Summer Navigation'07
団体名 プロレスリング・ノア
日時 2007年7月15日(日) 17:00〜
場所 日本武道館

というわけで初の東京遠征でやったきたのはノアの日本武道館大会です!当然のことながら武道館は初めてなんですが、思ったよりボロい&横が狭く縦に広い構造でちょっと驚きました。この構造だと確かに1階や2階席でもリングとの距離は近くなるのですが、思いっきり見下ろし視点になるので個人的には凄い微妙……。
 客席の方ですが最終的にはアリーナ満席・1階9割・2階7割といったところで、台風で交通関係が滅茶苦茶になった割には人が多かったです。

やってきたぞー!

 対戦カードの見所を見ますと、GHCタッグはともかくとして、Jrタッグリーグの2試合は凄い期待できますね。あとメインの三沢田上も最後の意地で頑張って欲しいです。後、第3試合、第4試合もほどよく会場を暖めてくれそうで良い感じ。



第1試合
井上 雅央
●平柳 努
太田 一平
11分13秒
DRドライバー→片エビ固め
デイビー・リチャーズ○
ソルーフ
伊藤 旭彦

前座過ぎるカードですがソルーフとデイビー・リチャーズに注目ですね。
試合は2m越えの巨人・ソルーフによる一人舞台。WWEならともかくノアでこの体格は絶対的有利ですね。まるで新人勢&井上が勝てる気がしません。またデイビーも序盤に実況席に突っ込むほどのトペを放ったり、終盤の攻防で上手く魅せていました。後、存在感を残せたのは雅央ぐらいじゃないかなー。動きはしょぼすぎて見てられませんでしたが、ムーブが完成されててお約束として認知されてるのは強いですね。

伊藤のヒップトス
雅央vsソルーフ。太田のエアブレンスピン





第2試合
○佐野 巧真
泉田 純至
7分01秒
北斗ボム→片エビ固め
本田 多聞
菊池 毅●

カードからしてどうでもいい試合ですが、10分足らずのうちにダイビングフットスタンプ2発・ローリングソバット連発しまくる佐野さんが鬼すぎる。




第3試合
小川 良成
○谷口 周平
13分10秒
ジャーマンスープレックスホールド
金丸 義信
青木 篤志●

こいつはなかなかのグッドマッチでした。小川&金丸のベテラン勢が上手すぎる。特にダイビング攻撃を急所攻撃で迎撃された時の金丸のセールがマジ傑作でした。始めて見た期待の新人・青木は新人らしからぬ上手さだとは思うんですが、いかんせん今の方向性ではノアだと地味すぎてトップに上がるのに時間がかかるかもしれません。ただアメドラと当たったらかなり面白そうです。あと谷口はいつのまにやらやたらパンプアップされててヘビー級の体でした。ラストのジャーマンも説得力があり、これからの成長に期待。

青木が華麗に回避
ディープインパクトを狙う金丸青木の駆け上がりミサイルキック
谷口の雪崩式フロントスープレックス谷口のジャーマンでトドメ






第4試合
森嶋 猛
○モハメド ヨネ
潮崎 豪
11分15秒
キン肉バスター→エビ固め
ナイジェル・マッギネス
ブライアン・ダニエルソン
ロッキー・ロメロ●

外人軍団と気鋭の若手軍団が激突。各自のびのびと戦ったのですが、やはり明日のROH興行のこともあってヨネと潮崎は控えめで、残りの4人を中心に柔剛兼ね備えた試合を披露しました。


森嶋がバックドロップ
ダブルインパクト式ローリングサンダーへ……ダブルインパクト式ローリングサンダー!
ロメロがネックブリーカー決まり手はヨネのキン肉バスター





第5試合
齋藤 彰俊
●橋 誠
13分00秒
オリンピック予選スラム→片エビ固め
高山 善廣
杉浦 貴○

第2試合並に酷いカード。彰俊が杉浦に勝つのも難しいだろうし、全く勝ち目なし……。実際の試合も橋がフルボッコされて終了といったところ。言葉も出ない。

絶望的な顔合わせフルボッコにされる橋その1
フルボッコにされる橋その2いつものごとくダイビングヘッドバッドを狙う橋
杉浦のドラゴンスープレックス流石にオリンピック予選スラムは返せない





第6試合:ジュニアヘビー級タッグリーグ公式戦
丸藤 正道
●飯伏 幸太
21分43秒
go2sleep→片エビ固め
KENTA○
石森 太二

さぁさぁやってまいりました本日のベストバウト、丸藤飯伏vsKENTA石森。今試合は後の試合に配慮してか、投げ技とツープラトンが控えめで、打撃技と関節技と飛び技の嵐という変わった戦いになりました。それでこれだけの名試合というのはホント凄い。
試合の方は初っ端から丸藤とKENTAが登場し、去年のシングル対決を思い出させるハイスピードの攻防を繰り広げ、会場は一気に興奮の坩堝へ。その後、序盤はKENTA飯伏のキックコンビが蹴りまくり、丸藤石森はロープ越しドラスクや関節技でじっくりと攻める展開。合間合間にKENTAのダイビングニードロップや石森のスワントーンが飛び出し、ついつい地味になりがちな展開に華と激しさを持たせます。
 中盤に入ると丸藤がお得意の時間差ロープワークやドロップキック、トラースキックで暴れだし、KENTAはしっかり打撃で返しますが、ここから徐々に試合の焦点が石森vs飯伏に絞られてきます。石森がその場飛びのムーンサルトプレスやコーナーを駆け上がってのノーハンド雪崩式フランケンシュタイナーで客席を沸かせば、飯伏はスタンディング・スカイツイスタープレスを放ち客席の度肝を抜きます。象徴的だったのが石森がスーパースターエルボーを敢行しようとした時にそのままぶっこ抜きジャーマンスープレックスをもらった場面ですね。かなり盛り上がりましたから。
 終盤早々に飯伏がコーナートップのKENTAに対してオーバーヘッドキックをクリーンヒットさせて客の度肝を抜くと、ムーンサルト・ムーンサルト、スタンディング・シューティングスタープレスとハイフライムーブ連発。更にはスワンダイブ式フェニックススプラッシュを敢行するも失敗してKENTAの上にギロチンドロップorz 更に正調フェニックススプラッシュまで放ちインフレの極み。会場は凄まじく盛り上がったけど、個人的にはちょっと自重してほしいかったです。
 フェニックススプラッシュをカットした石森が飯伏に見事なスワントーンボムを決めると、KENTAも強烈なキックで飯伏を蹴り飛ばし、それでも返されるとタイガースープレックスの追撃。丸藤が入ってくるとKENTAがファルコンアロー→石森がスーパースターエルボーを成功させ場外へサヨナラ。ラストは飯伏の蹴りをキャッチしキャプチュードで投げるか?と思わせつつそのままG2Sの体勢に持っていき豪快に蹴り上げ〆。いやはや凄い戦いでした。


いきなり丸藤vsKENTA石森の逆619フェイント
丸藤のロープ越しドラゴンスクリューKENTAがコーナーから飛んでニーを落とす

飯伏のスタンディング・スカイツイスタープレス石森のスーパースターエルボーをキャッチして飯伏がジャーマン!
KENTAのタイガースープレックスホールドKENTAのGo2Sleep。飯伏も見事に受け切った

 この試合でスポットライトが当てられた石森&飯伏ですが、飯伏の人気&実力が広まったのは語るまでもありません。また石森も今年2度目のGHCJrタッグ挑戦が決定ということで、上陸から1年かけてノアジュニアの主要人物へと駆け上がりましたね。初登場時は疑問視されたもの、今やSUWAさん並かそれ以上の重用ぶりなのが凄い。特に現在2冠王者(片方はテリーですが(笑))のコタとはスタイル的に手が合いますし、下手したら年末にGHCJrシングルへもっかい挑戦するかもしれませんね。
 さて、ミドルカードでここまで魅せてもらって、この後はコタマルビンvsブリスコ兄弟はあるわ、優勝決定戦もきっとあるわ、三沢田上もそれなりに面白そうだわで、本当に大阪から来たかいがあったと思えたんですよ。しかし、まさかあんなことになるとは……。




第7試合:ジュニアヘビー級タッグリーグ公式戦
△鈴木 鼓太郎
リッキー・マルビン
時間切れ引き分け
ジェイ・ブリスコ△
マーク・ブリスコ

1月の日本武道館大会では観客の度肝を抜く超高難度ムーブを連発し大喝采を浴びたこのカードが早くも再戦。開始早々からマルビンが、お約束の飛ぶフリコンビネーション(走る→ロープ際でハンドスプリング→バク宙のアレ)を決め、その直後に三角飛びでコーナーからトルニージョ。負けじとコタも正調トルニージョを披露し、観客はヒートアップ。
前回の対戦でもあったように4人が同時に同じコーナーに上る滑稽な展開に笑いつつ、コタがサンセットフリップパワーボム→コタがコーナー上に残されたもう一人を肩車してコーナーから離れる→残ったマルビンがコーナーからダブルインパクト式飛びつきフランケンシュタイナーという波状ムーブはやっぱり度肝を抜かれましたね。
暗雲が立ち込めたのはこの直後。やたらと2対1のロンリーバトルの展開になり、露骨に時間稼いでるのが伝わってきて、観客の脳裏に「時間切れ引き分け」の文字がくっきりと浮かんできます。また双方のテンポが噛み合わず、ツープラトンやド派手なムーブでは盛り上がるも、全体的にダレた雰囲気に。
 15分過ぎで早くもスワンダイブ式ドゥームズデイ・デバイス絡みの攻防が出てきて嫌な予感が倍増。まぁ前回と同じく迎撃しようとしたマルビンに対して、ジェイが肩車で捕らえてあるコタの方に飛ばず、マルビンの方に斜めに飛んでダイビングラリアットかましたのはかなり笑えましたけど。その後、再度トライして今度はちゃんとコタに決まるもフォールは取れず嫌な予感が3倍増。
 20分過ぎになり唐突にエルボー合戦し出すコタにげんなりしてたところに、マルビンがロープ渡りして飛びつきDDTを敢行したところでさらに萎え。今度は杉卓也(エルブレイザーや義経等の中の人)かよ! 他にもコタの雪崩式ミステリオラナや、ジェイのシューティングスタープレス等、派手な技は飛び交うもフォールには至らず。
 再びブリスコ兄弟がスワンダイブ式ドゥームズデイ・デバイスの体勢に入りますが、今度はマルビンがエプロンでスワンダイブしようとしていたマークに対してスワンダイブ式飛びつき断崖フランケンシュタイナーを敢行し、マークはもちろん仕掛けたマルビンもあえなく場外に落下。さらに捕らえられていたコタが抜け出して逆にジェイを肩車し返し、復活したマルビンがスワンダイブ式のシャイニング・インパクト! この一連は流石に相当盛り上がり、ようやく終盤戦らしくなってきました。
 しかし時間は無常なものでこの時点で残り2分を切っており、コタがブルーディスティニー、マルビンはサンタマリアと畳み掛けるもカウントは2。観客の誰もが時間切れ引き分けを確信し始めたところへ、駄目押しのレフェリー誤爆! これには本当、がっかりしましたよ……。続いてパーフェクトブルーディスティニーを決めるも代理レフェリーが遅れ、30分時間切れ引き分けと相成りました。
 この結果を受けて、優勝は先程勝ってこの試合の結果待ちだったKENTA&石森組に決定。しかしこの試合自体の内容や、優勝決定戦が無い&待機していた組が優勝してしまうという”プロレス興行のお約束”を無視した変なブックに対して、ノア史上かつてないほどの大ブーイングが日本武道館を覆いました。


マルビンがウラカンラナマルビンお得意のフェイント
鼓太郎のトルニージョ4人が1つのコーナーに上って争う中、鼓太郎がサンセットフリップパワーボム!
マルビンがスワンダイブ式飛びつきフランケンシュタイナー!
ダブル619マルビンがスワンダイブ式ミサイルキックで妨害!
マルビンが杉卓也のロープ渡りミサイルキックを敢行!
鼓太郎が雪崩式のミステリオラナ!シューティングスタープレスを狙うマーク・ブリスコ
今度はスワンダイブ式飛びつきフランケンシュタイナーで場外に落とす!意外とシャイニング・インパクトはよく使っている

 とまぁ非難轟々の中の幕切れだったJrタッグリーグ。この後、ネット某所にてブーイングの主な原因は何かという点について、「優勝決定戦があると信じていた客を裏切ったブッカー派」と「30分引き分けという条件の試合で盛り上げられなかったコタマルビン&ブリスコ兄弟派」に分かれて紛糾していたのですが、その中でも盲点をついた意見がありました。
 それは「 KENTAが先の試合で負傷してしまい(or負傷箇所を更に傷めてしまい)、優勝決定戦を行う予定だったが試合直前になって引き分けに変更した 」というもの。事実、KENTAは翌日からのROH興行2連戦を「念のため」とはいえ欠場しており、この意見は案外真実を突いているのかもしれません。もしこれが本当ならば上記の議論の前提がひっくり返り、KENTAに対する評価も一変しかねません。あまりにも深読みできてしまうこの謎、一体真実は何処に?




第8試合:GHCタッグ選手権試合
秋山 準
○力皇 猛
27分11秒
天下無双→体固め
志賀 賢太郎
川畑 輝鎮●

駄目駄目というか、ここまで頑張った御祝儀といった感じのカード。三沢小川vs齋藤井上とどっちがマシだろ……orz
さて予想通り、実際の試合もとにかく志賀が打たれ弱すぎて話になりませんでした。客席からも野次が飛ぶ始末で、グダグダと30分近くもやっちゃ駄目ですよホント。そういえば三沢小川vs齋藤井上も30分越えてたな……。
ただ個人的には川畑の奮闘が見れたのが良かったです。合体技のロールパンに、雪崩式ブレーンバスターで投げられつつローリングセントーン、ダブルインパクト、個人技ではムーンサルト(ただし自爆)とヘビー級なのに飛びまくりでした。ただ川畑は飛び技以外に華が無さ過ぎるので何かひとつダイナミックな投げ技持てば大分変わってくると思うんですけどねー。流石にトップ戦線は無理だけど齋藤・佐野みたいな感じで中堅強豪にはなれると思うんで頑張って欲しいですよ。
一方の王者組ですが前述したとおり相手を立てようとして長引かせすぎましたね。アレなら10分過ぎから鬼ニー連打→エクスプロイダー&無双でガツンと締めてくれた方がよっぽど良い試合だったかと。試合後インタビューで挑戦者はどん底から這い上がってきた精神力を持ってる云々言ってたので、長期戦で相手の粘りをアピールするつもりだったようですが、自分達が手抜いてたらただの茶番ですよ。

コーナーを使ったバビロンを狙うパンパーズ
パンパーズがバビロンで攻撃今度は雪崩式ブレーンバスターで相手の上に落そうとする
力皇に直撃寸前!川畑のムーンサルト
最後は力皇の新技・天下無双。ロックボトムっぽい。





第9試合:GHCヘビー級選手権試合
○三沢 光晴
16分44秒
変形エメラルドフロウジョン→体固め
田上 明●

というわけでロートル2人による最後の王座戦。双方共に衰えているだけに試合の質はあんまり期待していなかったのですが、彼らは現在の持てる全ての力を出しきって上手く纏めました。
試合開始早々から田上がトペ・スイシーダ、三沢がエルボー・スイシーダからエプロンを走ってのダイビングエルボーアタックを敢行。2人がこの試合にかける意気込みが伝わってきました。その後、三沢が執拗なフェイスロックから首4の字で攻めれば、田上がランニングネックブリーカーやビッグブートで応戦し、わりとベーシックながらも味のある攻防を繰り広げました。
ただいただけなかったのが、田上が打たれ弱すぎて攻勢に転じることができなかったこと。田上コールはかなりあったのですが、エルボー一発食らったら崩れ落ちてしまうのは流石にねぇ。
10分過ぎあたりからタイガードライバーや喉輪落とし、ダイナミックボムといった大技ラッシュが始まり、自分達の限界をよく分かってるなぁと関心していると、田上が森嶋戦で出して封印したと思ってたつくば薪割りを出し、さらに俺が田上を出して会場が盛り上がったところで田上がフォール。フィニッシュムーブ2連続はやりすぎだろ……と思っていたら突然ダウンしていた三沢が逆転の腕ひしぎ十字固めを繰り出し、会場がどよめきに包まれました。
続けて裏十字まで繰り出し、ローリングエルボーからエメラルドフロウジョンまでされてしまっては田上は手も足も出ません。もしあるとすれば雪崩式or大車輪の喉輪か秩父セメントぐらいでしょうが、エメフロを2で返された三沢は更にランニングエルボーからエメフロ改(とは微妙に違う)で畳み掛けてトドメ。ラストの変形エメフロは写真通りのえげつない角度でした。正直、田上が重くて耐え切れなくなって落としちゃった感じはしますが、説得力はありましたし、田上も無事なようなのでこれはこれでアリかなと(鬼)。
ぶっちゃけ試合前はあんまり期待していなかったのですが、現状持てる全力を出し尽くしなかなか良い試合に纏まったと思います。有終の美という感じです。それと、双方とも一つ一つの技を丁寧にやってたのが印象に残りましたし好感が持てました。最近の三沢はヘビー級を相手にした時に技のフォームの崩れが酷かったんですが、直っててびっくりしました。


フェイスロックで締める三沢三沢がエプロンからダイブ!
エルボーで吹っ飛ぶ田上袈裟切りチョップで逆襲する田上
喉輪を切り返しての腕十字。コーナーから抱えてエメフロへ
ラストは危険な角度の変形エメフロ!





興行の総評ですが、やはりマッチメイクが無茶苦茶という感想に尽きます。全9試合でベストバウトが第6試合ってかなり酷いですよ。まぁ三沢vs田上のGHC戦はラストということもあり試合自体もそこそこだったのでいいとしても、GHCタッグはセミにするにはキツすぎました。そして散々上で書きたてたジュニアタッグリーグの件もありますし、根本的なところで、タッグ戦ばかりという問題も相変わらず続いています。何とかならないかなぁ……。




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