Encountering Navigation'04 4.25 日本武道館大会 評価:A
 絶対王者時代の防衛戦の中でも一番との評判高い小橋vs高山、そしてタッグ王者同士の対決となった三沢小川vs丸KENが入っているというだけで物凄いお得に感じます。しかし他のカードが一つだけで、合計がたったの3試合というのは流石に抵抗がある方も多いんじゃないかと。というか第5試合の金丸vsマルビンを入れるべきだろ、常識的に考えて……。


秋山 準&橋 誠 vs 力皇 猛&鈴木 鼓太郎
 カードを見るに力皇と橋の頑張り次第によるところが大きそうです。秋山も手を抜かないかちっと心配。
 いやはやドーム大会初開催に向けてアングルも組まれ始め、4人とも士気が高いですねー!なかなか面白い試合でした。
 心配していた力皇が、かなり動き良いし、エルボーや張り手などの打撃も勢いがあって説得力に満ちています。体重が今より落ちてるっぽいですけど、この方が良いんじゃないかなー。打撃や技の説得力との絡みもあるので難しいところですけど。
 橋もいつもよりは頑張ってますね。唐突な流血には笑わされましたが、それなりに見れます。いつもこれぐらい頑張ってくれれば今の見放されっぷりは無かったろうに……。
 秋山もジャンピングニーを始めとして動きにキレがあって素晴らしいですね。花道でやった、ドリル・ア・ホールで持ち上げてそのままツームストンのように膝着きで落とした変形パイルドライバーは微妙でしたが。
 コタも今と変わらず素晴らしい動きですが、特に長時間捕まった時間帯の最後に出した切り返し合戦が良かったですね。それだけにラストの飛びつきウラカンラナ失敗が痛い。いつもなら橋が受けるのミスったのかと思うところですが、明らかに反転し始めるの早すぎでしたね。
 まぁそんなわけで、ドーム大会に向けて気炎を上げる選手達の一コマを垣間見ることができました。モチベーションの有無は試合の出来を大きく左右するという基本的なことを教えられた気がします。


【GHCタッグ選手権試合】
三沢 光晴&小川 良成 vs 丸藤 正道&KENTA
 丸KENに心配要素はありませんが、問題はベテラン風を吹かせすぎてる三沢小川。2人がどれだけやるかにかかってると言っても過言ではありません。後、ジュニアvsヘビー、新進気鋭vs大ベテラン、さらに丸藤はかつて三沢の付き人だったという三重の構図にも注目したいところ。
 丸KEN組のいきなりの速攻で試合はスタート。冒頭から早くて威力のある打撃を披露します。その後はKENTAがローンバトルを強いられる展開ですが、三沢がエルボー魔人化してて笑った。この頃も腹は出っ張ってますが、まだ肩周りに筋肉が残っており、エルボーの威力は今と比べ物になりません。そしてKENTAもこの試合ではエルボーを多用しているのですが、人前に出しても全く恥ずかしくない説得力。これは常用した方がいいですねー。小川もそこそこモチベーション高めで、いつものようにインサイドワークで引っ掻き回しつつ、要所要所でバックドロップ&ブレーンバスターを使い積極的に攻めていきます。
 中盤戦もずっと三沢小川が攻め続ける展開。正直三沢小川が技受けるの無理面倒がったんじゃないか?と邪推したくもなりますが、後半の頭あたりで唐突にツープラトン連発しだし、いよいよ三沢小川サイドの持ち技も大分減ってきたあたりで、いきなり丸KENがフィニッシュムーブの二連発で逆転したのは結構キましたね。
 その後、エメフロを出そうとするも崩れて意味不明な空間に。こればっかりは何がしたかったのかすら読み取れず、どっちが悪いのかすら分からん。 多分、丸藤が足バタバタさせてクロスボディで切り返すつもりが、三沢がバランス崩して丸藤を頭から落としちゃったってのが正しいような気がしますが。
 入れ代わりで入ってきたKENTAのスワンダイブ式ミサイルキックの高さに驚きつつ、ランニングビックブーツの破壊力に戦慄。三沢よくアレ受けたな……。そしてストレッチプラムからタイガースープレックスへ。何故か実況がこの辺りからヘマし出し、ドラゴンスープレックスとか言ってて萎える。ブサイク顔面潰しはこの時はまだまだフィニッシュムーブへの儀式という感じでちょっと威力的にもの足りないですね。
 丸藤が入ってきて、いつものくるくる回って横入り式回転エビ固めを切り返されて小川のDDTを食らうという流れをしようとしていましたが、明らかにリズム狂って自分からマットに脳天突き刺しに行ったようにしか見えなくて笑った。
 ミスムーブと言えばこの後、丸藤が小川に不知火に行こうとして回転したところを、三沢が後方から来てキャッチ→エメフロっていうのも思いっきり崩れてもっかい普通にやってましたね。(笑)今試合はエメフロ絡みのムーブ全部ミスってるような……。お陰で丸藤がエメフロ返したってのに唐突感が出ちゃって実況すら詰まる始末。かなり残念。
 この後のKENTAのスワンダイブ式レッグドロップはかなり良かったです。今は使ってないはずなんで復活して欲しいです。KENTA絡みのムーブで言えば、あの06・1・22武道館で見せたコーナートップの相手へのジャンピングハイキックをこの時点で使ってて意外でした。アレ、かなり好きなんですよねー。
 最後は怒涛のフィニッシュムーブの応酬で〆。三沢が不知火・改 を受けるのはきっとこれが最初で最後なんだろうと思ってたら、ついこないだ(06年12月)も受けたということで驚きました。(笑) 映像のレア度は下がってしまいましたが、それでも物凄い光景だと思うんですが、どうでしょう。これのためにこのDVD買ってもいいんじゃないでしょうか。(笑)
 試合全体を見通すと、ミスムーブ多発で完成度は低めなものの、やっぱりこのメンバーで全員がやる気出して名試合にならないはずがないということを思い知らされましたね。これだけポカやって名試合ってのもちょっと思いつかないです。ある意味、凄すぎるわ……。


【GHCヘビー級選手権試合】
小橋 建太 vs 高山 善廣
 この頃の小橋はまた一段とパンプアップしててガタイ良いですね。逆に高山はちょっと腹が目立つ感じ。そんな両者の対決は、まさに重戦車同士の衝突とも言うべき激しい破壊合戦となりました。どっちかがガチでダウンしてしまうんじゃないかと思ってしまうほど壮絶な試合です。
 袈裟切りチョップやラリアット、ハイキックに、ニーリフトといった打撃、サーフボードストレッチやヘッドロック、フロントネックロックといった関節技。どれもこれも真に迫っていて、壮絶さに息を呑む他ありません。特に小橋の右腕に向かってのニーリフトはドン引きするほどの説得力を持ってました。
 もちろんノアらしい激しい投げも飛び出します。高山はエベレストジャーマンの他にドラゴンスープレックスやハーフネルソンスープレックスまで繰り出し、”スープレックスモンスター”という言葉を思い出すほどの暴れっぷりで、小橋は小橋で、場外でDDTに始まり逆襲のハーフネルソンスープレックスや何故かみちのくドライバー2、ラストにはリアルブレーンバスターも飛び出しています。
 全体的な手数としては30分近くやってたわりには恐ろしく少ないですが、時間が経つのはあっという間でした。粗さはありますが、それすら壮絶さを出す為には必要だったのだと思えます。最近クルーザー級の技巧派な試合ばかり見ていたので、こういう試合を見るとヘビー級の凄みを思い出させてくれます。間違いなくこの2人しか出来ない試合ですよ。これは。


 GHCタッグ、ヘビーの両王座はもちろんのこと、普通のタッグ戦まで面白くて、定価で買っても全然構わないと思います。ただやっぱり好みの問題もあるので、3試合だけってなるとなかなか「絶対買え!」とは言いにくいですよね。どうしても「是非、勇気を出して買ってみて下さい」という感じになってしまいます。

(執筆日:2007年5月2日)


Navigation,Over The Date Line'04 9.10日本武道館大会 評価:A
 小橋田上と金丸ロウキーだけでかなり安定感ある上に丸藤みのるという異色のシングルも目が離せません。


丸藤 正道 vs 鈴木 みのる
 異色のシングル対決。鈴木に丸藤が合わせる形になりそうですが、果たして上手く合わせられるのでしょうか?
 試合の方は案の定、鈴木のグラウンド祭り→時々丸藤が反撃というスタイル。鈴木はがっちり関節技極めるので説得力がありましたし、丸藤も数は少ないものの所々面白い動きを見せていて、なかなか良い試合でした。


【GHCジュニアヘビー級選手権試合】
金丸 義信 vs ロウキー
 ロウキーがノアジュニアとシングル対決ってだけでココロ躍りますね!結局実現したの金丸・KENTA(ROHで)・鼓太郎(地方)ぐらいかしらん……。
 初っ端から宇宙人プランチャ、鋭い蹴りを連発とロウキーのスポットが続きます。金丸のハリウッドスタープレスを阻止してハンギング・ドラゴン(トップロープからお互いぶら下る形のドラゴンスリーパー)したのは良かったのですが、形が崩れたのが残念。次のバイト・オブ・ザ・ドラゴン(ロープ利用式ドラゴンスリーパー)→トラップド・アームバー(ロープ利用式腕ひしぎ)のコンボはかなり良かったのに。
 掟破りでロウキーが場外フェンスへのハンマースロー→フェンス飛び越えギロチンドロップのコンビネーションをしかけるも、金丸がなんとか避けて、逆に敢行して逆転開始。エプロンから場外へのディープインパクト、トペ・アトミコ、逆さ吊りにしての優しい(笑)顔面ドロップキック等で攻め続けます。
 しかし正調ディープインパクトのカウンターで、ロウキーが浴びせ蹴りを合わせたのには驚きましたね。カッコ良すぎ。そこからはタイダルウェイブ(リング内からのスワンダイブ式延髄切り)→リワインド・ウィザード(シャイニングウィザードのフェイントからのバックキック)と強烈な蹴り2発。その直後のバックドロップホールドが形悪かったんでやらずにフォールした方が良かったかな。
 ここから終盤戦に突入しお互い飛び技がポンポン飛び出します。その中で早くもロウキーのゲットースタンプ(ダイビングフットスタンプ)が火を吹きます。といっても今でこそフィニッシュムーブですが、当時はまだフィニッシュムーブじゃなかったんですよね。金丸もメサイアやムーンサルトと反撃し一気にラストへ。ここからは一方的に畳みかけて手が尽きたら今度は相手が畳みかけるという流れになりちょっと萎え。切り返しが無さ過ぎるのが金丸の試合の欠点ですよ……。ネタバレ出来ない余り
 試合総評としては、まさにこの2人が真っ向から技と技をぶつけ合った名試合かと思います。意外性は無く驚きはなかったですが、それでも素晴らしい物は素晴らしいですね。


【GHCタッグ選手権試合】
三沢 光晴&小川 良成 vs 斎藤 彰俊&井上 雅央
 今DVDで一番不安なカード。何ぼなんでも彰俊雅央は無いだろ……。試合前の変なコントは面白かったんですが。挑戦者組が入場時に2人とも仮面被っててバリ笑った。ああ、ダークエージェントって最初はこういう方向性だったんだ。杉浦もいるし。
 試合の方は雅央が捕まりまくる展開ですが、色んな意味で目も当てられない出来。とにかく雅央が受けまくるのはいいんですがそれだけでスタミナ切れってのは痛すぎ。最初の脱出スポットの所とか「避けて」るんじゃなくて「外して」もらってるのバレバレでしたし。彰俊も後半は普通でしたが、体がでかすぎて動けてない印象。三沢小川もいつもながらグダグダっぷりを披露で、これで30分はきつすぎる。異例の雅央投入で、セコンドも一部介入、彰俊が毒霧噴射(これは笑った)といつもと違うGHCタッグ戦にはなりましたが、これっきりにしてほしいですね。


【GHCヘビー級選手権試合】
小橋 建太 vs 田上 明
 田上はナチュラルパワーはあるらしいんですが、どうしても対峙した時に「ああ、これは勝てないわ」と思わされる体格差なのが痛いですね。逆に言えば小橋がパンプアップしすぎなんですが。(笑)
 試合の方は全体的にスローな展開。こう書くとじっくり関節技で攻めあったように見えますが……実際はダウンしてた時間が結構長かったように思います。しかし大技が多く、ダウンするだけの説得力と壮絶さはあったので問題ないかと。
 まず田上ですが、掟破りのローリング袈裟切りチョップ、代表的なフィニッシュムーブである喉輪落とし等全体的に攻撃がヘロヘロなものの、俺が田上・秩父セメント・ダイナミックボム・各種キック系は流石に破壊力ありましたねー。流石にこの辺りまでショボかったらパワーレスラーとしては終わってますけど。(汗)
 そしてビッグマッチでは度々意外なムーブを見せる田上ですが、今試合でも爆発。ドラゴンスクリューを交えた足攻め、終盤のパワーボム→ウラカンラナの切り返し等、普通のレスラーなら流されるところが、普段動かない田上がやると凄い有り難いものに思われてきます。(笑)こういうキャラって得よね。
 小橋は完全に試合を引っ張ってました。田上が疲れてくると袈裟切りチョップやらで猛攻してたのは笑った。ラストが完封といったノリなんですが、これは好き嫌い分かれそう。実際相手の技を受けきってはいるし、王者の強さを感じさせる流れなので個人的にはアリ。
 試合総評としては名試合とまではいきませんが、なかなかの良試合って感じです。


 小橋田上戦が思ったよりかは良くありませんでしたが、代わりに金丸ロウキーが素晴らしすぎたのでそこまで損した気にはならず。後の2試合はまぁ期待値通りってところで。カード見て琴線に触れたらどうぞ。
 後、特典で凄いムーブのスーパースロー集が収録されてたんですが、これはなかなか良かったです。2回見ないといけないマルチアングルよりこっちの方が好きだなぁ。

(執筆日:2007年6月26日)



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