全日本プロレス2002 新春ジャイアントシリーズ 評価:D
 武藤達の全日移籍前夜の時期を収録したDVDです。三沢達の独立という全日を揺るがした事件から2年経っていますが、未だに芯が作れず混沌としているのがよく分かるカードですね。


太陽ケア&ジョニー・スミス vs マイク・バートン&ジム・スティール
(2002年1月2日 後楽園ホール)
 途中からスタート。 外人特有の一つ一つのムーブの荒さが目立つお粗末な試合。ケアはこの中ではまだマシな方だけど褒められたもんじゃない。ジョニー・スミスは空気。ジム・スティールは特にひどく、ラストのターボドロップ2以外頭抱えるような動きっぷり。バートンもゴールデン・レフト以外はイマイチ。


川田 利明&長井 満也 vs 天龍 源一郎&嵐
(2002年1月2日 後楽園ホール)
 川田天龍どちらも省エネ気味。長井は始めて見ましたがキック使いの割りにはそれすらイマイチですね。ラストの首固めも酷すぎて笑った。


【ヘビー級バトルロイヤル】
平井伸和、馳 浩、天龍 源一郎、マイク・バートン、ジョニー・スミス
太陽ケア、長井 満也、マイク・トロンド、アブドーラ・ブッチャー、
川田 利明、荒谷 信孝、スティーブ・ウィリアムス、ジム・スティール
田中 将人、安生 洋二、ジョージ・ハインズ、嵐
(2002年1月2日 後楽園ホール)
 内容はかなりグダグダ。まぁこんなもんかという感じもしますが。安生とか田中がいるのは凄い違和感あります。


【ジュニアヘビー級バトルロイヤル】
渕 正信、愚乱 浪花、田中 将人、保坂 秀樹、Hi69、ヤス・ウラノ
本間 朋晃、土方 隆司、宮本 和志、奥村 茂雄
(2002年1月3日 後楽園ホール)
 これまた内容としては特に書くこともなくグダグダ。ただ面子がえらいことになってて笑った。現在の全日本Jrのど真ん中にいる奴が誰もいない……。K-DOJOからの2人が物珍しいぐらいか。後、何故か田中がこっちにも参加してて笑った。


川田 利明 vs 嵐
(2002年1月11日 大阪市中央体育館)
 完全収録。といっても短い試合ですが。嵐良いトコなし。


馳 浩&太陽ケア vs 獣神サンダーライガー&棚橋 弘至
(2002年1月11日 大阪市中央体育館)
 やっとマトモなカードが出てきましたね。試合の方は全員それなりに見せ場を貰っていましたが、馳が一番輝いてました。しかし初めて馳の試合見たんですが上手いですね。


長井 満也 vs 奥村 茂雄
(2002年1月11日 大阪市中央体育館)
  途中からスタート。 ここから3試合はジャイアント馬場杯という今や黒歴史になってそうなリーグ戦の模様になります。奥村の垂直落下式ブレーンバスターは落とす角度キツイので説得力あっていいですね。長井はホント微妙。


荒谷 信孝 vs 田中 将斗
(2002年1月11日 大阪市中央体育館)
  途中からスタート。 壮絶な打撃戦という主旨のようですが、駄目な試合のラストでやられても冷めるだけですね。田中が頑張ってただけに可哀想です。


長井 満也 vs 荒谷 信孝
(2002年1月14日 横浜文化体育館)
 カードからして塩の臭いがしてきそうな感じ。荒谷プッシュ凄いですね。
 試合の方はある意味当然ではありますが、しょっぱいです。荒谷が多少頑張ったものの、長井の決定的な説得力不足は相変わらず。ハイパーニー空牙は悪くないんですけどね。


川田 利明 vs 馳 浩
(2002年1月14日 横浜文化体育館)
 カードから予想できるような試合。ですが、お互い気合入ってて気持ち良いですね。あっさり決着しちゃうので、物足りない感じはするものの、試合を通じて受けにまわった馳の姿に好感が持てました。次のシリーズ最終戦で川田が武藤と三冠賭けて試合するので、引き立てて上げたんでしょうなー。


【世界タッグ選手権試合】
武藤 敬司&太陽ケア vs マイク・バートン&ジム・スティール
(2002年1月14日 横浜文化体育館)
 今DVD最初の試合でかなり不安に思ってたこのカードですが、蓋を開けてみればそれなりの熱戦に仕上がりました。基本的に外人は一発一発をちゃんと出させてラフファイトを混ぜて誤魔化す方向で、武藤ケアが試合をコントロールしていました。特に外人勢が動かないで済むよう武藤のグラウンドの時間が長かったのが非常に印象的でした。
 とまぁ外人勢は散々な評価ですが、ラストの大技ラッシュでは流石に持ち味の破壊力を見せ付けてくれました。ターボドロップ2→ケアのシャイニングウィザード(完全に膝が顔面入ってて凄かった)→ゴールデンレフト→武藤のシャイニングウィザード(今試合一番の切れ味!)の流れはかなり良かったです。その後がちょっとダラダラしちゃったのがアレですが、「デカイ外人を陥落させる」感が出ててこれはこれでアリかなと思わなくも無いです。


 まず技マニアの自分としては、実況の松崎年男が間違えまくるのでかなりイラつきましたね。土地ネタ喋ってる暇あったらもうちょっと勉強してくれ……。
 肝心の収録されてる試合についてですが、マシな試合は全部入れて駄目な試合はカットして収録するという編集方針は基本ながらなかなか実践できてるとこが少ないので好感が持てるのですが、そもそも駄目な試合が多すぎます。トップはもちろんのこと、安定して良い試合を見せられる職人も少なすぎて、ほとんどが新人と同価値程度でしかないですから同情すべきではありますけど。金取ってる製品なんで、これでは辛いとしか言いようがありません。

(執筆日:2007年2月9日)


2002全日本プロレス エキサイトシリーズ 評価:B
 武藤達の新日退団から全日移籍までに1ヶ月の空白期間があるのですが、このDVDはそんな空白の1ヶ月を見事に収録されています。目玉はやはり武藤川田の第2ラウンドですね!


川田 利明 vs 本間 朋晃
(2002年2月9日 後楽園ホール)
  早回し有り。 ちゃんと見てたんですが、どこでカット入ったか分かりませんでした。早回ししてるのかね……。一応試合時間は6分なのに正味2分の瞬殺劇だったので、何か処理はされてるはずなんですが。まぁこんな試合どうでもいっちゃどうでもいいんですが。
 いやしかしひでぇカードだね……。ハードコアマッチならともかく王道マットではグリーンボーイの本間に為すすべなく。


太陽ケア&ジョージ・ハインズ vs 天龍 源一郎&嵐
(2002年2月9日 後楽園ホール)
  早回し有り。 塩試合の予感がしてましたが、嵐の出番控えめ、天龍・ジョージ・ケアが頑張ったお陰で凡庸な試合に。でも早回ししてこれだったら、多分実際はもっともっさりなんだろうな……。


川田 利明&長井 満也 vs 天龍 源一郎&田中 将斗
(2002年2月12日 大阪府立体育会館第2競技場)
  早回し有り。 やっぱり今より若いせいか勢いがあっていいですね。特に田中vs川田、川田vs天龍のスポットが良かった。長井もそこまで酷くはなく、無難な立ち回りでした。


太陽ケア vs 長井 満也
(2002年2月24日 日本武道館)
  早回し有り。 ケアはともかく長井はあんまり評価してないので、正直塩試合を覚悟していたのですが、思ったより良い試合になりました。
 解説陣にも褒められてましたが、長井がUスタイルから脱却してプロレス的な蹴りが出来るようになったのが大きいですね。さらに今試合ではUで鍛えられた関節技も披露してなかなか良い感じに攻めれてました。ただ受けの方はまだ発展途上で、ケアのフランケンシュタイナーを受け損ねたのは目も当てられませんでしたよ……。あ、でも波乗りスープレックスの後の顔芸はかなり笑えましたけど。


宮本 和志 vs ケンドー・カシン
(2002年2月24日 日本武道館)
 宮本”勘違いの王道”和志とカシンというカオスすぎるカード。大丈夫なわけないよね……。
 試合開始早々、宮本がコブラクラッチスイングを決めてて何がしたいんじゃコラ!と思いきや……瞬殺発動!あー、これなら仕方ないですね……。


天龍 源一郎 vs 小島 聡
(2002年2月24日 日本武道館)
 なかなかの好勝負が期待できるカード。素直に楽しみですね。
 双方とも気合入れてガンガン攻めあう姿勢が素晴らしかったです。特に天龍の凄さをまざまざと見せつけられました。50代にしてあの打撃の激しさは信じられません! 更にはサンセットフリップや天山ムーブ等までやってのけますし、いやはや尊敬に値しますよ。ただ断崖式コジコジカッターの受けが酷すぎましたけど。誤魔化すためにエプロンの攻防から技決めるまでの間、ほとんど天井カメラからの映像で笑った。
 ただラストの大技ラッシュ、ラリアット絡みのやり取りとか天龍の畳みかけとかで、「セミだしこんなもんにしとくか」って感じの妥協が見えてしまったのがちょっと残念でしたね。試合自体は良かっただけに惜しまれるところです。


【三冠ヘビー級選手権試合】
武藤 敬司 vs 川田 利明
(2002年2月24日 日本武道館)
 今でこそ結構組まれた&2人とも衰えているので有り難味はやや薄れていますが、当時はまだ2度目、しかも三冠ベルトを賭けたタイトル戦では初ということもありましたし、両人もなんとかまだ第一線でやれるレベルだったので非常に注目されました。
 さて肝心の試合は両者とも早々から大技の飛び交う派手な展開。お互い執拗かつ強烈な攻防を繰り広げ、観客もやんやの大喝采。文句なしの名試合……と書きたいのはやまやまなんですが、個人的に少々乗り切れなかった部分がありました。
 まずは武藤のスペースローリングエルボーで武藤の背中と川田の口周り(?)が思いっきり衝突起こした場面です。武藤は攻撃した側なのに痛がって、結構間空いていつものフェイスバスターやってましたし(あれはかなり不自然だった)、川田はずっと口辺りさすってましたし、アクシデントで間違いないかと。これの何が嫌かって、その後、お互い急にバックドロップやらシャイニングウィザード使い出したのが、双方ダウンor片方場外エスケープで時間稼ぎするための布石にしか見えないんですよ。実際、川田が場外エスケープして武藤や名物レフェリー:和田京平も協力しての時間稼ぎを行ってたんで余計にそうとしか思えなくなっちゃいました。
 後はラストの大技ラッシュで、なんだか双方手が尽ききってしまいマンネリ感があったのが残念です。三沢・小橋のように色んな種類の技を次々と繰り出すスタイルじゃないんで、どうしたってフォールを返されまくる展開になると同じ技連発せざるをえないんですし……今回はやや過剰というか、四天王スタイルに囚われちゃったかなぁという気がします。
 で、文句ばっか書いてるのもアレなんで見所なんぞを。やっぱり2人とも今より動ける!(笑) ここまで動けてるの見るとやっぱ感動しますねー。武藤の華麗かつ執拗な低空ドロップキック、川田の破壊力溢れる各種キックが特に素晴らしかったです。
 後は三冠パワーボム ですね。当サイト名の元ネタでもあるこの技、元々ノーザンライトボムと同じく技の失敗がきっかけで出来た上に、ノーザンライトボムと違って出せる機会も無く洗練しようもなく、言ってしまえばただの「パワーボム崩れ」です。しかしこの「ムーブ」は、一つの必殺技として定着してしまったというのも納得できる凄みと、こんな酷い技でさえもプロレス技として許容してしまう四天王スタイルの業を伝えてくれます。


 というわけで、前シリーズより遥かにスケールアップした内容で十分満足できたのですが、三冠と天龍小島、長井ケア以外のカードがイマイチだったのでこういう評価になってしまいます。残念。
 後、早回し編集してるDVDはこれが初めてなんですが、カットよりもこっちの方がいいですね。やっぱり全部把握できるのは大きいし、皆スピーディーに動くし。(笑)

(執筆日:2007年6月7日)



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