Navigate for Evolution'06 1.22 日本武道館大会 評価:A
 なんといってもいきなり本年度一番のベストバウトか?と騒がれた丸藤vsKENTA戦がありました。他にも力皇曙vs小橋泉田、健介中嶋テリーvs三沢杉浦ジョーカー等の異色タッグに、もちろんGHCヘビー級王座戦の秋山vs田上もあって話題に事欠かせない大会となりました。


三沢 光晴&杉浦 貴&ムシキング・テリー
vs 佐々木健介&中嶋 勝彦&ムシキング・ジョーカー
 物凄い異色タッグ。とりあえず高山の指摘通り杉浦浮きすぎ。さらに、テリーのことを普通に鼓太郎と呼んでて笑った。
 試合はムシキングな2人が華やかに始めるかと思いきや、いきなり三沢健介の打撃戦からスタート。そこへ中嶋や杉浦が混じっていったのは当然ですが、さらにテリーまで混じっていくのにはビックリしました。皆キレがよろしいですね。
 しかしながら鼓太郎とマルビン……じゃなかった、テリーとジョーカーのやり取りは凄いね。ジョーカーのセカンドロープスワンダイブ式のシャイニングウィザードには惚れ惚れとしました。もうこれ見る限りじゃ丸KENはJr戦線から卒業させても大丈夫でしょ。シングル・タッグ共、金丸杉浦鼓太郎マルビン石森+外敵で回してもそれほど文句が出るとは思えない。
 それと中嶋の戦いぶりには関心した。打撃戦重視スタイルなんで昨今のNOAHに馴染みまくってるのはもちろん、新日やらBMLでも適応し、なおかつ他のレスラーに引けを取らないと思います。
 一方杉浦の陰の薄さと、結局エルボーしかやってない三沢にはがっくし。もうちょっと何とかなりませんか。


小橋 建太&泉田 純至 vs 力皇 猛&曙
 曙と小橋の体格差が凄い。そしてド迫力。スクラップバスターに力皇との合体技の数々には戦慄させられる。特にラストのリキボノスプラッシュ63は泉田の頭を完全に押し潰していて肝が冷えた。
 駄目出しするとすれば泉田と力皇か。この2人のやり合いはかなり面白くない。曙がスタミナ無いのは事前に分かっているんだから、他の3人で引っ張らないと。特に力皇の打撃の適当さが気になった。終盤に小橋に逆水平食らい出してから本気出しても遅いよ。


【GHC Jrヘビー級選手権試合】
KENTA vs 丸藤 正道
 今大会、そして年間、さらには世代のスケールまで引き上げても「名試合」という称号は間違いないところのこの試合。00年代になって急速に発達したクルーザー階級による次世代型プロレスの一つの総決算。
 試合開始からいきなり異常に素早い攻防。KENTAの打撃はもちろん丸藤のエルボーもキレが素晴らしい。緩急をわきまえた間の取り方をしてくる。ハイスピードでガンガン攻めてたと思いきや、ピタっと止まってやんわりと緊張を和らげたりと、意図的であり天才的に操ってきます。一番関心したのは、殴り合い→丸藤がいきなりタックル→マウント取ってレフェリーが制止する流れ。ヤバすぎ。
 もうこの操り具合だけでお腹いっぱいなのに、切り返しも含めてトリッキーなムーブで虚をガンガンついて来る。どれもこれも運動能力はもちろんの事、次世代ならではの柔軟さに溢れています。KENTAならば地獄突きやコーナー上へのハイキック、切り返しでの雪崩式ファルコンアロー&雪崩式フィッシャーマンズバスターが挙げられます。丸藤ならば各種ドラスク、ジャパニーズレッグロールクラッチ→タイガーSPと見せかけてオースイSPとかもう唸らされるばかり。それから話題をかっさらった トップロープ越えミサイルキック も、越えた時点でロープ持って調整してるとはいえ、凄い空中バランス感覚が発揮されてて素晴らしいの一言。
 この試合が革新的だったのは、旧全日からの流れを汲んだ全ての技を真正面から受けきり「壮絶さ」で魅せるスタイルを基本としながらも、ポイントポイントでXディヴィジョンに代表される驚異的な切り返しやトリッキーなムーブをミックスしてきたからです。そこにとてつもなく感動しました。もし良くも悪くも「壮絶さ」だけだったらここまで持ち上げてません。そういう意味で、やはりキーマンとなったのは懐の深さが知れない丸藤なんでしょうね。無論ついていって自分の味を出したKENTAも素晴らしいのですが。
 最後に、この試合の欠点というかもっと良くするにはどうすればいいのかを考察したいと思います。
 まず1点目はKENTAの技のバリエーションが少なすぎ、同じことを何度もやってるように見えることですね。丸藤もトラースキック連発でちょっとヤバかったです。ここら辺は後に述べる理由も合わせて、関節技や丸め込み、切り返し等、プロレスならではの「時間潰し=間空け」を取り込んでいくことを推奨したいです。
 2点目は、旧全日系列としてのスタイルではインフレに達してしまってること。まぁ要するに「大技乱発しすぎ」ってことなんですけが。技やって無理やり起こして引きずり起こして別の技をかけるってのも、壮絶さが増す効果はあって、実際大部分はノレましたけど、やっぱりインフレして振り切ってる感はあります。このカードはもうおそらく3年はやらないと思いますけど、今試合の大技とフィニッシュムーブの飛び交った数を考えると、次は何もすることないんじゃないのかって思いますもん。NOAHのジュニアって中盤前後から2.9の繰り返しで盛り上げてくるのが基本ですけど、やっぱクールダウン入れた方がもっと面白くなるんじゃないかなぁ。
 3点目は「ダウンして起き上がるのが早すぎ」。ジュニアとしての特性をアピールしたかったのだと思いますが、もうちょっと寝て休め!ってかフォールするな!返すな!(笑) あんまりにも大技ですぐ起き上がってくるので壮絶さとは逆に、一発一発の技が弱く見えてしまった感は多少あります。
 4点目は、ミスに対する対処。ずばり言うとKENTAのパワーボム絡みなんですが。あれは残念だった。それ以外が完璧だっただけに惜しい。
 興行の時間配分の問題も混じってきますが、個人的理想の試合タイムとしては後半でややクールダウンな場面を交えて40分台前半! そしてメインを張らせるべきだったというのが自分の意見です。 当然のことながら次の対戦が楽しみですが何年後になるかは分かりません。それに案外他の対戦カードで達成されるかもしれませんけれども、今試合をさらに足場にしてもっと素晴らしい試合がNOAHジュニアの手で創られることを願いつつ、今試合のレビューを締めたいと思います。めっちゃ長くてごめんなさい。


【GHCヘビー級選手権試合】
田上 明 vs 秋山 準
 大会直後は微妙に埋もれていた田上秋山戦。TVでこの試合だけ見たんですが、その時もメインの割りには……とか思ってました。しかし、こうして興行の流れとして見ると、これはこれでちゃんと役割をこなしてますね。セミの最高潮からゆったりとスローダウンしていく感覚が堪らない。良い締めじゃないかと思います。
 秋山はやっぱりGHCヘビー級王座戦ってこともあり、膝を連発してピリっとスパイスを入れてきますが、田上さんの挙動一つ一つがリラクゼーション効果。セミとは対照的に重さを見せていくスローな展開、田上が晩年の馬場を思い出させるようなノンビリとした風格を纏いだしたという2点が大きいですね。あんまり熱くはないですけどセミとは好対照であり、この2人の態度も好対照ってことで凄く興味深く見ました。
 今まで小橋絶対王者時代を始めとして、熱くて最高潮な盛り上がりになるGHCヘビー級王座戦が当たり前だっただけに、そういうのを期待するとちょっと寂しいかもしれません。


 まとめなんですけども、まずえーやっぱり値段的に辛いですね。普通に試合を見れば丸藤KENTAが大量リードを奪ってますし、田上秋山や6人タッグもそこそこで、曙参戦というネタもあるんでお買い得っぽく見えますが、よく見れば4試合しか無いっていう。
 NOAHはいわゆる「パッケージ興行」の概念を余り取り入れてない上に純プロレスを貫いてるんで、一つの興行で試合に纏まりがなく、こうやって最後の方の試合だけでもDVD出せるっていうメリットがあります。しかし逆に、最初の方の試合を収録しようが、どうでもいい試合が多くて評価があまり上がらないというデメリットもあります。
 結果的にセミやメインにどれだけ良い試合やってもDVDとして販売すると時間対費用が悪く、評価としては辛くせざるをえないという現実があります。まぁ今大会はNOAHの中でも全然良い方だと思いますけどね。この次にあたる3月の武道館大会はベストバウト連発、試合収録数も大盤振る舞いなのでNOAHのDVD初のS評価出せそうで期待しています。

(執筆日:2006年6月1日)


Navigate for Evolution'06 3.5 日本武道館大会 評価:S
 5大シングルにジュニアタッグ、さらには秋山みのる戦と、とんでもない超カードを繰り出してきました。その分DVDにもたくさん収録せざるをえないわけで、特別増量、全6試合収録となっております。前評判からしてS確定な感じですが、しっかり見ていきたいと思います。


小川 良成 vs 力皇 猛
 もうこれはカードが示す通り、小川のインサイドワークvs力皇のパワーの対決となりました。ですが、ちょっとマズい点がお互いあったかなと思います。まず小川ですが、パンチの仕方がしょっぱすぎ。あんな酷いパンチの仕方は見たことがない。力皇のマズい点はDDT受け。前転にしか見えん。(笑) 横反転で十分だと思うんだけどねー。後、技のフォームが汚い。
 良い点ですか。先にあげたように、カード的に要求される内容をしっかりと出せたことですね。力皇が張り手を受けても前進するところが特に良かったです。


田上 明 vs 丸藤 正道
 とにかくこの試合は見所が多いですね。最初は田上の動きの鈍さのおかげで丸藤が引っ張らないといけないかなーと不安にさせますが、そんな不安はしばらくすると消え失せてしまいました。田上さん、十分燃えてるぜ!
 とりあえず丸藤の切り返しムーブの嵐は必見。計2回行った喉輪を切り返してのバク宙は、さりげなく相手の腕を持って軸を安定させたお陰で円が物凄く綺麗です。俺が田上を防いで逆十字腕固め入ったのも感動した。無論切り返しだけでなく、重量差があるにも関わらずクロスアームジャーマンを完全に決めたのも良かったですね。ラストの完璧首固めもリストクラッチしてちょっと溜めてから一気に丸め込んでいったのは流石。ノア的常識じゃあリストクラッチしたら投げるもんなぁ……
 田上さんも動きの鈍さはどうしようもないですが、丸藤相手に誇示するだけのパワーはあります。丸藤の受けっぷりも当然良いのですが(DDT受けだけは笑った)、袈裟切りチョップ連打やダイナミックボムから熱さが伝わってきました。また前方エビ固めや三角絞めなど意外性のあるムーブを披露し、不知火を切り返しての喉輪も田上自身は楽チンながら見栄えはしますし、十分良い仕事してますよ。
 いやぁお見事。十数分でしたが終盤は大技もたくさん出つつ、しかも切り返しによって乱発も防ぎ(それでも普通の喉輪落としがやりすぎと感じたのは残念)、見事なビッグマッチ感を残しました。時間的にはもっと長い方が良かったと思われる双方のファンもいるかもしれませんが、興行全体のバランス・試合でやりたいことの実現度・ヘビーvsジュニアであるといった諸々の点を考えるとこれがベストでしょう。


三沢 光晴 vs 森嶋 猛
 最近劣化が激しい三沢と、まだまだ不安要素の大きい森嶋。このシングルはかなり不安定に感じていましたが、蓋を開けてみれば結構な熱戦になりました。
 しかしパワーで圧倒される三沢なんて久しぶりに見ましたよ。もう最近じゃ三沢より大きな相手も大分いないからなぁ……。当の三沢、最初こそエルボーの当たりが弱かったですが、序盤の森嶋の攻防で火がついたのか、その後は強烈なエルボーを連打。投げも流石に少なくノーマル&断崖式タイガードライバーぐらい。関節と飛び技は序盤〜中盤にちょっとやったぐらいでしたね。後はひたすらエルボー。でも、試合というか潰し合いの感じが出てて凄かったですよ。ラストのコーナー追い詰めての連打や、ダウンしてるのに無理やり起こしてエルボーしてるのは、ある意味滑稽な光景ではありましたが、あんまり笑えなかったですね。鬼気せまるとはこのこと。
 森嶋は序盤から激しい打撃を繰り出してて良かったです。フィニッシュではないのでラリアット連発もまたアリかと。しかし、中盤がイマイチ。打撃の当たりにムラありすぎて今後の課題になるでしょうね。それと断崖式アメーズインパクトは三沢が飛ばなさすぎなせいもあるが、ありゃそもそも技が悪い。後半は盛り返してきて、打撃ラッシュ→角度を明確に変えつつバックドロップ連発&凄い角度の裏投げの辺りは近年稀に見る破壊力でしたよ。こういうのを見せられるとヘビー級も捨てたもんじゃないなと思わされますよね。
 総評としては2人の現在の状況がくっきりと出た試合だったかなと。三沢の衰え・森嶋の発展途上が伺えてしまい、素直に楽しめなかったです。決して悪い試合ではなく良試合に属しますが、お互いの特徴を良きも悪きもひっくるめて引き出して完成させた田上丸藤戦とは対照的に、なんだか「限られた素材で良い試合を目指せ!」みたいなネガティブな空気を感じてしまいました。
 それと衝撃的だったのが高山の解説がベビー化してたこと。(笑) 素直に褒めるところは褒めててなんだか複雑な心境です。


小橋 建太 vs KENTA
 かなり楽しみなカードだったんですが、見事に期待に応えてくれました。この両者の対決としては完成には至っていませんが、今大会ベストバウトです!
 序盤からキックとチョップの入り乱れ大技が飛び出すなど、いきなりのバチバチぶりに驚かされました。KENTAはすかしたりガードしてのカウンターで上手く緩急をつけてきて、かなり良かったですね。そして小橋も気合十分で視殺戦を展開した挙句、序盤からハーフネルソンでぶん投げるなど真っ向から対決していきます。とにかく両者とも攻撃のキレがラストまで良かったですね。受けもバッチリですし。しかも、かなり激しい攻撃が飛び交ったにもかかわらず、あまり寝ずに起き上がって戦い続けた両者には頭が下がります。それとラストの丸藤KENTA戦の再現→小橋が豪腕ラリアットでカウンターの流れはバリ笑いました。膝蹴りもちゃんと対小橋用に3回ロープリバウンドしてたし。(笑)欲を言えばあそこからもう一発フィニッシャーが欲しかったかな。とはいえ、両者お見事!
 試合を通して、KENTAは前述したようなすかしたりガードして緩急をつけてくる以外にも、丸め込みやサンセットフリップライガーボム、断崖式フランケンシュタイナー等、普段ならあまり使わないようなムーブ(あるいは小林健太時代の遺産)をアクセントとして繰り出し、現在の自分のスタイルに組み込んでいってましたね。かなり手札が広がった感じで良さげ。しかしそれでも顔面蹴りばっかりという印象が強いので、ここは改善しなければなりませんね。打撃である蹴りは連発も止むをえませんが、投げとか関節技まで一度にやりすぎなんだと思います。丸藤のように投げも関節も臨機応変に使うことを覚えるべき。腕殺しはベタながら○。説得力的には全く問題なし。
 小橋も基本的に受けに回ってて正解ですね。Jr vsヘビーという構図、立ちはだかる壁としてのイメージを強められましたし、自分は動かなくていいから楽だし。(笑)チキンシンクまで出さなかったのは流石にサボりすぎな感じはしますがね。まぁチンクラッシャーからぶっこぬきでスリーパースープレックスとかパワーボム→ジャックナイフ固めとかチョップ各種とか見せ場はありましたし、特に問題なく高クオリティぶりを発揮していたと思います。


【GHC Jrヘビー級タッグ選手権試合】
金丸 義信&杉浦 貴 vs 日高 郁人&藤田 ミノル
 実はこの興行でこれが一番楽しみだったんですよね。中身としても結果としても。ノアの誇る2大ジュニアタッグの一方である金杉と、05年プロレス大賞最優秀タッグ賞受賞・ZERO1が誇る相方タッグが激突。燃えますね。
 まずは日高の入場からずっこける。何この差し替え! DVD用に元の映像音源から偽曲被せてるようで、ところどころ「CHILDLEN OF DECADENCE」のフレーズが聞こえてきたり、2つの曲が混ざってめちゃくちゃになってたりして笑った。でも許せないですねー。もうちょっと上手い編集できんのかと。
 序盤はシンプルな打撃技と関節技だけで構成。俺好みの、動く時は異常に素早く、関節技の時はしっかりと絞り上げるプロレスで大満足。さらには観客を飽きさせないまま、中盤までもこれで埋めてしまいました。凄すぎる。普通は中盤ってそれなりに投げ技とか出るもんだけど、パワーを誇示する必要性のある杉浦以外はずっと関節と打撃だけで繋いでましたからね。間に連携技を入れていくタイミングも良かったです。
 中盤も終わりかけのころから試合は動き出し、お互い派手な技が飛び出しますが、序盤の異常なスピードは維持したまま。まさにジェットコースターのような展開。Holy Shit! ただ残念なのが連携技などで何度かミスが見受けられたことです。お互い受けもギクシャクしていたので、単に場数の問題なんでしょうけど、これはホント残念! しかし一流のレスラー達ですからフォローもぬかりなく、さも元からその展開だったかのように動き回ってカバーしていっており、感心させられました。
 しかし後半まで高スピードだったせいで、ノアの2人のフィニッシュムーブが軽くみえてしまったのはちょっと駄目ですね。起き上がりが全体的に早すぎる。やる側も金丸のムーンサルトとか藤田のサスケだましセグウェイとか、もうちょっと引っ張ってからやった方がよかった。そこらへんも含めてラストが唐突な感じを与えてしまったのは残念極まりない。
 総評としては是非ともリマッチしてくれ!ってところ。あ、もうこのレビュー時点では後楽園かどっかでリマッチやってるはずなんですけどね。(笑)とりあえず完成度がそれほど高いとは言えないんで、これよりかは完成度が上がっているであろうリマッチの映像を入手したいと思います。会場が会場だけにDVDだと年末の「バトル・レボリューション」になるんかしら。
 最後に付け加えると、この試合の実況関係が酷かったですね。相方タッグの技をマスターしてきてるのは偉いですが、無理に対抗戦ムード盛り上げようとしなくてもいいですって。それと高山に解説させるのも無茶すぎでしょう。大分無理してるムードが漂ってて痛々しいです……


【GHCヘビー級選手権試合】
秋山 準 vs 鈴木 みのる
 秋山みのる戦はメインとしては微妙気味なカードなところを、さらに秋山が脇腹を骨折してしまうという事態に。当然、穴を開けるわけにもいかず内容もそれに考慮したものになって、かなり異色です。結果としては決して満点は与えられないものではありましたが、結構語るべき部分は多いですね。
 まず入場。DVDでは鈴木みのるの入場曲が案の定差し替え。そんなことしちゃったら何で入場引っ張ったか訳分からんよなー。どうにかなりませんか。ならないですか。そうですか。
 試合開始〜中盤までみのる優勢でじっくりとグラウンドの攻防を展開。裸締めwithロープ、卍固め@コーナートップ等の奇手から通常卍固めを連発して締め上げます。一つの技で引っ張りますが、そこはみのる。顔芸やヒール的アピールで上手く場を繋いでいきます。
 後半に入ると唐突にビンタ合戦の開幕。合計200発以上が飛び交う大打撃戦でしたが、昨年の小橋健介の焼き直しと見る意見もあります。しかし彼ら2人を取り巻く状況を考えると、これが一番ベストな選択肢だったと思います。そもそも ビンタ合戦というのは秋山とみのる双方共、キャラクターに合っていない ということに注目すべきです。どうしても「またか!」という印象を引っ張った感想が多かったですけれども、脇腹への負担をかけずに、意外性と2人の熱い面を見せるのであれば、焼き直しであれ小橋健介戦の手法をビンタでやってしまうのが一番良いのは間違いありません。問題があったとすれば、それは「試合前にビンタにまつわるやりとりを表に出してしまったこと」でしょう。そしらぬ顔してグラウンド勝負するみたいな前フリをしていて、当日突然やりだせばもうちょっと評価はマシになったと思います。よくよく考えれば小橋健介も前フリ一切なかったような気がしますし、予告してしまってはやってること自体は非常に単調なだけに飽きられてしまうんでしょうね……。
 とまぁ双方ダウンを交えつつ、延々と壮絶なビンタ合戦。しかしチョップよりもビンタの方がダメージ大きいですし、二番煎じとはいえ壮絶さはこちらの方が上でしょう。怪我してもメインを締めたい秋山の根性剥き出しな姿には燃えさせられました。ラストは正直どうかと思いますが、もう手札が無いんでああするしか無いですしねー。
 まぁ双方とも手持ちのカードを全部切ってベストを尽くしたとは思いますが、そもそも秋山の怪我によってカードが少なすぎたのが敗因ですねー。試合前に全ては決まっていた……という感じがします。


 いやはや驚きあり、粗もあり、見事な場面もありと、語るべきところが相当多い大会でしたね。1枚のDVDでこれだけ書いたの初めてだ。(汗) 個人的には田上丸藤戦以外はまだまだ完成度上げられると思うんで、若干期待外れに感じたところもありますが、全体的な試合のレベルが非常に高くどれも見応えありましたし、マストバイなDVDだと思います。ただ曲の下手な差し替えだけは許さん。

(執筆日:2006年10月8日)


Shiny Navigation'06 9.9 日本武道館大会 評価:B
 王座戦が秋山vs丸藤のみということで、他の試合がちょっと弱すぎるかなという気がします。まぁ見てないうちからボロクソ言うのはいけないので、さっそく見てみましょう。


田上 明&潮崎 豪 vs KENTA&柴田 勝頼
 初めて柴KENは見たのですが、思ってたより全然良いじゃないですか!組んだ回数もあまりなく、ブランクも空いてるのでチームとしての出来はもっと酷いのかと思ってました。しかしリズムの読み具合とかタッチワークとかがいつも組んでるような感じで、驚きが隠せません。
 試合は全員テンションが高く、動きにもキレがあり、勢いがありながらもコミカルな場面もあり15分足らずでしたが素晴らしかったです。田上さん良いとこ持ってきすぎ。(笑) 柴田は新日スタイルの流れを汲む独自のスタイルを存分に発揮し、周りとのコントラストで魅せていましたね。ただシングルになると技数も少ないし淡泊になりそうなので、ノアじゃタッグでこれぐらいの時間枠での起用が限界なのかもしれないように思いました。
 ムーブ的には終盤KENTAが潮崎のジャーマン受けで飛びすぎてたのが吹いた。それと柴田がぺディグリーやってたことのにも驚きました。それと潮崎がムーンサルトプレス→KENTAが膝で迎撃する場面で、潮崎が飛びすぎてKENTAが迎撃するために膝を移動させてて、顔が膝の上に落ちたのが怖かったですね。


三沢 光晴&小川 良成 vs バイソン・スミス&キース・ウォーカー
 恐ろしく微妙なカード。余りもので組んでみました感が溢れすぎてなんとも。
 実際の試合は外国人タッグがパワーをアピールしつつ、三沢小川が地方モードで間延びしない程度に流しちゃった感じ。試合終わるのが唐突すぎて驚きました。それと決め手となったツープラトンの体勢が無茶すぎて吹きました。あれでも奇麗に決めた方でしょうね……。


力皇 猛&森嶋 猛 vs 高山 善廣&杉浦 貴
 組まれた当時はわりと空気気味でしたけど、今から考えればそれなりに貴重なカードです。杉浦がジュニアヘビー級王座、ジュニアヘビー級タッグ王座の2冠王という貴重なシチュエーションで、4人の中で1人だけジュニアヘビー級扱いという設定でございます。さて、どうなる?
 予想通りのパワー対決になった今試合。まず目についたのが森嶋&力皇の連携が今一つで、2人とも必要以上にセールしすぎな所でした。また力皇の攻めも相手に気使いすぎで、力皇&森嶋が精彩に欠ける印象を受けました。対する高山杉浦組も、高山本人が自覚してる通りかつての輝きは見られず。ある意味「予定通り」、杉浦がひたすら頑張りました。1人だけジュニアヘビー級という扱いのお陰で、力皇・森嶋を投げる度に会場が沸いたのには相当助けられたのではないでしょうか?
 ムーブとしては特筆するものは特にないものの、高山が中途半端に極めた弓矢固めを杉浦が押してあげて直した所や、高山の低すぎるフライングボディアタック、スクールボーイ、前方回転エビ固めという全く似合わない技を繰り出したのが笑えました。


【GHCヘビー級選手権試合】
秋山 準 vs 丸藤 正道
 小橋が癌に陥りショックのあまり盛り下がるGHCヘビー級王者・秋山に、KENTA戦・田上戦・小橋戦と名勝負を続々と作り上げて勢いに乗っている丸藤が挑戦します。
 当時はどっちが勝つか意見分かれましたねー。勢いとしては丸藤だったのですが、 初挑戦ということもあり一旦挑戦を跳ね除けて越えるべき「壁」を演出した後、小橋不在の中では最高カードと言える秋山vs三沢に向けて動いていくんじゃないか?という意見もかなり信憑性がありましたし。
 試合内容にしても秋山は雅央戦はともかくとしても、田上戦&みのる戦は異質で実験的な試合が続いていたので、ここは王道の熱い試合をしてほしいという期待がありました。丸藤に関しては言わずもがな。名勝負続きで試合内容に関しては小橋並に信頼されてた時期でしたしね。
 この試合に関しては先に結論から言ってしまうと、非常に残念な試合だったと思うんです。悪い試合とは口が裂けても言えないのですが、序盤のトラブルで丸藤も秋山も今一つリズムを狂わされたまま試合に乗り切れず、 相手を攻めきれないまま試合が終わってしまったという印象を受けました。
 肝心のトラブルなんですが、丸藤が花道へロープ越しのショルダースルーを食らうのですが、受け所が悪く、息が詰まってしまいグロッキー状態になってしまうんですよ。その後の秋山の対応ぶりから秋山が気を効かせて関節技で時間稼ぎするんですが、丸藤がなんとか動けるようになった時には無情にも10分が経過。そこから立て直すにも序盤がほとんどすっ飛んでしまっただけに、2人とも流れに乗り損ねたという感じ。
 ただフロントネックロック→高角度エクスプロイダー→スターネスダストαの流れとか、ラストの攻防はお見事という他ありません。素晴らしかったですよ。
 後、気になったのが丸藤が不知火連発してたこと。 多分、他所でも指摘されてると思うんですが、場外での2パターンの不知火を連発した上に正調と雪崩式ですからね。流石に本人も悔いたのか、この試合の後からは乱発しなくなりましたが。
 いやぁちょっと不完全燃焼っていうか。この2人ならまだ「先」があると思える内容だっただけに、小橋も戻った今、本気で2人がぶつかる所を見てみたいですね。


 予想外にKENTA柴田vs田上潮崎が頑張ったものの、残り2試合は案の定今一つ。秋山丸藤もやや不完全燃焼の香り漂う出来のため、あまり高く評価できませんね。残念。

(執筆日:2007年12月12日)


Autumn Navigation'06 10.29 日本武道館大会 評価:A
 もう何も言うことはありません。三沢小橋戦の時と同じく丸藤KENTAという1マッチのみの看板でノアが勝負をしかけてきました。一体その行方はいかに?
 流石にDVD的には容量余り過ぎたのかROHでの防衛戦も特別収録。これはかなり嬉しい。まぁ同じ興行でKENTAvsアメドラのROH世界王座戦やってるんでROHのDVD買うつもりですが、ノアファンに向けて地道にROHを紹介していくという態度が見えて好印象ですね。


秋山 準&橋 誠 vs 森嶋 猛&モハメド・ヨネ
 噂に効く森嶋のスペースローリングボディアタック には大いにショックを受けました。大爆笑しましたが、あれは恐るべき技だ……。これ一発で掴みはOK、ほどほどに暴れまわり、周りのレスラーを食ってしまいました。橋はいつもどおりどうしようもないのはともかくとしても、秋山はちょっと対抗して欲しかったなっていうのはありますが。あ、でもダブルインパクト式ローリングサンダーの切り返しで雪崩式エクスプロイダーやったのはビックリしました。落ち方危なすぎでアレですが。


三沢 光晴&小川 良成&鈴木 鼓太郎 vs 高山 善廣&佐野 巧真&杉浦 貴
 ちょーっと退屈な試合。小川はスタイルがあるのでまぁいいとして三沢の省エネっぷりは酷いですねー。鼓太郎は技制限かけられすぎて魅力を失ったのと、ファンネル3回はやりすぎ。
 佐野もこの時期化けたとは言われるものの、ただ単にいつもより多く出番もらってそれなりに魅せただけっていう印象。自分から上がろうって言う気が無さすぎますよ。ローリングソバット連射しすぎだし、鼓太郎もローリングソバットやるわでもう見飽きた。高山はニーリフトは良いがエルボーがちょっと弱い。杉浦は特にコメントなしで仕事をこなした感じ。
 ラストのグダグダも勘弁して欲しいところ。鼓太郎もブルーディスティニーを無理して佐野にやろうとして一回は横須賀カッターみたいに崩れ落ちるし、佐野は佐野でノーザンライトボム崩れすぎだし。う〜ん。そもそもブルーディスティニーは元の技(WWEのヴィクトリアのウィドーズピーク)の時点で説得力的に微妙だし止めといた方がいい気がしますね。


【GHCヘビー級選手権試合】
丸藤 正道 vs KENTA
 次世代型プロレスの死闘再び。正直再戦には早すぎるだろ……とは思いますが、ワクワクせずにはいられません。1月の時には「ノアJrを代表する名カード」でしたが、今回はもう「日本プロレス界を代表する名カード」のような扱いですからね。両者には相当なプレッシャーもあるとは思いますが、是非やり遂げて欲しいところです。
 冒頭から素早いグラウンドの攻防→ロープワーク、そして勢いある打撃で客席の心を鷲掴みにします。そこから関節技で多少締め上げた後、唐突に強烈なビンタ合戦でお互いに気合を入れます。(違)
 その後丸藤は早速新ムーブであるスリングショット式飛びつき断崖DDTを投下。初っ端からかなり強烈なの打ってきますねー。そこからはもっかい関節技。そこから場外に移行し、新ムーブのエプロンからの低空ミサイルキックを披露。スワンダイブ式その場ミサイルキックでも思いましたが、丸藤の「場所を選ばない基本技」シリーズはここのところ奇をてらいすぎて一部意味不明になりつつあるような気がします。(笑) まぁ面白いからいいや。
 そして再び関節技。丸藤もGHCヘビーのベルト取ってから関節技使うようになりましたよねー。この後にあたる三沢戦でも中盤までほとんど関節技でしたし。やっぱ前回があまりにも関節技使わなさすぎ、ダウン時間短すぎなことに身内から指摘があったのかしらん。それとも本人の意識がそちらへ向いたのか。後者な気はするが。
 それと体重上げてから打撃の威力があがり、特にローリングソバットとアックスボンバーがいつの間にか強烈な繋ぎ技に定着してる様はビックリすると共に、その器用さに驚嘆するばかり。しかしKENTAのお株を奪う形にもなりかけており不憫ですね。
 とはいえKENTAもチキンシンク・ダイビングダブルニードロップ・丸藤をトップロープに引っ掛けてのダイビングニードロップと新技を投下。これはかなり良いですね。今までハイキックばっかりになりがちでしたが、これらでバリエーションがかなり広がりました。しかし丸藤相手だからってガチで膝から相手の体の上に乗っかっていくのは酷すぎると思うんですが、どうでしょうか?
 中盤にさしかかったところで、丸藤が鉄柵首打ちつけたことで話題になったラ・ケブラーダ。KENTAも流血してます。これは双方とも酷いダメージで心配になりました。セコンドの雅夫がめっちゃ不安そうな顔なのは妙にツボにはまってウケましたが。まぁとにかくカメラマンが多すぎたってことなんでしょうね。撮影班は団体お抱えのやつだけにして後はメディアに配布する形にした方がよいんじゃないでしょうか?WWEとかはそうですし。今後も断崖技とか場外ダイブ系で事故起きないとも限りませんしね。
 丸藤の新ムーブ、お次はKENTAを後ろ向きにコーナーに据え付けてのスワンダイブ式鉄柱フェイスクラッシャー。これは会場ではともかく、TVで見ると場外に飛んでいった丸藤の方がダメージデカいようにしか見えないという難点がありますね。まぁ一度きりになりそう。
 さらにブサイクへの膝蹴りの助走に入るKENTAの背後を追っていって潰したのには爆笑しました。そこからはこれまた微妙なロープに走っていっての平行飛びエルボー→珍しくサンダーファイヤーパワーボム。さらに不知火……と思いきやKENTAが丸藤を場外に放り投げたのはエゲツなさすぎ。
 その後の花道の攻防もなかなか頭使っててイカしてます。ブレーンバスターし返された所をさらにバックに回って投げっぱなしジャーマン→着地なんてなかなか出来るもんじゃないですよ。ここからはKENTAのえげつない技連発。断崖式ファルコンアローは綺麗に決まってよかったけど、 スワンダイブ式場外フットスタンプ は反則すぎるだろ! 完全に乗ってるし……マジ鬼畜すぎ!禁止しろ!
 さらにラッシュは続きターンバックル・ダブルアームスープレックスという微妙な新ムーブの後、タイガーSH、さらにブサイク顔面潰し→ブサイクへの膝蹴りと繋ぐもカウント2。この後のGo2Seepを抜け出して不知火入ったの非常にスムーズで見事でしたね。そしてこのタイミングで不知火が出たことに、今回は不知火を大切に使ってることに気づきました。ここんところは便利な繋ぎ技扱いで中盤から多用してただけに、よくここまで使わずにきたなーと思います。まぁ不知火返しで放り投げる場面はありましたけど。それはそれ。
 KENTAは前回でも出たコーナーに飛び上がるムーブを見せますが丸藤が迎撃でキック。ここまで音出ししてて笑った。丸藤気利かせすぎ! そしてKENTAの大の字で吹っ飛んでいくのはかなり笑えた。丸藤がダイビングするも、KENTAがキャッチしてGo2Sleepの体勢……は失敗して崩れるも素早くカバーしたのは流石。そして唐突にバックドロップ&投げっぱなしジャーマンをお互い打ち合い、KENTAが一回転着地から蹴りを放ったところを丸藤が避けてトラースキックして共倒れダウンした場面はかなり熱かったですね。丸藤のトラースキックであれだけ盛り上がったのもなかなかないですよ。ただその直後、トラースキックでKENTAがジョン・ウーのようにコーナー吹っ飛んだのは笑いましたけど。
 さらにこの2人は更なる苛烈な新ムーブを披露。丸藤はリストクラッチ式不知火、KENTAはコーナー最上段で直立した体勢からの雪崩式投げっぱなしタイガースープレックス 。ここであえて一回転受けせず、そのまま自然落下した丸藤に拍手喝采ですね。おそらく小橋戦の雪崩式ハーフネルソンスープレックスでうつ伏せに落ちてしまい、かえって説得力が落ちてしまった(そもそも高角度で落とすことを求められるタイプのスープレックスで雪崩式というのはめちゃくちゃ無理があるんですけど)のを受けてかと思いますが、あんな高いところから仰向けに落ちる怖さは半端無いと思います。
 そして前回対戦の流れ通りセカンドロープに倒れ掛かる丸藤に後ろからKENTAが飛び膝。ふらついてリング中央に下がった丸藤にKENTAが3回ロープリバウンドしてブサイクへの膝蹴り……のところで、またKENTAの後を追っかけていって自分もロープリバウンドしてアックスボンバーするも、KENTAは回避。さらにそのまま行き違って再び出会い頭にトラースキック入れたはいいものの、KENTAがすかさずショートダッシュでブサイクへの膝蹴りかましたのは爆笑すると共に感心。そのブサイクへの膝蹴りで丸藤が綺麗な後方一回転受けを見せたのにも驚愕。物凄い体力ですね! フィニッシュはちょっと一方が畳み掛けすぎかなぁという気はしますが、前回のことを考えたらまぁ止むを得ないかなぁと。
 見所がありすぎて半ば試合実況みたいな感じになってしまいましたが、総評。前回は圧倒的なスピードで熱狂的勢いを作り上げそれで押しましたが、今回は完成度を上げる方向で組んで見事にやり遂げました。前回に比べ封印した方がいい新ムーブも結構ありましたが、間違いなくどれも斬新でしたし、正直1月の試合では「動きのユニークさにおいてまだXディヴィジョンには勝てないな」とか思ってましたが、今回ばかりは上回ったかと思います。本当に……信じられないし、とんでもない試合です。


【ボーナストラック/GHCヘビー級選手権試合】
丸藤 正道 vs ナイジェル・マッギネス
(2006年9月16日 ROH「Glory By Honor 5 Night 2」より)
 ROHでの防衛戦は、向こうのディープなプロレスファンを試すかのように、フィニッシュムーブ以外に投げ技がほとんど無い 異色のGHCヘビー級王座戦になりました。
 というわけで基本はグラウンドと関節技の攻防。丸藤はドラゴンスクリューを主軸においた足攻め、マッギネスは腕攻めを中心にしつつ繋ぎで強烈なショートレンジラリアットを多用しました。マッギネスは相変わらず間の取り方が微妙ですねー。
 全体的にじっくりとした試合運びですが緊迫感はあり、関節技等に理解のあるプロレスファンなら楽しめるかと。しかしノアファン的にはアメドラと同じくちょっと辛いかもしれません。丸藤の懐の広さを見るには絶好の機会ですけどね。武道館じゃこんな試合やらせてもらないですし。ここまで渋い丸藤は久しぶりに見たよ。
 ただ思い出したようにビンタの張り合いするのだけは駄目ですね。終盤にまたやりだした時には笑った。それと断崖式不知火→タワー・オブ・ロンドン→不知火→断崖式タワー・オブ・ロンドン→雪崩式……と流れもちょっと律儀すぎじゃないかっていう気はしました。(笑)


 両GHCヘビー級王座戦以外特に見る価値が無いため、評価はA止まりです。しかしこれからのプロレスを考える上でもターニングポイントとなりそうな06年の丸藤KENTA戦を押える意味は大きく、フル映像を持っていないのなら新品ででも入手してほしいですね。派手好みの方にはKENTA戦、渋好みの方にはマッギネス戦と手広く押えてるのもポイント高いですし、是非。

(執筆日:2007年1月16日)

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