
脇固め
鈴木 みのる○

宮原のチャレンジマッチ。が、気迫だけで技が酷過ぎます。 他の若手からも感じたんですけど、健介オフィスの方針が体づくり優先ということなんでしょうね。でもそれだったら体作り終わってある程度基礎ムーブできるまでデビューさせないで欲しいです。これだったらまだ、健介達がよく批判してる「技優先の若いレスラー達」の方がよっぽどマシですよ。







第4試合
●中嶋 勝彦
27分35秒
Go 2 Sleep→片エビ固め
KENTA○

 とまぁここまで正直満足度が低い興業だったわけですが、休憩を挟んで空気を入れ替えいざドリームマッチへ。蹴りを武器に日本のジュニアヘビー級のトップクラスに上り詰めた2人が、ついにシングルマッチで初対決!対峙する所から緊張感バリバリです。

殺伐とした対峙。

ゴングと同時にいきなりのビッグブート合戦で場内もヒートアップ。そこからキック&エルボーのリレーに移り、更にビンタ合戦→キック合戦とありえないぐらい打撃しまくり。序盤から激しすぎる攻防には思わず息を飲みましたよ。
場外戦に移ると打撃戦にプロレス技をどんどん織り交ぜて行きます。まず勝彦が鉄柵に振ってのニークラッシャーから、リング内で足を極めました。しかもその状態でもお互いビンタを張りあっててちょっと吹いた。その後KENTAが勝彦を場外に連れ出してお返しといわんばかりに蹴りまくり、リング内でもチキンシンクから正調のダイビングダブルニードロップ。コーナーに詰めて珍しくエルボー連打も見せます。

今度はビンタ合戦!

 追い詰められる勝彦ですが、ここからロープ越しのドラゴンスクリュー、セカンドロープにKENTAの足を引っかけてそこへドロップキックを放つ等、珍しいムーブも見せます。この足攻めで流れを変えると、今ではかえって珍しい正調のDDTとミサイルキックで攻め立てます。
 しかし勝彦が反撃したのも束の間、KENTAが相手をセカンドロープに仰向けに引っかけてのダイビング・ダブルニードロップで早くも逆転開始。更に蹴りまくった後に最近多用しているSTFも見せます。中嶋も序盤に出した三角蹴りを再び狙うも、一昨年の丸藤KENTAで不知火を狙った丸藤がそのまま場外に叩き落とされたように、リング内に背を向けてトップロープに上った所で尻を押され場外転落。これには会場全体がどよめきましたね。
 エプロンで断崖式の攻防を繰り広げる両者ですが、KENTAが勝彦に場外でデスバレーボムを放ち追い詰めます。カウント15でなんとか帰還しますが、スワンダイブ式ミサイルキック、フィッシャーマンバスターと立て続けに食らい、いよいよ万事休すかという空気に。勝彦も時々蹴りで逆転しようとするんですが、流れはKENTAが握ったまま終盤戦へ。
 もう何度目かになるか分からない蹴り合いを経て、勝彦が逆転のアンクルロックへ!かなり迫力があり、このまま新フィニッシュムーブということで勝っちゃうんじゃないか?という勢いでした。客席も関節技ながらやんやの大声援。何とかロープに辿りつくも、またまた凄まじい蹴り合いを見せる2人ですが、勝彦が投げっぱなしジャーマン、KENTAの投げっぱなしタイガー、そしてビッグブート相打ちによるダブルダウンで会場内は大熱狂。
 ラストはお互い蹴りと投げとフィニッシュムーブを繰り出し、観客の予想を裏切らない物凄い攻防を展開。KENTAは雪崩式ファルコンアローも出してましたし、勝彦はクロスアームジャーマンや、近藤戦でも見せたコーナートップの相手へのR-15も繰り出し、会場を更なる熱狂の渦へと叩きこみます。特にデスロール→ジャーマンスープレックスのコンボが決まった時は、格とかそういうのは度外視して「勝彦が勝った」と確信させられた程です。
 しかしそんな中「27分経過…… 残り3分! 」というアナウンスが流れ、会場内は驚きと共に抗議の声が上がりました。自分も含めてほとんどの観客が「30分一本勝負ってアナウンスしてましたっけ?」という感じだったので、制限時間の告知が足りなかったことが原因ですね。あえて伏せていたとしたらすげぇ悪質だよなぁ。(笑) まぁとはいえ、このアナウンスにより時間切れ引き分けという「一番ありえそうな結末」が周知され、更にラストの攻防がスリリングなものになったことは事実です。最後なんて府立第2なのに地鳴り起きてましたから。

ミサイルキックを狙う中嶋アンクルロック中
ブサイクへの膝蹴りへ!ドラゴンスープレックスを狙う勝彦

 最後はGo2Sleepもブサイクへの膝蹴りも返されたKENTAが、2回目のGo2Sleepを決めて時間ギリギリで勝利。文句なしの素晴らしい試合でした! 試合前は勝彦の方がやや格負けしてるなぁとか思ってて、実際の結果もその通りになってしまったのですが、試合内容を見たら格下扱いなんか出来ませんよ。もはや勝彦はKENTAと同格であるとはっきりと悟らされましたね。



第5試合
○佐々木 健介
22分53秒
ストラングルホールドZ
丸藤 正道●

さてセミが大熱狂してしまい、何とも難しい状況の中、もう一つのドリームマッチが始まります。丸藤はいつものジャンプリングインでやたら高く飛んでて、着地してから見栄を切る動作もいつもより間を溜めていて、気合が入ってることが十分に伝わってきます。(笑)しかしそのお陰もあってか健介に対して全然オーラ負けしてなかったのは驚きましたねー。凄いわ。

丸藤がオーラ負けしてなかったので驚きました

 試合のゴングが鳴ると、両者は意外なことにロックアップからオーソドックスな攻防を繰り広げます。いくら丸藤が対ヘビー用に体重増やしたとはいえ健介とはまだ差がありますし、案の定、徐々にパワー負けしてしまうんですが、ジュニア時代のように素早く回って切り返す訳でもなく、正面から立ち向かいます。手四つからブリッジワークまでこなし、やがて打撃戦へ。ここでもオーソドックスに戦うもやっぱり丸藤が負けてしまいます。その後も5分過ぎあたりまでグラウンドの攻防が続きました。
 しかしここあたりから丸藤らしさが出てきて、コーナーでダウンさせた健介の頭をふんづけたり、ターンバックルへの子牛の焼き印押しを決めたり、サードロープに頭だけ場外にはみ出るよう設置した所へドロップキックを打ちこんだり(ぶっちゃけ日高のパク(ry)の首攻めでペースを握ります。
 ですが健介もエプロンサイドに立った丸藤へ、ロープと並行に走るようにラリアットを発射して逆転。ちなみにここのラリアットで丸藤がエプロンから場外に落ちたシーンですが、見事な一回転受けしててかなり笑えました。更に場外で鉄柵に振りラリアットで丸藤を吹っ飛ばすと、リング内でもキチンシンク、逆一本背負い、ラリアット、ストラングルホールドγと得意技を連発。一気に丸藤を追い込みます。
 なんとかロープエスケープをした丸藤は時間差アックスボンバーで健介を倒すことに成功。崩れつつもクロスアームスープレックスも放ち、一気に終盤戦へと突入します。

健介の頭を踏みつける丸藤断崖式の攻防

 エプロンサイドでの攻防の末、丸藤がリング内へ戻ろうとする健介へのfromコーナーtoコーナーを決めると、不知火を敢行。が観客も予想していた通り2カウント。更には最近開発した対ヘビーの切り札、コブラクラッチ式三角絞めも繰り出しますが、ロープに逃げられます。
 ここから健介のラッシュが開始。丸藤の時間差アックスボンバー対策で開発された時間差ラリアット「カマイタチ」を放ち、不知火・改に来た丸藤を雪崩式トルネードボムで叩き落とすと、その場ラリアットや、地団駄踏んでからロープに走ってのランニングラリアット「一石二鳥ラリアット」等、ラリアットを乱発。最後のラッシュだけで5回ぐらいラリアットしてるんじゃないですか? 最後は高角度のガチノーザンライトボムを放ち、2カウントで観客が盛り上がるも、キングバスターから初公開の新技・ストラングルホールドZ(ゼータ)を決めタップアウトを奪いました。

コブラクラッチ三角絞めラリート乱発モード
不知火・改を狙うも雪崩式トルネードボムに切り返されるこれがストラングルホールドZ!
陰が絶妙な入り方してて、なんだか魔王っぽい健介

 という訳で健介が盤石の勝利。セミには負けますが、こちらも表面だけ見ればかなり良い試合でした。
 しかし今試合の健介はぶっちゃけしょっぱかったです。特に最後のラッシュでのラリアット乱発はかなり痛いですねー。粗が出る中盤までも丸藤に引っ張ってもらってますし。結果としては勝ったものの、丸藤の余裕は全く奪えず、逆にペースを奪われ、存在感まで負けてるとなるとねぇ。ダラダラとした一方的に畳みかける展開を見るにつれて、丸藤にももうちょっと何かさせるべきではないかという気がしてなりません。丸めこみとか関節技で切り返しさせるだけでも大分違うと思いますしね。




というわけで健介オフィス初の大阪興行が終了。コメディマッチから若手の試合、そしてベテラン勢の大熱戦と非常に良い流れの興行だったと思います。興行時間も全5試合と少ないながらもラスト2試合が予想通りの熱戦&長時間の試合になった関係もあり、ちょうど良い感じでした。
ただ問題点を上げるならば、とにもかくにも前半の健介オフィスの若手の試合。体作りと気合を出すことだけ優先させてて、基礎ムーブすらヘマるような選手を試合に出すという方針には疑問しか覚えません。実戦で経験を積むというのも大切だとは思いますが、正直見てて苦痛でしたよ。何とかならないんでしょうか?
この興行自体はセミ・メインのお陰もあって非常に楽しめましたが、次に健介オフィスが大阪に来た時に会場観戦するか?と尋ねられると、やっぱり辛いですねー。健介勝彦&ゲスト頼りなのは今更文句言う気もありませんが、丸藤KENTAと大きなカード切っちゃっただけに、他にこれ以上楽しみなゲストがいるかと言われると甚だ疑問ですし。まぁ塩レスラー養成所にならないよう頑張って頂きたいところです。




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